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同棲

亮司が決めてきたアパートは、4畳半と3畳の続き部屋に1畳の台所とトイレのみの、安いアパートだった。快速電車の停まる駅から徒歩で15分もあるところにあった。その部屋は1階、しかも両脇が部屋に挟まれている中部屋だった。当時、既に結婚を約束してはいたが、とにかく流行りに乗ってしまった、と言えるような同棲生活が始まったのだった。


亮司は、航空会社で整備士をしていた。彼の口癖は「俺は、幹部候補なんだ。優秀だから、上が放っておかないんだ。」そんな事が本当に聞こえるほど、彼は口が上手かった。ただ、私は少し醒めて見ていた。

それから、実家が大騒ぎになっていた。私が突然 家を出てしまい、彼氏と同棲を始めてしまったのだから、両親も姉たちも 鳩が食らった豆をどう飲み込めば良いか、分からずにいたのだ。 


鹿児島から、亮司の親も飛んで来た。亮司は、キッパリ「こいつと結婚する。」と言ってくれた。彼なりに責任を果たす心積もりだったのだろう、と思う。



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