『君とゆきて咲く~新選組青春録~』 第1話「運命の出会い」

 幕末の京で、小さな茶屋を営む父と暮らしていた深草丘十郎。しかし店に逃げ込んできた男を匿ったために父は長州藩士・庄内に斬殺されてしまう。父の敵を討つために壬生浪士組の入隊試験を受けた丘十郎は、同じ応募者の鎌切大作との立ち会いを命じられる。しかし剣の達人の大作には全く歯が立たず……

 テレビ朝日の「シン・時代劇」なる枠で、手塚治虫の『新選組』を原作とした作品が放送されると知ったのは今年の一月だったかと思いますが、ついにこの四月末から放送がスタートしました。

 本作の特徴は、やはり二人の主人公である丘十郎と大作を『仮面ライダーリバイス』に出演した二人が演じる(ちなみに丘十郎の父親もリバイス出演者から特別出演)ほか、キャストを『仮面ライダーギーツ』『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』『魔進戦隊キラメイジャー』といった東映の特撮作品、あるいはいわゆる2.5次元ミュージカル出演者が大半を占めることでしょう。

 正直なところ、これらの作品には疎い(特に主役二人が出ていたリバイス)ので、そちらの方面からの適切な評価は私にはできないのですが、しかしこれまでも東映の特撮出演者をメインとした時代劇がVシネマなどで製作されてきたことを思えば、その延長線上の作品として納得できます。
 そしてなによりも、それがテレビで連続ドラマとして放映される意味は大きいと言うべきでしょう。

 もちろん、それも時代劇として成り立っていなければ本末転倒なのですが、冒頭のあまりにカラフルな花火(まあ、時期的にはギリギリセーフかな……)、月代という文化はどこへ行った感のある髪型を除けば、これはこういうものとして、楽しめる内容でした。
 特に、この第一話のクライマックスである、入門試験での丘十郎と大作の対峙は、(丘十郎は剣の素人という設定もあって)かなり無茶ながらとにかく動こうという剣戟はなかなか面白かったと思います。
(その後のドキドキハプニングは、まあどうかなあ、とは思いますが……)

 そしてまた、主役二人以外の実在の新選組のキャストも、こちらの持っているイメージから基本的に大きく外れないビジュアル化なのも嬉しいところで――明らかに主人公二人よりも上の年代として(一歩引いた形で)描かれていた原作に比べ、同年代として描くことで、彼らの存在感も増しているように感じられるのは、本作の独自性でしょう。

 ここで小うるさいマニアとして原作と比較しておくと、この第一話の内容は、原作に基本的に沿ったものではあります(冒頭の二人の姿は原作ではここで描かれるものではありませんが)。
 一番大きく異なるのは、原作では入隊試験で丘十郎と大作が対決するものの、すぐに大作と近藤が入れ替わり、近藤が丘十郎を叩きのめす展開になることですが――ここは主人公二人の関係性を描くためということで納得のアレンジでしょう。

 一方、キャラクター配置で一番気になるのは、原作では丘十郎を付け狙う凄腕の浪人だった南無之介が、新選組の一員になっていることですが――彼の存在は原作では数少ない女性キャラと密接に関わるものだっただけに、もしかしてその辺りが大きくアレンジされるのでしょうか。
(と思って公式サイトの相関図を見ると、どうも女性キャラとのロマンスは本気で排除しにかかっているような……)

 その他、浪人の子だった丘十郎が(おそらく)町人の子になっていたり、丘十郎の父の仇が土佐藩士から長州藩士になっていたりと細かい異同は色々とありますが、その辺りの意味はこの先見えてくるのかもしれません。後者は新選組の敵=長州という連想から来ているのかもしれませんが……

 あ、大作の丘ちゃん呼びは原作由来です。

 と、導入部として色々な意味で楽しめた第一話ですが、そういえば原作でも悪役として大きな存在感があった芹沢鴨は――と思ったら、最後の最後に姿を登場することになります。
 これがどう見ても三浦涼介だよなあと思っていたら本当にそうだったのですが、いかにもお似合いの妖しげなビジュアルはちょっと今までの芹沢像にはないもので、作中でどのような芹沢が描かれるのか、こちらも楽しみなところです。

公式サイト

原作の紹介はこちら


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