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字幕監修者が語る!「大清塩商~清の塩商人~」


こんにちは!「大清塩商~清の塩商人~」の字幕監修者です。本作の魅力をたっぷり語らせていただきます。いやあ、数ある中国の時代劇の中でもとりわけ味わい深く、本当に面白かった。監修者(私)を唸らせっぱなしの字幕も、味わいをより深めてくれたのだと思います。まずは概要のおさらいです。

作品のあらすじ

時は18世紀、乾隆(けんりゅう)時代の中国は製塩業の最盛期にあり、財政の四分の一を揚州(ようしゅう)の塩商人が支えていた。長い戦乱により国庫が枯渇すると、乾隆帝は兵餉(へいしょう、軍人の給料)を手配すべく塩政を司る役人・尹如海(イン・ルーハイ)を呼び寄せた。しかし尹如海が道中で謎の死を遂げたため、乾隆帝は揚州に阿克占(アー・クージャン)を遣わし、兵餉の確保と塩務の調査を命じる。こうした中、揚州の塩商人を統括する汪朝宗(ワン・チャオゾン)は阿克占と様々な駆け引きを通して、時には命の危険も顧みず、塩商人の利益を守りつつも国にも報いていく。

時代背景と個性的なキャラクターたち

…はい、まず時代背景ですが、清の最盛期と言われる3つ王朝の内、康熙(こうき)雍正(ようせい)に続く乾隆(けんりゅう)王朝です。
この乾隆帝を演じるのが…倪大紅(ニー・ダーホン)。時代劇でも現代劇でも、映画・ドラマ・舞台において、正義の味方から悪役・近所のおっちゃんまで幅広い役をこなす俳優さんですが、どの作品でも主役を食ってしまうほどの存在感を放ちます(それでいいのか!?)。

乾隆帝

たとえチョイ役でも彼が登場すると裏の裏まで疑ってしまい、彼の台詞を訳す時はとりわけ慎重になります(笑)。本作でも人間味が溢れすぎている皇帝を演じており、強権を振るったかと思えば、大局を重んじて悪事に目をつむることもあります。懐が深く、主人公・汪朝宗のよき理解者でもあります。

塩商人を統括する汪朝宗は、住民や国の利益も損なわないよう日々頭を働かせ、さらに家庭内でも複雑な事情を抱えています。

義父・蕭裕年(シャオ・ユーニェン)は塩商人を統括していた、いわば自らの前任者であり、彼の娘である妻・蕭文淑(シャオ・ウェンシュウ)とは男児を授かれず、跡継ぎ無しと馬鹿にされないよう娘の汪雨涵(ワン・ユーハン)は男装させられています。

汪雨涵(ワン・ユーハン)

こうした中、何としても男児を授かれるよう蕭文淑が自ら“妾”を探す事態になり、蕭文淑は汪朝宗と相思相愛の姚夢夢(ヤオ・モンモン)に声をかけます。

蕭文淑(シャオ・ウェンシュウ)
姚夢夢(ヤオ・モンモン)

さらに汪朝宗は乾隆帝からも訳アリの“妾”を授かりますが、汪朝宗は常に相手を思いやる選択をします。

かと言って“清廉潔白”な訳でもなく、様々な陰謀が渦巻く塩界をまとめて、国の財政の四分の一の銀を献上しなければならないという想像を絶するプレッシャーを抱える中で、自らの恋を成就し跡継ぎ問題も解決できる方向に安易に流れないのは簡単ではありません。現に汪朝宗は多くの葛藤に心を疲弊させ、たびたび癒しを求めて姚夢夢に会いに行き、目的を果たすために法を犯すこともあります。

汪朝宗に限らず、あらゆる登場人物に純粋な“悪”も“正義”もなく、誰もが崇高な“自分の理想像”を抱えつつも、現実や欲望に打ちひしがれながら、時に隆盛し、時に没落する。協力あり、対立あり、裏切りあり、何でもあり。そんな人間味あふれた数々のサブストーリーを、清の塩政という道筋に沿って名役者の面々が展開していきます。

日本語字幕に注目!

そのストーリーの味わいをさらに深めてくれるのが本作の日本語字幕!職業柄、“いやいや、伝えたいのはそういうことじゃないんだよ”と字幕を修正する作品も正直多いのですが、本作では“おお、そうきたか!”、“なるほど、こう訳せばいいのか”、“ええ?そんな表現あったの?”などと、とにかくメモ取りが捗りました(笑)。古語や成語が多用される時代劇の翻訳はとりわけ難しい中(そもそも原語の意味をしっかり理解するのにかなりの労力がかかる)、その意味だけではなく境地をも日本語らしく訳す本作の字幕は、もう字幕だけでも観る価値があると言っても過言ではありません!

そんな本作の字幕の魅力を手っ取り早く感じたい方は、是非エンディングソングだけでもまずはご覧ください。もちろん、作品自体の魅力やエッセンスも詰まっており、雰囲気もかなり伝わってきますよ~!!

大清塩商~清の塩商人~はこちらから!
1話~3話の冒頭5分はどなたでもご覧いただけます!▼