つらい気持ちのときは「かくれが」へ。自殺対策支援センターのWeb空間が素敵って話
絵本作家のヨシタケシンスケさんの絵で描かれた、「つらいときはあの世でもこの世でもない“かくれが”に隠れよう」というコンセプトのWeb空間。
素敵だなと思う要素が沢山ある。
相談窓口に繋がらなくてもやり過ごせる
わたしは“かくれが”を「いきづらびっと」というLINE相談からの通知で知った。「いきづらびっと」はわたしが鬱が一番ひどかったときに登録した。
精神科や心療内科はどこに電話しても2-3ヶ月待ちだった。かといって家族や友達はつらさを話せる関係性でもなく。でもつらくて消えてしまいたくて、「本当に誰でもいいから助けて…」というすがる気持ちで「いきづらびっと」のLINEを追加した。
それなのに、相談窓口には全く繋がらなかった。そうなると、絶望の始まりだ。もうわたしは誰にも受け入れて貰えないのだ、頼る人は誰もいないのだ、とつらさが加速した。(運営団体が相談体制を最大限に強化されていることは、ホームページを拝見すると理解できる。それでも対応できないほどに、いきづらさを抱えている人が多いのだ)
そんなときでも“かくれが” があると、もうちょっとやり過ごしてみる時間を持てる。「やり過ごし方」は、調べればネットや本に書かれているのだけど、現実的・具体的でなかったりそもそも調べる体力気力が残っていないので、たどり着けない。でもとりあえず“かくれが”に行けば、情報もコンテンツも、同じような仲間もいる。ちょっとここで過ごしてみようかなと思える。
「むかんけいばあちゃん」の存在
つらいとき、自分と無関係な人がどれだけ心の支えになることか。
わたしは2年以上経った今でも、鬱のことは両親含めたほとんどの人に話していない。仕事関係者に弱い姿を見せるわけにも行かない。病院の先生だって、1度顔を合わせれば他人ではなくなる。自分の状態を話しているうちに「自分がダメな人間だ」と先生に打ち明けることが苦しくなる。
そんなとき、「何者でも無くなれる場」はフラットに過ごせる貴重な場だ。社員でも娘でも患者でもない、ただの人として居られる場。
今の気持ちを吐き出せる「こっそりハッキリ発表ルーム」
つらくてネガティブな思考が浮かぶと、頭の中をぐるぐると回り続け、自分の内に閉じ込めてしまう。それを外に出せば少しはすっきりする。たとえ誰も見ていなくても。でも、なかなか外に出そうという気になれない、出せる場所がない。この発表ルームはまず外に出すきっかけになる。掲示板に貼るか、「大きな生き物」が食べてくれる(=消える)。ネガティブを吐き出すことは悪だと考えていたけれど、吐き出したっていいんだ、だれも傷つけないんだ、と思える。
ただし、掲示板を見ることは注意が必要だと思った。「仲間がいる、ひとりじゃない」と思えることができれば良いのだが、わたしはネガティブを見ているとよりネガティブになることがあったので、自分の状態を観察しながら使いたい。
コーピングリストとなる「あなたのオススメ教えてルーム」
このルームでは、漫画、本、映画、音楽、場所、人など、つらいときにやり過ごす方法をシェアできる。これはコーピング(ストレスに対処するための行動)のリストと言えるだろう。
普通の状態のときは、自分がなにをしたいのか、なにをすれば楽しくなる、癒やされるのかわかる。でも本当につらいときは思考が止まる。自分がやりたいことなんてまっっったく思い浮かばないし、何が楽しかったのかも忘れてしまう。
そんなときなにも考えずにコーピングリストに載っている行動をする。すると少しはやり過ごせる。
そのほかにも「ふにゃふにゃニュースセンター」や「ゲーム自習室」など、つらい気持ちを一旦置いておける場所がある。乗るとアバターがジャンプするトランポリンや滑り台といった隠れコマンドも。ヨシタケシンスケさんの絵を単純に楽しむこともできる。
つらくなったときは、“かくれが” に隠れるという選択肢を持っておきたい。
(追記)公式さんが想いを綴ったnoteが公開されました。
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