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寿司のネタからワサビが透けて見えて、不安におもう

(写真は本文と関係ありません。めっちゃ美味しそう。)

家族で回転寿司に行きました。キャンペーンメニューを確認すると、マグロを推している様なので、普通のマグロ、1皿100円を注文しました。

到着した皿をみて、あれ?いつもよりネタが薄い? と感じました。まあ、でも元の柵の形によっては、薄く切らないと儲けが出ないのかもしれません。

ネタをめくり、酢飯にワサビを載せて、再度ネタを載せます。

食べる前に寿司をみて、また感じます。やっぱりネタが薄い。ワサビが完全に透けてみえる。これ薄すぎじゃないか。

食べると、味は悪くないです。おそらく、酢飯とネタの比率が多少いびつでも、調味料で美味しく食べさせることができるのでしょう。


チェーン店の寿司は、味を調味料で調整されています。以前、寿司をテイクアウトしたとき、家にあった醤油を付けて寿司を食べてみました。味がしない、というか、店で食べるよりも不味く感じました。

家の醤油は小豆島産で、材料も工程もできるだけ昔のまま醸造されたものです。醤油だけでも旨味を感じます。一方、回転寿司屋の醤油は、甘味料を筆頭に、様々な調味料を混ぜて作られています。私が美味しいと感じた回転寿司の味は、調味料の味であることを、その時知りました。

私の故郷の福井では、取れたての魚が普通に食べれます。子供が福井でテイクアウトの寿司を食べるときは、いつもの3倍くらい食べる場合があるので、お腹が大丈夫か心配になります。

子供は味が分かるようです。でも、回転寿司ばかり食べていたのでは、この味覚を体験できません。日本は貧乏になっており、高級魚を他国よりも高値で競り落とせない、と読んだことがあります。回転寿司の魚の質も、下がってきているのかもしれません。

材料を厳選した美味しい寿司を味わいたい時には、それなりの対価を払わなくてはいけないようです。そこで味わう感動は、大多数の人には体験できない、特別な感覚になってしまうかもしれません。


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「世界の映画館」という本を見つけてパラパラ開き、色彩に惹かれて思わず購入してしまいました。選りすぐりの映画館の写真が、80館くらい掲載されています。

日本の映画館も2館取り上げられていました。イギリス、アメリカ、フランスが多くを占めます。歴史を感じるオペラ座のような建物あり、現代アートのような建物あり、屋外でビールを楽しみながら観れる映画館あり。椅子も贅沢なものを使っており、特別な経験を提供するためにこだわり抜いた空間であることが分かります。この映画館が提供するプログラムはきっと面白いに違いない、行ってみたい、と思ってしまいます。

でも、一方で心配なこともあります。こんな贅沢な空間は、制作費も維持費も高くなるでしょう。多くのお客さんに利用してもらわないと、運営できないのではないでしょうか。

今の日本の状況で考えると、絶対無理、と思ってしまいます(本に記載されていた広島と新潟の映画館の運営状況が気になります)。時間やお金に余裕がなく、配信サービスで満足してしまえば、余分に費用を出して映画館に行く必要はありません。

劇場のわくわくと高揚する感じは、配信サービスでは得られません。映画以外のエンタメもそうです。歌や踊りもそうだし、歌舞伎など伝統芸能も然り。でも、この高揚感は、体験したことがある一部の人だけの、特別な感覚になってしまうのでしょうか。


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美味しいお寿司や特別な映画。この楽しさを実感している人が、どんどん減ってきている様に感じています。私が好きなフラメンコのライブに行っても、自分より若いお客さんを見る機会が少ないです。

エンタメは利用できる人が少なくなったら、簡単に世の中から消えてしまいそうです。消えたら元通りに戻すことは難しいでしょう。資本の維持・発展を優先する多くの人にとって、エンタメの優先順位は、IT基盤構築やコロナ対策よりも低いのかもしれません。

でも世の中の多くの物事について、これまでずっと合理化を突き詰めていった結果、人間の五感が閉じてきているような、そんな感覚を覚えて不安になりました。

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