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17歳の夏休みに一人で屋久島に行った時の話

皆さんこんにちは。
ホリプロインターナショナルの「棒キャンディー特有の開けにくい根元の包装」こと実島大喜です。

皆さんは高校生の夏の思い出といったらどんなものがありますか?
私の高校生時代の夏の思い出は、

・高校1年:ワンパクの化身。三日寝ずに毎日遊び続けた結果、雨の日に路上で失神。左半身びしょびしょ

・高校2年:学校の方針で減らされすぎた夏休みに腹を立て、「夏休みは自分で手にするものだ」と啖呵を切って一人屋久島旅を強行

・高校3年:椎間板ヘルニア発症により2週間の入院と手術。友人達が浴衣でプリクラを撮っているなか、病衣を着て栗饅頭を食べながら民放がやっている尿特集を観て一つ賢くなる

などがあります。

彼女と浴衣を着てお祭りに行くだの。
打ち上げ花火の音で思い切った「スキ...(小声)」の声が聞こえないだの。
夏期講習の帰りに気になるあの子とアイスの買い食いだの。
大きな天ぷらが食べたいだの。

ふざけるなと。甘ったれてんじゃねえぞと。

失神、ソロ、手術こそ夏の風物詩だろうと私は声を大にして言いたい。

「モテなかっただけでは?」という意見に対しては

時に正論は人を傷つけるのだ

さて、事の発端は漠然とした「な〜んか最近つまんないし、世界遺産でも見たいな〜」といったものでした。

そんな思いを心の隅っこにぶら下げていた日々の中、偶然書店で屋久島のガイドブックを見かけました。
手に取るとまぁそこには「世界遺産の縄文杉!!!もののけ姫の舞台!!!鹿とか猿もいるぜ!!!」とオモロの八宝菜みたいな場所ときたもんで即買い。
夏に行けたら思い出になるぞと心を弾ませる。

しかし私の通っていた学校が
「夏休みだーあ??んなもん削って勉強だ!!なんせおまんら偏差値が低ぅて低ぅてたまらんからの!!」
と打ち出してきた。
初めはたんまりあったはずの夏休みは2週間ないくらいになり、他校の友人達からは同情の声がしっかり届いてきていました。

最初のうちは渋々登校していましたが、次第に「世間の学生達は夏休みなんだよなぁ...?」と徐々に憤りが溜まっていく反抗期の実島。

「この手で掴むべきではないのか、夏休みを。学生という限られた夏を!!」

「行くかあ!!屋久島!!」

要約:サボるぜ!!

その日のうちに家族へ屋久島に行く旨を話しました。
旅費はお年玉等を貯金してもらっていた所から捻出する事にして、宿は民泊を予約しました。


〜行くぜ屋久島!〜
一日目


当日、屋久島行きのフェリー乗り場まで母に送ってもらい、そこからが一人旅のスタートとなる。

期間は3泊4日。
自然溢れる屋久島でどんな思い出を作れるのか、生まれて初めて世界遺産を見た時どんな気持ちになり、どんな名言が生まれるんだろうか!!

期待に胸を膨らませていると、電話がかかってきた。

「実島くーーん!!!!!今ァ!!ドコニイルノ‼︎‼︎早く学校来なさーーい!!!!」

担任の先生からのいつもの怒鳴り声でした。

「先生...俺さ、みんなより先に夏休みを手に入れたんですよ。。。というわけで!!屋久島行ってきま⤴︎〜す!!」

電話を切る際、バイバイとか失礼しますを言わなかったのは初めてである。

アホ



そんなこんなしてると屋久島行きのフェリーがやってくる。
フェリーを最初に見た感想は「硬そうだぜ」

快晴の中フェリーは順調に出発して、周りが全て海に囲まれていることがすごく新鮮だったのを覚えています。

そして2時間程フェリーで過ごしてついに念願の屋久島に到着!!

横文字がイカすぜ
包み込んでくれ...俺を。

なんとまぁ素敵な場所なんでしょうか。
夏休みの始まりにピッタリの環境です。
空気が美味しく、街並みも美しいだけでなく屋久島にはゴミが落ちていないんですよね。

都会の人間にも分かりやすく伝えると、田園調布くらいゴミが落ちてない。
自分と同じ田舎出身にも分かりやすく伝えると、役所の前くらいゴミが落ちてない。

屋久島の空気で肺をパンパンにしたら、まずは民泊に向かいました。
とてつもないカンカン照りの下で民泊まで向かうのはなかなかハードで、南国宮崎の暑さで鍛えたこの体躯を持ってしても何度溶けるかと思ったか計り知れませんし、多分溶けてました。

ポォゥヨ‼︎‼︎

30分程かけて到着した民泊は、屋久島の議員さん夫婦が経営されていると知って驚きました。
ご挨拶をして、部屋に荷物を置いたらオーナーが車で屋久島を軽く案内してくれました。
軽トラックの窓を開けて風を感じながらオーナーと談笑する時間がさ...最高!!!

その後はお昼ご飯を食べるためにオーナーと一旦別れてお蕎麦を食べました。
冷房と蕎麦で涼んだ身体での〜んびり散歩しながら宿に戻る途中、壁の苔にこんな落書きがありました。

なつみちゃんの好きはいっぱいある。
だから僕が思っている好きとは少し違う。
僕が思っている好きっていうのは、愛してるの好きなんだ。
<パイロット版ハム太郎より引用>


LOVEのOが♡になっているのも、大文字と小文字がバラバラになっているのも、妙に携帯小説感が出ていてポイントが高いです。

さて、二日目には「もののけ姫」で有名な“白谷雲水峡”という苔がすんごくて美しい場所に行く予定だったのでこの日はもうゆっくり休みました。
夜明け前のバスに乗らないと白谷雲水峡には行けないので早寝が大事。

白谷雲水峡、本やネットで見ただけでも本当に綺麗なんですよね。

その景色を実際に見られたらめちゃくちゃ感動するに決まっているのだ!!


二日目




寝坊しました。


くそぉ〜〜〜〜っ......!


負け犬です。

えー...言い訳をさせてください。
あっそこ、持ってるレンガを下ろしてください。当たったら死にます。

早起きは出来たんです。
でもギリギリバスに間に合わなかったんです。

見てくださいこれ。

作品名:早すぎる帰路
ーーーーーーーー
撮影者:実島大喜

午前5時14分の写真です。
白谷雲水峡行きのバスに間に合わず途方に暮れていると朝日が昇ってきて、その無邪気な曙光が私の心の影をより強くする写真です。

仕方ないので宿に帰り、悔しさを抱き締めて二度寝しました。

二度寝完了。

オーナーの奥さんに寝坊で白谷雲水峡に行けなかったことを報告。
奥さんの何とも言えない笑顔を見届け、お昼に慰めのおにぎりを頂戴した。

何もしないのも勿体無いので屋久島文化村センターに行き、満喫。
屋久島の模型が悪の組織が持ってるやつみたいでカッコよかったです。

帰りに海へ行き、そこでおにぎりを食す。
隣にニギハヤミコハクヌシがいたら泣いていたかも知れない。

で、、

パ〜ノ〜ラ〜マ〜!!(ナースのお仕事風に)

見て〜〜!!!きれ〜〜い!!!☺️☺️☺️✨✨

潮風で関節錆びちゃうかも〜✨✨

あはは✨✨捕まえてごら〜ん!!✨✨

きゃっ!ちべた〜い!!✨ンバカ〜ン!!♡♡





よし、堪能。

母なる海が我が心を浸し、洗い流す。

そして帰りにお土産屋さんに寄ってこんなものを買いました。

んー、セーフ!!

セーフでしょう。
売店のおばちゃんがこれを買った時に「これで1人じゃないね」と笑顔で言ってくれたのがなんだか嬉しかったのを覚えています。

とまぁこんな感じで二日目終了です。

何ですか??
二日目の内容が薄い?
グ、グラデーションだから...グラデーション。
旅のグラデーションだから。

というわけで、三日目の縄文杉だけは絶対外せない。
これを見にきてんだからさ。
反省から学ぶのさ。

さぁ、、、私は寝坊せずに夜明け前のバスに乗って登山口に着くことが出来るのでしょうか.....!!!


三日目





行けました。

間に合いました。

他の観光客のみんなさんとバスに乗って登山口まで着けたので、早速...
「目指せ縄文杉!一着で行きたいねぇ!」のスタートです。

道中はトロッコ道→山道→縄文杉といった感じで、往復10時間程。

俺はトロッコ。トロッコなんだ。

トロッコ道は昔屋久杉を運搬する為に使われていたものがそのまま残っている感じです。

山道は想像以上に天気が変わりやすく、急に土砂降りが来たと思えば服がパサパサになる程快晴になったりと、ヒステリックな天気に振り回されて体力が奪われます。

一人ゆえに自分のペースでガンガン行けたので比較的楽だったのですが、途中で水分が足りなくなるという事態に陥ってしまいました。

み、水...

そう思い道を進んでいると、湧水を発見しました。

ヒャッハッハッハ水だーーっ!!

本当に助かりました。

※実際山の水を飲む時なんかは健康被害を起こす事もあるので一概にはオススメは出来ません。

運が良かったのか屋久島の水が極まってたのか。とりあえず水をペットボトルにも補充しました。

さて、長い時間のトロッコ道を終えてゴツゴツした山道に入ります。

酸素作れるなんて凄いよ君たち


ただただ歩く。
電波も届かないので無我で歩く。

色々見かけるが写真は下山の時に撮ろう、実島大喜の頭には縄文杉しか頭にないのだ。



願わくば一着。一等賞。



時を忘れるかのような集中の境地!!



そしてついに....

はっ...!はわわっ!!
でっ

でっっかいね君ィ!!

世界遺産の縄文杉を最初に見た感想は「でっっかいね君ィ!!」でした。

もっとさ...
「縄文杉を見た瞬間、縄文杉が見届けてきた長い歴史の重みを肌で感じて勝手に涙が流れました。」
「何故か初めてじゃない気がした。きっと僕の先祖の血がそう認識させたんだと思います。」
「一瞬で物凄いインスピレーションが湧いてきた。一句読めそうです。」

みたいなアーティスティックな感想が湧くと思ったのですが、どうやら私はアホのそれ。
お門違いの素っ頓狂。
スカタン丸出し無明の虫だったわけですね。

情けないかぎりです。

ちなみに一等賞でも何でもありませんでした。(悔しい)
流石世界遺産といいますか、厳重なバリケードがあって間近で見る事は出来ませんでしたが圧倒的「巨」と「神々しさ」を感じられました。

で、ここで自分でも気づかなかったのですが私(わたくし)想像以上に疲れていました。

ノンストップだったのが原因かも知れません。
無事目的を果たせた達成感から気が抜けてどっと疲れてしまって、目の前の縄文杉どころじゃ無くなっていました。

近くの椅子に座ってゆっくりと呼吸を整えていると

うそ、、、

ここ、、、


3G繋がるんだ。。。

1番の衝撃でした。

というわけで下山します。
目的は達成できたので色々とゆっくり見ながら帰ることが出来ました。

大王すぎる名前の木や
君たち仲良すぎ、流石に夫婦すぎねぇ?な木


ん...?

これっ...
やあ

鹿くん!!

会えて嬉しかったです。
時々猿の鳴き声も聞こえてきたのですが、死角から襲われた時にカウンターを打つか否かを考えていた為カメラを回していません。

というわけで無事昼過ぎに登山口に戻ってくることが出来ました。

下山部門は一等賞でした。

あとは帰りのバスでお金が1万円しか無くて焦っていた所、バスが長めの停車をするというラッキーに恵まれたので近くにあったモスバーガーでご飯を買ってお金を崩せました。

モスバーガーのポテトがアツアツだったので口の中が少しただれたのはアンラッキーでした。

とまぁこんな感じで三日目終了しました。
無事に縄文杉を見れて大満足。
後は明日帰るだけです。


最終日

前日の疲れもそのままに、お昼のフェリーまで時間があったので少しお散歩しました。

例の「Do you L♡VE me?」が何となく気になったので最後に見にいくと

まさかの返事が書いてありました。


私の知らないところでアオハルよろしく夏の青春編が行われていたのかも知れません。

こんな苔で告白し合うカップルの世界観に呑まれては、流石の実島大喜もモブキャラになり下がります。

屋久島の若人の感性に感服し、宿に戻ってオーナーの奥さんにフェリー乗り場まで送ってもらいました。(オーナーも奥さんも優しい)

奥さんに感謝と別れ、そしてオーナーに感謝の伝言を告げ、硬そうなフェリーに乗り込みました。

船内で屋久島の一人旅でもらった沢山の思い出を振り返り、お土産で買ったキーホルダーを握りしめながら私はゆっくりと眠りました。

終わり

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