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事業譲渡スキームで建設業許可を継承させる方法②|M&Aアドバイザーのお役立ち情報

前回記事に続き、建設業許可の継承についてです。今回はそのやり方をざっくりとですが説明します。

事業譲渡契約書締結がスタート

まず、事業譲渡スキームで売主から買主に建設業の許認可を継承する場合には、双方の事業譲渡契約書の締結が「スタート地点」となります。この契約書をベースに、どの許認可を継承するのか、どの資産を継承するのか等を明らかにした上で、許認可継承の申請手続きを行うからです。

ここで、契約書作成の面で下記の点について留意しました。

①締結日と譲渡日

事前に国交省に確認したところ、この許認可継承のスキームを利用すると「おおよそ4ヶ月かかる」と言われていました。なので、事業譲渡契約書の締結自体は3月末に完了できたのですが、4ヶ月間を見越して8月1日を譲渡日として設定しました。

文言はこんな感じです。(参考までに)

「本件事業の譲渡日は令和4年8月1日とする。但し、売主および買主が前項よりも前に本件事業に係る認可を受けた場合には、その日を譲渡日とし、売主は本件事業を買主に対して譲渡し、買主は本件事業を売主から譲り受ける」

②事業譲渡の対象

今回の新制度を使った許認可の継承は、「建設業の全部」を買主に継承することが必須条件です。つまり、売主に建設業の一部事業やそれに係る資産が売主に残ってはいけないのです。
従って、契約書内の「対象範囲」を「全部」と明記しました。

文言はこんな感じです。(参考までに)

「売主は、買主に対し、次条以下の定めに従い、売主の下記事業を譲り渡し、買主はこれを譲り受ける。」
(1)事業範囲:建設業の全部
(2)事業対象地域:XXX  

譲渡完了後の「買主の貸借対照表の提出」を要請された

今回の新制度活用にあたり、国交省に事業譲渡完了時点の「買主側の貸借対照表を提出するように」と言われました。

これには、買主が特定建設業の許認可を保有する企業なので、本事業譲渡成立によって特定建設業の財産要件を欠くことにならないかどうかの確認が必要、という大きな理由がありました。

特定建設業の財産要件というのは、下記4点が挙げられます。(下記すべてを満たすことが要件です。)

(1)欠損比率 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
(2)流動比率 流動比率が75%以上あること
(3)資本金 資本金が2,000万円以上あること
(4)純資産 純資産の額が4,000万円以上あること

国交省としては、買主に特定建設業の許認可を維持させるためには、事業譲受によって対象となる資産・負債を継承した上でも、上記をすべてクリアしている状態を維持できているという「確実な証拠」が欲しい、ということです。

ここで困ったのは、譲渡直後に正式な財務諸表を決算書の形式で提出するタイミングというは、買手の次の決算月を迎えるタイミングですので、国交省からのリクエストである「譲渡直後の貸借対照表」というのは作成するタイミングがありませんでした。

しかしながら先方はお国の役人。「なんとしてでも証拠が欲しい」という感じで、「M&A直後には財務諸表をつくるのは法律で決まっているはず」くらいの勢いでした(そんな法律は無いのですが…)。

それだけ、財産要件が欠けないという証拠が欲しいという感じだったんです。

仕方ないので、代替案として、買手の税理士さんが事業譲渡成立時点(8月1日)の暫定貸借対照表を作成してもらい、税理士さんの手書きで「これは特定建設業の許可要件(財産要件)を満たしています」とコメントを記載した上で、顧問としての押印をして提出してくれました。いわば専門家の観点でも「問題なし」と保証してもらうことで解決した感じです。

仕方なく税理士さんへ頼んだ次第でしたが、柔軟で素早い税理士さんだったので、非常に助けられました…。

そして、書面のやりとりを経て、5月上旬に申請完了したものの承認が下りたのは、7月上旬でした。予想よりは早かったなという印象です。

実際の通知書はこちら。(無断転載・ダウンロード禁止)

■従業員が確実に転籍している証明を出すこと

最後に、この譲渡日をもって従業員が確実に買主へ転籍している証明が必要でした。これは建設業許認可取得という意味では、想像に容易い手続きかと思います。譲渡日付で買主名義での社会保険に加入しているという証憑を提出することで対応しました。

以上がざっくりとした、手続き面のおおまかなトピックスとなります。やり方の説明はここまでとしまして、次回、新制度活用にあたり苦労したことを振り返りたいと思います。

本日はここまでです。

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ではまた♪Adiós❤

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