見出し画像

まるで空が落ちてくるかのような現象(三春通信1号)

こんにちは、三春充希です。多くの人に見てもらったり応援してもらったりしながら何とかやっています。いつもありがとうございます。

世論調査や選挙情勢とは別に、何か感性にかかったものを書こうと思ってこんなものを始めてみることにしました。ぼく自身、抱いている興味は世論調査や選挙情勢自体というよりも、世論調査や選挙の向こう側にある民意というか、自分を含むこの社会を生きる人たちの姿、この社会とそれを取り巻く自然環境といったところに重心があるので、そういったことが断片であれ、少しずつ伝わっていったらうれしいです。

今回は「マイクロバースト」という動画を紹介します 。マイクロバーストというのは発達した積乱雲から吹き降ろす爆風のように強い風のことで、それはまるで空が落ちてくるかのような現象です。後で示す動画には、それを解明した藤田哲也氏の、自然と向き合い、現象を解き明かしていくプロセスがよくあらわれていて、見ていてとても面白く感じました。もちろん社会科学には自然科学とは異なる面もあるのですが、何かを知ろうとして知性を働かせるのは世論でも選挙でも同じではないでしょうか。

ぼくが初めて科学研究に向き合ったのは中学二年生の中頃くらいでした。そのとき悪戦苦闘しながら読んだのが大野久雄氏の『雷雨とメソ気象』という本で、マイクロバーストのこともそれを研究した藤田哲也氏のこともこの本で知りました。

マイクロバーストの解説のところでは動画にも出てくる藤田氏の著書"The Mystery of Severe Storms”の一節が紹介されていて、突風の被害を説明するのに、まるで長崎の原爆投下の後みたいだったということが書いてあって衝撃を覚えました。事実、マイクロバーストはときに電信柱を何十本も一様になぎ倒したりするのですが——ともかく藤田氏のそういう説明は印象的で、長いこといちばん注目した学者だったことを思い出します。

マイクロバースト:http://www.nicovideo.jp/watch/sm32933554

気象学を大きく進めることになった藤田氏は、もともとは原爆の被害の調査からはじまって、物理学の研究に取り組み、30代になってから気象学の方面に入った科学者です。

これは確か元は『虚数の情緒』という本で読んだのだと記憶していますが、よく一般に「科学技術」と言うけれども、科学と技術は一概にそう結合したものではなく、科学者と技術者の性格は同じではありません。技術者は自分の技術を磨きに磨いて断固としてそれを守る、そういう専門領域、自分の「畑」を持った農耕民族です。他方で科学者は、鋭い洞察力と直観力を武器にして多分野を渡り歩く、いわば狩猟民族に近い印象があります。

原爆被害の調査、物理学の研究、そして気象学へと分野を渡っていく藤田氏にはそんな科学者のイメージが似合っているようです。そして気象学の分野に行った後も、原爆の被害を見たことがダウンバーストの研究に繋がっていったように、分野を変えても学んだことがちゃんと活きている。ぼくもそのようでありたいし、そのように世論を解き明かしていきたいです。

動画の最後で藤田氏はこのように語っています。「より多くの考えを発表し、論争を生み出したい。見極めるのは君たちだ。特に若い人は恥ずかしがらず、言いたいことを言うべきです。半分は間違っているかもしれない。だが、半分は正しいかもしれない。もし50%が正しければ、価値ある人生を送ったということです」

最近、中学生や高校生で選挙の分析をやっている人たちを見かけることがあって、時には注目して発言を追いかけたりもします。票読みをしたり地理的な分析をやったり、次はどんな発想でどんな切り口から情勢を見せてくれるのかと楽しみになります。そういう人たちに伝えていくためにもこのノートに載せる記事はフリーで公開していかなくてはと思います。

ぼくらの世代というか平成世代全体というか——そうした世代全体には生命力の希薄さとでも言えるような、ある種の気迫に欠けるような感じがすることがあるので、果敢に政治に挑戦していく中高生は輝いて見えます。ぼくも以前はそうだったし、今もやっぱりそんなようなもので、政治に対してぼくはとても暗い印象を持ちつづけているけれども、怯むことなく、足を止めたら動けなくなるような暗闇を縦横無尽に駆けていきたいです。

Twitter : はる/みらい選挙プロジェクト@miraisyakai
Facebook : 三春充希(みらい選挙プロジェクト)
note: みらい選挙プロジェクト情勢分析ノート