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見上げればいつも四角い青空#2 さくらの季節が終わる

今年の、さくらの季節が終わる。

3月上旬にとても暖かい日が幾日か続き、当時は3月中旬が満開になると言う。
それを聞いたボクとうちのおくさまは、紀尾井坂のさくらが見えるレストランを予約し、楽しみにしていたのに、それから突然寒くなって、蓋を開けてみれば、東京では何年かぶりの4月の開花宣言となった。

そうして、ボクらの目論見は、もろくも砕け散った。

そんな個人的な紆余曲折を経て、今年も、飯田橋から市ヶ谷にかけてのお濠を挟んで咲く桜並木や、市ヶ谷から上智大学の横を通ってホテルニューオータニに至る桜並木、外堀通り沿いに咲く最高裁判所前の桜や国立劇場前の桜、英国大使館前の桜並木に、同大使館と靖国通りを挟んだ向かい側に咲くお濠端の公園の桜、そして千鳥ヶ淵の桜を、散歩して楽しませてもらった。

みんな桜色というのか、ピンク色というのか、色の濃さは様々で、白の入り具合も異なり、みんな違ってみなキレイだった。

ただ、開花が遅れたせいなのか、それとももっと別の要因なのか、例年は、鞠のように咲いて、花の先には空の青さえも見えないほどだと思っていたさくらの花の束が、今年は、どの木のさくらの花の束も幾分小さくなったように見える。そして、すでに新緑の小さな葉をつけているものも多いように思える。それはそれで、淡いピンクの色に青空と合わせて深緑の緑がいいコントラストを構成していて、キレイでよかった。

そんな中でもボクらには、特に思い入れのあるさくらがある。それは、国立劇場前に咲く神代曙(じんだいあけぼの)というさくらだ。

染井吉野よりも幾分早く咲くこのさくらは、桜色が色濃く、青空の下に見ると一際キレイで、毎年このさくらだけは、「もう咲いているかな?」と二人して気にしている。今年も何度も訪れた。もちろん、奇跡を期待するかのように、満開を予想された3月中旬にも訪れた。

そして、東京で開花宣言が出されたタイミングで訪れてみると、今年も、やはり桜色が色濃く、キレイに咲いて見せてくれた。

今年は、染井吉野と比べて咲くのが早かったのかは分からなかったけれど。

さくらの木とともに、ボクらももちろん、これからも年を重ねていく。さくらの花の束が幾分小さいと思ったように、先日まで気づくことすらなかった体のあちこちの不調を感覚的に気づくようになってきた。

年齢を重ねることは悪いことではないが、元気でいられるように気をつけなければならない年齢になっているのも事実だ。

あと何度、こんな風にこのさくらを見ることができるだろう。そう振り返って考えるさくらの季節だった。

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