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クボタ、下水汚泥の再生事業に新規参入

こんにちは、商社マン太郎です。

知っていることを書きます。知らないことは書きません。

知りたいことは調べます。


2020年5月20日 日経記事「下水汚泥のリン、肥料に、クボタが回収再生事業」の記事を受け、汚泥のリサイクルが可能になれば、さらなる環境問題解決に繋がり、GOODだね ということで、記事にします。

何より、ゴミ(処理費用がかかるもの)が商品(価値がつく)ことで大きなビジネスチャンスになる という視点で、現在リサイクル事業を深く見つめている商社マン太郎の視点で書かせていただきます。

⑴株式会社クボタ 概略

⑵下水汚泥からリンを取り出す、再生事業に新規参入。今クボタがやる意味と、その重要性。

⑶リン回収方法について 方法と課題

⑷今後の展望と個人的意見

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⑴株式会社クボタ 概略(HP:https://www.kubota.co.jp/kabe/)

BtoBの会社のため、一般消費者には名前は知っていいても、どんな会社か知らない。というイメージですね。詳細以下の通りです。

設立:1930年12月

事業概要:大きくいうと、水、食料、環境 に関わるものづくり。

農業機械(トラクターなど)、鋳鉄管(水道インフラに使われる水道管など巨大な管)、それらのエンジン、 の生産。プラント事業も一部。

世界中の水道インフラ、農業の機械化の要となってきた会社です。

機械仕入:デンソーがメイン。販売先:自治体、国、全農。

売上:20年12月 1.9兆 予想(横ばい予想。コロナの影響不明。下方修正見込み)*12月決算

時価総額:18,906億円

農業機械メーカーとしての印象が強いですが、水道管や、農業、小型機械にてインフラ事業に関わっていると言えるでしょう。海外の水、環境災害などでも多く活躍しております。

例えば、記憶にも新しい2011年タイのチャオプラヤ川氾濫においては、タイ史上最大規模の甚大な被害をもたらした。日本政府はその年の11月初頭、 JICA(国際協力機構)による国際緊急援助隊専門家チームの派遣を決定し、移動式ポンプ車による排水を支援しました。クボタが開発に携わったこの排水ポンプは、25mプールを10分で空にできる性能を持ちながら、従来品に比べて95%以上の軽量化に成功しました。その高い機動力でタイ各地での排水活動に従事し、復興の立役者となった。

⑵下水汚泥からリンを取り出す、再生事業に新規参入。今クボタがやる意味と、その重要性。

クボタは、下水汚泥に含まれるリン(P)を回収して肥料に再生する事業に参入する。植物の生育などに不可欠なリンは原材料の鉱石がモロッコや中国、米国に偏在しており、資源に乏しく純輸入国の日本は調達リスクにさらされている。(日本経済新聞抜粋)

そもそもリンとは、枯渇性資源とよばれ、価格、物質ともに不安定。日本は全量輸入に頼っている。用途としては、植物(穀物)の生育に使われる。

世界の年間のリン消費量は約1.2億トン、年々増加傾向

世界のリン鉱石の採掘量は2億4000万トン(中国が半数、モロッコ、米国が続く)

中国は、関税を引き上げ、内需を優先している。米国は、1990年より採掘の環境規制で輸出を禁止。新興国最後のフロンティと呼ばれるモロッコは、情勢が不安定。

つまり、必須物にも関わらず、生産国が少ない。加えて、鉱石のため限りがあり、採掘により環境負荷がかかる。需要面、環境面から見て、世論的には再生事業を支持する方向に必ず向かっていくことが予想される。

肥料の価格も20年前と比べ100円/kg➡︎200円/kg と倍になっている。

リンの再生事業は主に、汚泥・し尿 からの回収分離が主になります。

人間の体内にも存在し、肉魚、卵、乳製品などに多く含有し、腎臓機能が低下すると体内で処理できなくなる。あのリンである。


リン➡︎肥料製造➡︎農家 への主な商流は以下の通りです。

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環境省(https://www.env.go.jp/recycle/misc/jokaso/pamphlet.pdf)

こちらはリン鉱石からの仕入れになっているが、この部分が

畜産業者の糞尿や工場汚泥→産業廃棄業者(登録必要。小さい会社が膨大)→メーカー(クボタ)→消費者(全農・農家) になっている。

ちなみに分離手法の差はあれど、東芝、太平洋セメント、水ing、KOBEハーベスト、など様々な会社が行なっている。


⑶リン回収方法について 方法と課題

リンを汚泥、し尿から回収する方法は大きく3つ

<従来型>

MAP法:もっとも一般的で、薬液を大量に投与して、リンと結合させ結晶化して取り出す方法。薬液が多量に必要かつ、純度が低い。

HAP法:電気で分離する方法。電気が大量に必要で効率が悪い。

<トレンド型・吸着法>

汚泥内部に有機物質をいれ、リンを選択的に吸着して取り出す方法。

この吸着する際の、有機物質各エーカーこぞって開発し、

より純度が高く、効率的な回収方法を模索しているのが現在の状態です。



⑷今後の展望と個人的意見

前述の通り、環境面、資源枯渇の面からみても、リンの効率的なリサイクル実用化は急務です。

今後どの会社が、回収方法の特許を取り、ファーストペンギンになるのか。

大手、古参の東芝か、新規参入のクボタか。まだまだ業界として歴史の浅い分野なので、今後の発展が楽しみです。


ちなみに個人的にはクボタ一押しです。

理由は、需要家に近く、実用化が早そうなうえ、コストコントロールがしやすそうだからです。

以上

よろしくお願い申し上げます。





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