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新しい箱よりも

 こんにちは。おやかんシューシュー沸騰状態のnishioです。

 ・・・って冒頭から相当キレていますが。

 先日、とある高校の学校説明会に参加をしてきた。その学校は、不登校を経験していたり、学びづらさを持つ子どもたちへの手厚いサポートを謳って新設された学校である。説明を聞く限りにおいては、学校自体はとてもいい学校なのだと思ったのだけれども・・・合格者(定員)に対する志願者の割合、つまり倍率を聞いてぶっ飛びそうになった。

 3倍。

 いや、どんなエリート校だよ・・・

 なんなんなんなんなんなん!!!???

 「適切なサポートを受けながら学びたいです」と希望しても、そんな切実な願いすら叶えてもらえない現実があるって。「適切なサポートを受けながら学ぶ」って、どの子どもたちも持っている権利じゃないか。

 高校は義務教育じゃないんだから・・・という声が聞こえてきそうだけれども、ちょっと待って。義務教育でその権利が保障されなかったから、高校に持ち越しているんだよ。だから「公」がその宿題を担うのは、当然なんだよ・・・でももうすでに高校さえキャパオーバーで、子どもたちのニーズに応えきれずに驚愕の競争率3倍超えって・・・

 どう考えても高校を「新設」して、義務教育をカバーしていくなんてこの先もう無理。16人に1人が不登校という時代に、新しい箱を増やしたって追いつくわけがないんだ。焼石に水。その現実を突きつけられて、たまらない気持ちになった。

 そうして当然の論理の帰結として。

 素敵な理念を持つ学校を新しく作るんじゃなくて、今ある学校にこの新しい素敵な学校「み」をガンガン加えていったらいいんじゃない?素晴らしい理念を、今ある学校に浸透させていけばいいだけの話なんじゃないの?と思うに至った。

 義務教育でどんどん子どもたちを排除していって、その子どもたちを包摂しますよと高校を新設しても、包摂されずに排除されてしまう子どもたちが出てくる。もうそんなマッチポンプ状態をやめて、「義務教育でそもそも排除しない」仕組みを考えていっておくれよ・・・

 倍率1を超えてしまうということは、そこで「選別」が行われるということである。学力で選別しない(できない)場合、基準は「意欲」みたいなものになってしまうと思う。でもね、意欲の「ある」「なし」なんて、子ども(だけ)の責任じゃない。「たたきのめさないで」という記事にもしたためたが、本来あったはずの意欲も、不適切な指導や環境でたたきのめされてきた子どもたちがどれほどいることか。焼け野原にしといて、「それにも屈せずに立ち上がる者たち、ついてこい!」ってもう・・・無理。イヤ。大嫌い。しかないよな。パワハラみがすごすぎる。

 というわけでプリプリブリブリ怒りまくっています。このどうしようもない(公教育の)状況にビジネスがどんどこ参入してきていて、期待もある半面不安も拭えず。某通信制高校を選択肢の一つにしているムスメ氏、その理由は「adobe使い放題(イラストレーターも!アフターエフェクトも!!)」だったりするのも、教育のサービス業的側面に惹きつけられている結果である。現時点でその良し悪しは判断できないけれども、色々な物事が根底からひっくり返っていく予感がして、正直怖い。

 「adobeくらい買ってあげるがな。」ってオットはいうけれど、え、結構サブスクえげつないよ・・・?学生プランでも月々のスマホ代以上よ・・・?とオロオロしているワタクシ。もうさ、ほんとにさ、「消費」の形も変わってきちゃって、その変化自体に狼狽えちゃうよね・・・

 おっと話がそれてしまった。

 ところで「不登校」という言葉でひとくくりにされている現象も、その内実は様々である。「学校」という場所を選択していない、その理由や背景はそれぞれに異なる。それゆえ必要とするサポートや環境改善も、実際のところは多様なはずである。たとえばムスメさまは自分なりに学習を進めているので、高校で基礎学力をつけるためのサポートを必要としているわけではないから、おそらくそうした高校のカリキュラムは学力レベルに合わずに楽しく授業に参加することはできないと思う。しかし一方で通常の通学スタイル、授業スタイルは彼女にとって過酷で、「ゆっくり自分のペースで学び続ける」ことが叶わなくなってしまう。「学力」という軸でみたら、「(自分にとって)ハードな環境に合わせて頑張る」か、「(自分にとって)学びにならない授業を受け続ける」かの二択状況であることを否めず、「(自分にとっての・自分に合った)学びの質を落とさず、自分のペースで学ぶ」ことのできそうな場所は今のところ見つけられていない。だからぶっちゃけ、「いかに(時間的・経済的に)効率よく高校卒業資格をとり、手にできる自由な時間で自分の学びを自分のペースですすめるか」みたいな話になってきており、あまり学校に教育を期待しない方向性ではある。

 でもこれはムスメさまに限った話ではなくて、周囲の学校へ行っていない・行きにくい同級生のお友だちたちの多くは標準的な学力があり、「学び直し」のサポートよりは、「学ぶ環境」の調整(ていうか改善!)を必要としていそうである。そういう意味においても、特別なサポートをする「箱」を作るよりは、通常の高校教育で学習ペースや学習スタイル、環境を選べるようにして欲しいと思うのである。

 ・・・と、高校進学を前提にしているけれども、わが家は独自の「中学校卒業程度の学力試験」を突破しなければ高校進学を認めないことになっているので、「受験よりそっちのほうが大変よ。」とムスメさま。全日制の公立高校は受験しないが、同じ問題にチャレンジして8割をとることを(今のところ)課している。ただし「理解していること」「身についていること」を目標にしているので、試験時間の制限はなし。ゆっくり問題に向き合って、よく考え、解ければいいことにしている。今のところ競争じゃないからね。スピードアップや「解ける問題で落とさないための問題選択」などの受験攻略テクは、もっとあと(大学受験のとき)でいいと(私は)思っている。8割ってどうも難しいらしいんだけど、時間制限なしだったらいけるんじゃないかしら。

 とか言って私が撃沈したりして。

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