【世界の今を読み解く「政治思想マトリックス」】 -ほぼ1,000字感想文
○タイトル:世界の今を読み解く「政治思想マトリックス」
○著者 :茂木 誠
○発行 :PHP研究所 (2020/11/28)
■ざっくり概要
複雑化・多様化した世界の政治思想について、二元論で語らず、マトリックス構造を使い解説をした一冊。
横軸を経済的な「平等←→自由」、縦軸を政治的な「ナショナリズム←→グローバリズム」という図を基本とし、そもそも右翼・左翼とはなんなのか?なぜトランプ政権をはじめとした保護主義が世界を席巻しているのか?なぜイギリスはEU離脱を断行したのか?などの政治ニュースを整理している。
学生時代に丸暗記した世界史を、もう一度知識として整理し、現代のニュースを読み解く基礎知識に転換することができた。
■学びポイント
○「右派と左派」はフランス革命で生まれた
現代政治でも思想の基準となるこの概念はフランス革命後の国民議会で、誕生した。王政を排除し、共和制となったフランスでは、国民公会という議会が開かれ、議長席からみた左側にルイ16世の処刑などを求めたジャコバン派、右側に革命終結を求めるジロンド派が着席。
この配置が後世に残る「右派と左派」という対立構造である。当時における「右派」は、共同体の伝統と秩序を重んじ、急激な変化を求めない「保守主義」。一方「左派」は個人の権利と自由を重んじ、改革と進歩を求めた「自由主義」であった。
○アメリカで起きたリベラル思想の大転換
1930年代、世界恐慌真っ只中にあった当時、アメリカではルーズヴェルト大統領(民主党)がニューディール政策を指揮していた。これにより、失業率の低下・経済の立て直しを計っていた。
元々「個人の自由と権利が最大限に尊重されること」を主張していた自由主義者からは、この一連の政策に対して批判が続出。自由なアメリカを潰していると言われていた。
これに対して、ルーズヴェルトは「旧来のリベラル思想が貧富の差を拡大してきた。社会保障を充実させ、国民一人ひとりの面倒をみることこそ、真のリベラルだ」という主張を展開。
フランス革命時より、「個人中心×経済的自由=リベラル」vs「国家中心×経済的自由=保守」という対立構造だったものが、「国家中心×経済的平等=リベラル」という真逆な概念に置き換わってしまった。
これが大転換となり、現代における「リベラル」とは、社会保障を充実させた大きな政府が主導していくという意味合いになっている。
※本著では、上記のような前提知識を揃えたうえで、各国の近代史を整理しています。気になる方はぜひ、お読みください!
※関係者の皆様へ
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