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山伏修行その2_やわらかい魂

山伏修行_その1のつづきになります。

2年目(2019)は、修行始まった初っ端に、先達の息子さんである聖さんに呼び止められる。
「三代さん、カメラ持って来てます?」とのこと。
携帯してないですが、宿坊に置いてる荷物には入ってますとお伝えすると
「先達が、あいつは撮りたいんだろ、って言ってるんで撮ってください」と。
はいぃぃぃいい?カメラ禁止じゃなかったでしたっけ?いやてゆーか私、修行だけで精一杯ですよ!って顔でなんとか「ぅううけたもぅ…」と一声発する。
その時持っていたのはNikonのFE2というフィルムカメラ、そしてなんとフィルムは36枚撮りが1本しかなかく、しかも白黒…。レンズは28mmのみ。。
もうそこからはとにかく、他の人の滝行を見ながら、何を何枚程度撮るかの算段をして、自分は滝は烏の行水して、、シャッターを切るという基準は出来うる限り高くしなくては、などなど一旦頭がパツパツになったが、湯殿をおりる頃には静かに意志を固める。

そこからは写真を撮りながらの行でした。その中で、自分の内側と外側がひっくり返るような感覚があった。それまでの自分というのは、外側を赤いマグマで覆って内側がぬるま湯のような状態、であったのが、外側をぬるま湯にして内側に青白いマグマを持ってきた感じ。この行からは他人と混ざる事も怖くない、という風な妙な安心感を持つ事ができた。
とにかく暑くて、水をガブガブ飲んで身体中の水分が入れ替わった様な行だったのでそういう感じがしたのかなぁ。
それと、カメラを持つ私を、その行でご一緒した人達が完全に"うけたもう"してくれた事も大きく関係している気がします。

その時撮った写真は、後に星野先達と清乃さんが出版された「野生の力を取り戻せ」のなか絵として使っていただくことになる。
36枚撮って、13枚使っていただいた。これはすごい打率。。

夢中で無心で、でもきっと険しい顔して撮ったのに、写真はリラックスしてる、という不思議な塩梅で。

やわらかく在ろうとする魂を、写していたんだろうか。

つづく

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