『君とゆきて咲く~新選組青春録~』 第2話「トドカヌオモイ」

 晴れて壬生浪士組入隊を許され、大作や南無之介と一緒に山南の下に配属された丘十郎。しかし期待と違い、町のゴミ拾いや炊事といった雑用ばかりなのに腐るのだった。そんな中、丘十郎は町で父の仇・庄内玄悟を見かけ、挑みかかったものの一蹴されてしまう。そのまま止めを刺そうとした玄悟だが……

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 何だかミュージカルの一場面を思わせるダンスシーンが入るOP(前回はEDに流れましたが)を経て始まった今回、第一話がプロローグだとすれば、物語が本格的に動き出した感があります。といっても前半はキャラクター紹介編といった趣きで、南無之介が丘十郎に教える形で、先輩隊士たちの説明をするのがメインとなります。
 前回も触れましたが、実在の隊士たちは、その典型的なイメージを踏まえてビジュアル化・キャラクター化されている感のある本作。特に冒頭で紹介される原田の体育会系ぶり(大作の「豪快槍」呼ばわりが可笑しい)や、誰がどう見ても山南にしか思えない山南(しかし袴にわざわざ山南の名前入りというのはツッコミどころ)などが印象に残ります。そしてある意味オチとして登場する、「怖い先輩」感のある芹沢も……

 また、印象に残るといえば、沖田と斎藤という、史実でも新選組屈指の使い手だった二人が、本作では実際に動ける(殺陣を見せられる)俳優が演じているのも嬉しい。寡黙で黒いコスチュームのいかにも斎藤らしい斎藤と、同じく寡黙で時々悟ったようなことを言う(これはなかなか斬新な)赤いコスチュームの沖田と、対照的な二人の立合いシーンはなかなか見ごたえがありました。(――あれ、そういえば永倉は?)
 しかし、その立合いの中で、沖田の大作評が語られるのがまた面白い。前回ラスト、強くなりたいという丘十郎に「剣は人を斬るためのものではない。己の心を斬るものだよ」という言葉を与えた沖田ですが、その彼が大作を「剣に迷いがなさすぎる」「己の心を斬っている。まるで死人の剣」と評するのに込められた意味は――今後の展開を思えば、天才ならではの直感というべきでしょうか。
(前回ラストで突然説教めいたことを言い出した時には、血は争えない――などと思ってしまったのですが)

 そして後半は、丘十郎と大作の関係が再び掘り下げられることになります。自分の前歴を語ったものの、仇討は諦めろといわんばかりの態度を取る大作に反発する丘十郎。ところがそのタイミングで仇である長州藩士・庄内玄悟を見かけしまった丘十郎は、勢いだけで突っ込んでいき、返り討ちにあうことになります。
 文字通り一蹴された上、玄悟に斬られそうになる丘十郎――と、ここで当然大作が止めに入るかと思いきや彼は動かず、止めに入ったのは耳にピアスをした土佐弁の「謎の男」(役名)。過激派の維新志士にも顔が利く、妙に人懐っこい土佐弁の男の正体は――まあどう見てもあの人なのですが今回は明かされず、大作はこの謎の男から意識を失った丘十郎を託されることになります。大作が屯所に連れて帰ってくれたことを知った丘十郎は、甘い物好きの大作にお礼代わりに汁粉を作って振る舞うのでした。

 ――と、何かいい雰囲気になって終わったのですが、丘十郎が大作に訊ねた、壬生浪士組に入った理由も、玄悟と戦わなかった理由も結局語られぬまま。まだ第二話なのでこの辺は引っ張って当然なのですが――前回、玄悟が原作の土佐藩士から長州藩士に変更になった理由についてあまり深く考えませんでしたが、なるほど、原作の設定を考えると、これは明確な意図を持っての変更なのだな、と感じさせられます。

 また、原作といえば今回のエピソードはほとんどオリジナル――と思いきや、丘十郎が仇の庄内と出くわし、斬りかかるという展開が入隊直後にあるので、この辺りを踏まえたものでしょう。もっとも、原作の丘十郎はそれなりに腕が立ちますし、大作も普通に助太刀するので、むしろ「謎の男」が丘十郎を止めに入るのですが……
 あ、大作が甘いもの好きなのは原作通りです。

 さて、ラストには南無之介がかつて仕えていた松永家の若君・新之丞が登場するも、何やらガラの悪い連中に絡まれて――と、やたらとキャラの距離が近いEDで、主役コンビ並みに距離の近い南無之介と新之丞が次回はメインになりそうですが……


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