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読書メモ:因果推論の科学_20221002

難解な数学書は、哲学書に似てますね。

久々に、びっしりメモとりながら本を読んでいます。要約しながら読まないと、どこまで理解したか分からなくなってしまうから。

この本は、標準的な統計解析、近年実用化されて大活躍のベイズ推定、筆者が提唱している因果推論、の3つの方法のについて、有用性と限界を説明しています。

と書くと穏やかな印象ですが。
前半では、長年、偏った考え方を採用し続けた科学界を、しっかり目にディスってる本でした。

翻訳者が夏目大さんだからでしょうか。
普通に数学や科学の歴史を扱った読み物として面白いです。

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科学界では「データは客観的、意見は主観的」という姿勢が常識です。

自分の意見や思い込みが反映されないよう、研究者は「統計解析」を使って、決められた手法、手順に沿ってデータを記述します。

この「統計解析」には、実は、原因/結果の因果関係を表す用語はありません。

例えば、頭痛持ちの患者を2群に分けて、一方にはプラセボ(偽薬)、もう一方にはアスピリンを飲ませ、アスピリン群の方で頭痛持ちが少なくなったとします。

人間なら直感的に、アスピリンを飲んだから(原因)、頭痛が治った(結果)、と判断しますよね。

でも、統計解析では原因も結果も表すことができません。

できるのは、2つの群の結果に差があるということだけ。

「2群に差がある」
「2群の違いは、アスピリンの有無だけ」
この事実を使って、帰納的にアスピリンの薬効について述べることができます。

なんとももどかしいですが、科学の議論はこのくらい、主観が入るのを嫌います。


主観や知見も織り込んだ上で、解析できる方法はないだろうか。

そのような試行錯誤の中で出てきたのが「モデルを使った因果推論」です。

統計解析は群間の有意差について記述するだけ。
一方、モデルを使った因果推論では、自分がピックアップした「結果に影響する可能性のある要素」を盛り込んで解析することができます。

ちなみに、最近のAIを使った解析ソフトの多くは、自動で解析用のモデルを作成する機能が付いてます。
そのソフトの基礎理論となっているのが「モデルを使った因果推論」です。

AIを使った解析を、ブラックボックスのままにしたくない人には、おすすめ本です。

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20年くらい前、私は「因果推論」の前段階である「ベイズ推定」を仕事で扱うことがあり、本屋で専門書を探しまくって、結局見つからなかった覚えがあります。

今はこんな良い本があって、いい時代ですね。


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