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【起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男】 -ほぼ1,000字感想文

○タイトル:起業の天才!―江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男
○著者  :大西 康之
○発行  : 東洋経済新報社 (2021/1/29)


■ざっくり概要

一代で大企業を築き上げ、かの有名な「リクルート事件」を引き起こした稀代の起業家、江副浩正氏のジェットコースター人生をまとめた一冊。

 政治分野ではどうしても悪人として描かれる同氏だが、起業家・経営者としての手腕は確かなもの。なぜ今もなおリクルート社が君臨できているのか?そのDNAの源流を窺い知ることができた。 

また、本著の登場人物の豪華さは、もはや日本経済界のアベンジャーズ。笑
バブル経済の中で、どのような人々が未来図を描き、日本を変えようとしていたのかが興味深い。巻頭の人物紹介からじっくり読んでほしい一冊。

■学びポイント

○リクルートは、日本経済に風穴を空けた元祖・ベンチャー

本著前半は、旧来的な日本経済に対して、セオリー無視の戦略でリクルートが快進撃を続ける、痛快なストーリーが主軸になる。ところどころで出てくる日本の大企業の様子は、当時のリクルートの異常さを測る物差しのよう。

現代では体系化されている組織論や経営戦略の骨子が、何十年も前に日本で実現されたいたことは、驚愕の事実であった。


○リクルート事件は疑獄という見方も

本著では、日本における最大規模の贈収賄事件である一方、いまだに明確な白黒が付け難いものであることが示唆されている。その背景には、既得権益を脅かされ江副氏に嫌悪を抱く新聞社、執拗な取調べに燃えた特捜部、都合よく資金源を得ようとした政治家、加熱する世論といった、それぞれ思惑を抱えた勢力が混戦を極めた様子が描かれる。

要素が1つ欠けていたら、「リクルート事件」はなかったのかもしれない。


○歴史から学ぶべきは"善悪"ではない

本著の面白いところは、ヒール役が明確に定まっていないところにあると感じた。それぞれが自身の正義・利益を追求し、ぶつかることで歴史が刻まれていくプロセスを俯瞰できるのが魅力であった。

江副氏は結果的に失脚したが、捉えていた未来予想図は的確であった。GAFAが台頭し、ことごとく世界から取り残される現代日本をみると、惜しい気持ちも生まれてくる。

未来を生きる我々が学ぶべきことは、結果ではなくプロセスにあるのかもしれない。"善悪"・"勝敗"は時流に合わせて変動するものなのだと思う。


※関係者の皆様へ
感銘を受けた作品だからこそ、より多くの方に読んでもらいたくnoteを記載させて頂きました。作成画像など、内容に問題がある場合は即刻掲載停止しますので、ご一報頂けますと幸いです。

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