セックスレスの闇は深い
私の旦那は、子どもが生まれてからもしばらくは親になりきれない人だった。
私に子ども同様に甘え、ほとんど家事をせず、自分が蔑ろにされると機嫌が悪くなるような人だった。
私は長年かけて、旦那の教育もしなくてはならなかった。
帰ってきたら堂々とリビングに居座り、テレビを見ながらゆっくりとご飯を食べる。
私はその横で子どもをずっと立ってあやしながら、自分のご飯は子どもが寝ている間にかけ込む。
私は毎晩夜泣きに付き合っているのに、旦那は自分の部屋で自分のペースで好きなだけ寝る。
授乳もあり、またその時私は仕事を休んでいたために、役割分担と言えばそうかもしれない。
でも、それは初めての育児で、周りに頼る家族もいない私にとってはあまりにも過酷なものだった。
人間、思うように寝られない、食べられない日が続くとおかしくなるのだと思う。
ある種の生命の危機とも言えるのかもしれない。
ある日私はブチ切れて、旦那を罵った。
私の負担が大きすぎると訴え、ちょっとは手伝ってと懇願した。
そこで発された一言は忘れられない。
「だって、〇〇ちゃんが子どもが欲しいって言ったでしょ」
私は絶句した。
そういう感覚でいるから、この人は当事者感がないのだと。
自分の子どもというより、奥さんの子どもであり、子どもの面倒は奥さんが見るものだ。自分にはほとんどの責任はないんだと、そう思っているらしかった。
「そうだけど、辛いんだよ」
と私は言った。
「仕方ないじゃん。産んじゃったんだから。俺は仕事頑張るから」
話にならなかった。
私の気持ちを1mmも理解しようとしない。
「育児より、仕事のほうが10倍マシだって」
そういう私を、旦那は鼻で笑った。
「何言ってんの。俺がこんなに大変な思いをして働いてんのに。」
私は絶望感に包まれ、結婚したことを早くも後悔しはじめた。
そしてさらに、旦那はその日あろうことか一人で連絡もなく出ていった。
後から知ったが、誰かと会っているようだった。
SNSに仄めかしているそれは、私を裏切るものとして十分な証拠だった。
もともと戦力でもなく、さらに逃げ出したこの男のことを、私は産後何年も恨み続けることになる。
それからも暴力や信じられないような色々なことがあり、私の旦那が俗に言うモラハラ男だと分かるのは、子どもが大きくなってからのことだった。
結婚を後悔しているかと言えば、今はそうでもない。
長年かけて、旦那は家事や育児をするようになったから。
だけど、旦那との行為は、一人目以降全く受け付けなくなった。
一度だけ我慢をしてしたことがあるが、自分の一部が死んでしまうような感覚になり、苦痛しか無かった。
私は本当は複数子どもが欲しかった。
けど、その思いは永遠に叶わないものと思って諦めた。
セックスレスはとても溝が深いものであり、片方がどう頑張っても解消されないものだと思う。
時折、旦那に応えられない自分が申し訳なくなるが、どう頑張っても無理なものは無理なのである。
結婚って本当に何なのだろうか。
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