見出し画像

キャッシュレスサービス業界 分析

こんにちは、商社マン太郎です。


2020年6月2日「キャッシュレス決済、手数料の開示義務化」の日経記事を受けまして、

現在では当然のように使われる、雑然としたキャッシュレスサービス業界について整理します。

様々な会社が参入してきて、強弱もはっきりしてきましたので、整理してみたいと思います。


知ってることを書きます。知らないことは書きません。

知りたいことは調べます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

⑴キャッシュレス決済、手数料の開示義務化とは?

⑵キャッシュレスサービス 業界整理

⑶なぜソフトバンクがいない?

⑷LINEペイ 利用者数、楽天ペイ 設置カ所 の多さ

⑸QUIC PAYによる革命

⑹今後の業界動向 考察

*キャッシュレスと書いておりますが、基本的には、電子マネーについての考察です。クレカ、デビットカードは考慮しておりません

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

⑴キャッシュレス決済、手数料の開示義務化とは?

”政府はキャッシュレス決済の事業者が加盟店から受け取る手数料について開示するよう義務付ける。7月以降は再び手数料が上がる可能性が高い。決済業者間の差を開示させることで競争を促し、小売店が比較や選別をしやすくする狙いだ。”(2020/06/04日経より抜粋)


そもそもキャッシュレスサービスは、サービス会社に売上の数%を渡す構図、になっています。 (クレジットカードと同じ手数料ビジネスです)

今回ん手数料開示義務を受け、小売店はサービス料金を一目で比較検討できるようになりました。現金化までに日数も開示されるようです。そのため、業界内で安値合戦が行われることが想定されます。

「利益率の開示義務 とは酷い制度だ」と思われるかもしれませんが、案外普及しており、自分の身に置き換えると、カード会社のローンやリボの年利は全社開示されており、皆さんその中から安い所を好みます。それゆえ、借り換えという制度が存在します。

しかい、ATMの手数料だったり、支店の多さ、その他サービス、などで利率だけではないメリットで差をつけており、事実、我々も、利率の安い、地銀やネット銀行ではなく、大手銀行をメインバンクに持つことが多いですよね。

今回の構図は、

手数料値上げ希望キャッシュレス業者vs安くさせてもっと浸透させたい政府

になります。その背景、理由について分析します。

<キャッシュレスサービス会社の言い分>

初期導入のためにサービス無料料金期間を設けていた、また客寄せパンダのために消費者還元も多く行っていたため、それを回収しにかかる。

コストの大半は通信費で、金額にかかわらず、取引回数に応じてかかるので、コンビニなどで少額小口の取引が増えた現在コストがかさんでいるため、手数料を上げたい。→政府が、通信業界に口利きする予定

<政府側の言い分>

・オリンピックを控え、今後さらなるインバウンド需要(訪日外国人向けの買い物)に備えて利便性を上げたい

・非接触の支払い方法のキャッシュレス払いは、コロナ対策として有効

・そのために、手数料を開示させて、キャッシュレスサービス会社の競争を激化させ料金を上げさせないように牽制したい。特に中小事業者まで広げようとした際、手数料の安さは必須。

以上を踏まえて、国内業界を一歩覗いてみます。


⑵キャッシュレスサービス 業界整理

まず、キャッシュレスサービスは5つに大別されます。

①通信系 ②ネット系 ③金融系 (④交通系 ⑤小売系)

それぞれサービス名、会社名、利用者(2019年5月頃)、設置数(2019年5月頃)を列挙してましょう。

①通信系

ⅰ)ID(NTTドコモ)500万人 105万カ所

ⅱ)AU PAY(KDDI)300万人 100万カ所

②ネット系

ⅰ)LINE PAY(LINE(株))3200万人 171万カ所

ⅱ)PayPay(PayPay(株))800万人 60万店

ⅲ)楽天ペイ(楽天) 非公開 300万カ所

ⅳ)メルペイ((株)メルペイ)200万人 135万カ所

③銀行・金融系

ⅰ)QUIC Pay(JCB)1000万人 81万カ所

ⅱ)みずほ、三菱UFJ、三井住友 各社開発 利用者、設置個所共に情報なし

ⅲ)銀行ペイ・りそなペイ(GMOペイメントゲートウェイ

④交通系

ⅰ)Susica(JR東日本) 715万人 61万カ所

Kitaca(JR北海道)/SUGOKA(JR九州)/nimoca(西日本鉄道)/ICOKA(JR西日本)//TOICA(JR東海)/

ⅱ)PASMO(首都圏私鉄、バス)PiTaPa(関西の私鉄)

ⅲ)その他manaca(名古屋鉄道) など

⑤小売系

ⅰ)nanaco ⅱ)WAON

ざっと大きなところは、上記の通りです。(他にあればコメント下さい。追記いたします。)

ちなみに、サービス会社はクレジット決済の場合は回収をカード会社に委託、回収不能リスクを負う。一方で、SUICAなどの現金チャージ制(プリペイド)は、前金制度になるため回収不能のリスクがないという大きな差があります。

気になる点がいくつかあるので、紐解いていきます。


⑶通信系にソフトバンクがいない?

通信系では、ドコモ、AUがそれぞれ自社開発を行っているにも関わらず、ソフトバンクが参入していない点。不思議に思われると思われます。

実は、もともとPayPayはソフトバンクとヤフーの合併会社だったが、2019年5月に資本割合が変わり、今ではソフトバンクは、PayPayの筆頭株主です。

とはいえ、現在ソフトバンクの支払いで使えるのは、SuiacaとEDYのみ。この理由は不明です。単純にシステム的に向いていないとかかと思われます。


⑷LINEペイ 利用者数、楽天ペイ 設置カ所 の多さ

1年前の計測値のため、現在とはかなり差があると思われますが、掲題2社は群を抜いております。

調べるまでは、PayPayが圧倒的と思っておりましたが、実情はそうではないようです。(ただ誤解無いようにお願いしたいのが、あくまで設置カ所の話のため、ネットサービスなどはまた別になります。)

ちなみにサービス開始時期は以下の通りです。

LINEPAY 2014年12月 / 楽天ペイ2016年10月末 / PayPay 2018年6月/

携帯の時と同じく、多額の広告費を使って一気にPayPayを流行らせたのは、ソフトバンクらしい手法だと言えるでしょう。

⑸QUIC PAYによる革命

2019年7月大手カード会社JCBが運営するQuicPAYは「smart code」を各社に提供。簡単に言えばバーコードで決済を行える機能です。

https://www.global.jcb/ja/press/00000000162837.html

LINEPAY、AUPAY、メルペイも提携を開始。この機能によって、加盟店の初期投資額が低下、飲食店など特別なレジ・バーコードリーダーが無しで活用可能になりました。

楽天ペイは独自のバーコード機能を有し、また、簡易決済機社にて開発、提供を行っていますが、まだ隅っこまでは採用されていない状況です。

⑹今後の想定 

2025年までに政府はキャッシュレス決済比率を40%にする目標を立てているため、日本において、キャッシュレス文化は追い風です。

毎日多額の金額を扱うため、ある程度の資本規模と信頼度が必要になります。ベンチャー系が新規参入は難しいでしょう。そのため、現在ある中から統廃合されていくと想定します。

現状、LIEPAY、楽天ペイ、PAYPAY、Suica交通系が先行しており、このまま生き残ると考えます。

導入時期が遅く、導入時に客寄せできなかった銀行系は軒並みなくなるでしょう。(大手銀行がお金ばらまいて客寄せなんてできないので、そもそもイノベーション系の楽天やPAYPAYには対抗できない。独自のシステムも弱いので)

LINEPAYはLINEの流行と使用規模の観点から、PAYPAYは海外展開の素早さ(中国のALIPAYと提携、あんまり実用的ではないそう)、楽天市場がある限り、それぞれの理由で生き残るでしょう。

交通系も、電車に代わる交通手段ができない限り、独占な事業なのでSUICAを使わざる得ないため、生き残ります。

ここから頭一つ抜けるには、先進国各国で使える共通サービスになること。



以上

よろしくお願いいたします。


商社マン太郎




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?