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32. 地域活動が創り出す価値とコミュニティ 〜地域のため?自分のため?〜

みなさんこんにちは!ミライノラボ学生研究員の北川です。

就職活動もひと段落し、後輩たちに任せっきりになっていたミライノラボの活動についても再開しようと考えている大学4年生です。大学1年生の終わりにミライノラボに参加した私ですが、すぐにコロナ禍に見舞われ気づけば4年生&就活です。時の流れが早く感じます…まだ精神年齢は高校生くらいの気分ですがあと半年で社会に出ると思うと、ワクワクと不安が混ざり合った複雑な感情になります。

さて、今回は昨年参加した「大学生観光まちづくりコンテスト」について書いてみようと思います。当初は”楽しそ〜!”くらいの気持ちで参加しましたが、終わってみれば学ぶこと・気づくことなどさまざまで、本当に有意義な経験であったと思います。私なりに感じたことをみなさんにお伝えしますので、お付き合いいただければと思います。

大学生まちづくりコンテストって?

「大学生観光まちづくりコンテスト」とは、大学生が学んでいる知識やスキルを実際に活用することで地域経済が活性化するような観光まちづくりプランを作成し競い合う、というものです。(詳しくはHPで!)

注目ポイントとしては「大学生が学んでいる知識やスキルを実際に活用する」「観光まちづくりプラン」といったところでしょうか。

1点目について、高校生の時とは比べ物にならないほど多様で専門的な分野の学習を行なっている大学生が、その知識を現場に還元する提案を行う必要があります。

これって意外と難しいんですよ、、、私は大学で経済学コースに所属していますが、学んでいるのはミクロ経済・マクロ経済の基本的・古典的な部分が大半です。実際の経済状況の分析などもやらないわけではないですし、簡単な経済ニュースを理解する程度の基礎を学ぶことはできますが、学部レベルの経済の知識を用いて社会を変えるような提案をするのはかなり難しいと感じています。

2点目については観光プランでもまちづくりプランでもない、という難しさです。観光まちづくりとはどのようなものなのか、まずは参加者それぞれが定義する必要があります。観光だけに特化しすぎると、オーバーツーリズムなど住民の地域に対する満足度が低下し、まちづくりとしてうまくいかない場合があります。一方でまちづくりだけに特化して多額の公共事業を要するような提案を行うと、観光の要素が抜け落ちて関係人口や交流人口の増加を望むことができず、人口減少社会においては持続不可能なものになってしまいます。

うーん、、結構難しくない??

住民の方と話すことでしか発見できないことも多々あります


地域活動を始めた理由

このように難しいテーマが設定されていますが、これは現在の日本の地方部では一筋縄では解決できないような課題に直面している、ということを示唆しているようにも見えます。
 
しかし私はこの“一筋縄ではいかない複雑さ”が地域活動の魅力だと思っています。言ってしまえば、どんな自治体の課題も解決してしまうような超優秀なテンプレートが存在しないということです。ある地域では観光資源として地域振興に活かせるものであっても、別の地域ではそうでない、なんてことはよくあるのではないでしょうか。
 
だからこそ、「その地域にどんな魅力があるのか」「住民が気づいていない魅力はないか」などの観点からその地域特有のモノ・コトを探すことが大切になってきます。
 
私はこの作業を行うのに学生が最も適していると思うのです。
 
学生の社会的な立場は当然「学生」です。何を当たり前のことを言っているのだと思うかもしれませんが、社会的な立場が存在する人や長年その地域に住んできた人と比べて、ステレオタイプに縛られない自由な意見を提案することができます。
 
地方部には良くも悪くも古くから残る習慣が存在することも多いのではないでしょうか。そのような価値観に捉われずに地域課題と向き合えるのは学生が地域と関わる上で生まれる付加価値だと思います。(もちろん伝統的価値観を超えた提案が受け入れられるかは別問題であり、地域と向き合う上でのハードルとなり得ることも忘れてはなりません。また、伝統的価値観こそが地域の魅力として生かすことのできるモノ・コトとなる可能性も十分にあるでしょう。)

そして、学生として地域と深く関わることは学生自身にとっても大きなメリットがあるのではないでしょうか。

私が特に実感しているメリットとは、“社会の動き方”の片鱗を伺うことができる点です。大学で地域活性化やまちづくりの授業を受けていると、「もっとここ効率的にできるんじゃないの?」と思うことがあります。(ある地域を区分けするときにその線が歪な形をしている、など)ビッグデータの活用などが普及しつつある現代において、データに基づいた効率性を重視して地域づくりをすればいいじゃないか、と思うのが普通ではないでしょうか。しかし、地域にはさまざまな慣習、利権、伝統、政治的思惑が存在します。(選挙が近いと行動が変わったりすることも?)その全てを見ることはできないかもしれませんが、地域で何かを始めようとすると様々なステークホルダーが持つ多様な意見に触れることができます。学校では感じ取ることのできない社会の動き方を(少しだけ)学ぶことができる点は、もうすぐ社会に出る大学生が享受できる大きなメリットだと考えています。

まちづくりコンテストの提案で対象地域とした千葉県芝山町の麻生町長とパシャリ。さまざまな方とお話を交わすことで自分の視野も広がります。


地域活動の二面性

ここまで述べてきた地域活動の魅力を、私は「観光まちづくりコンテスト」の準備及び提案の過程の中で感じることができました。先に挙げたような重要で難しいテーマの解決を目指すことで、大学生が地域に対して刺激を与え、地域も大学生に実務的な経験を与えることができるのです。

また、私たちのチームは様々な関係者の方々にご協力をいただいた結果、優秀賞を受賞することができました!

まちづくりコンテストのプラン(概要版)です。詳しい資料(パワーポイント80ページ分!)は上記のサイトからご覧ください!

結果ももちろん大切ですが、学生としてはこの経験をどう活かすかの方が重要です。コンテストに参加するにあたっては、地域活動は目的でした。一方でもうすぐ大学を卒業する者として、今後どのような生き方をしていくのかを決定するにあたっては(主に就職活動)地域活動はその手段となります。地域活動が持つこの二面性をうまく使い分けることができれば、大学生が地域と関わるメリットは最大限享受できたと言えるのではないでしょうか。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました!地域活動に足を踏み入れる一助となれば幸いです。それではまた!

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