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「オメガ3神話の真実」の真実①参考文献を見るまでもなく論理的におかしい

書評の動機

 この書評を書くに至った動機、それは、著者のオメガ3批判が高じて、PUFA(多価不飽和脂肪酸)を含有する菜食の批判まで展開していることである。著者は常日頃生化学の勉強の必要性を訴える一方で、この主張は現代化学の父、アントワーヌ・ラボアジエの発見に反するのだ。

 1772年、マッカーが、生物体から分離される動植物質が、水の存在、瞬間的な微量の空気との接触、熱量の揃った特定の条件下で自発的に変化を起こし、発酵し、発酵素を産生しつつ腐敗を起こすと考えた。
 その原則の下、水は大地に、大地はポプラに、生肉が液体になり血液を産むものとされた。
 この問題に関するラボアジエの登場以前の科学は端的にこのような状況であった。
(中略)
 ラボアジエは、水が大地にも、大地が植物にも変移しないことを証明し、更に植物は空気を栄養源とするとまで主張し、後に確認された。そして植物が動物の生存に必須の栄養素を合成することを証明したことで、動物は植物を栄養源とするとまで主張したのだ
Macquer in 1772, in agreement with the savants, regarded it as certain that vegetable and animal matters, abstracted from living organisms, under certain conditions of the presence of water, of contact, at least momentarily, of the air and of temperature, become altered of themselves, ferment, becoming putrid in producing the ferment.
And according to the same principles it was said that water could transmute itself into earth, the earth into a poplar, and that the blood begets itself by the transmutation of flesh into the flowing liquor.
Such in a few words was the condition of science upon these questions before the advent of Lavoisier.
In fact, Lavoisier, after his demonstration that water did not become transmuted into earth, nor earth into plants, asserted that plants draw their food from the air, as was verified later. He even asserted that animals obtained the materials for their nutrition from plants, thus demonstrating that plants effected the synthesis of the substance without which animals could not exist.

-The Blood and its third anatomical element(血液とその第三の解剖学的要素):Author's Preface

「動物は生存に必須の栄養素を植物から得る」、これは後述する葉酸回路、ワン・カーボン回路に着目すれば実に的を射ていることが分かる。フィッシュオイル批判に止まるなら兎も角(この点は本記事でも重要となる)、菜食の完全否定は人間にとって致命的である
 また、何よりも著者の展開する健康理論(PUFAフリー)に、被害者の声がゼロではないということである。従って書籍中に見られる問題点についてきちんと批判されることが喫緊であるという要請もある。

感想

○納得する点

<フィッシュオイルが兎にも角にも有害である> 

 この点は完全に納得する。特に、後述するとある一本の論文を前提にすれば、現代人の慢性病が全て繋がり、それによって著者の主張は初めて完成するものと考える。

○批判する点

<「PUFAを含む」の一点で緑黄色野菜を否定すること>

前述の通りこれは頂けない。別に私はヴィーガンでもベジタリアンでもないが、野菜の恩恵は受けている。特にスベリヒユLOVERとしては許し難い

山形県で「ヒョウ」の名で親しまれるが、環境を選ばない生命力に加えて異常な繁殖力を持つことから、農家に嫌われる残念な多年草。
実はオメガ3を中心に栄養豊富である。ネバネバを納豆に混ぜるのが個人的に好みである。

また、そもそも「脂質を液体で摂取する」こと自体に酸化のリスクが伴うものであり、魚類に関しても魚を直接摂取する場合にはその負担は軽減されるものと考えている。実際、サバ缶で非常に調子が良い。

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要約

はじめに

 権力者は大衆を完全支配(full spectrum dominance)しようとしており、その権力者に共通するのが優生思想(eugenics)である。その優生思想を実現する為に、権力者達は人口削減を手段として歴史的に実行してきた。
 人口を削減するには民衆の生殖能力を落とすことが必須となる。WW2前後には外科的に生殖不能にする手術が行われ、日本でも「優生保護法」でこれが実際に行われた過去がある。ところが、現代では法規制により表立ってこれができないので、権力者は日々の食事に不妊用の毒物を混ぜることにした。

この不妊用の毒物の一つがPUFA(多価不飽和脂肪酸)である。

 圧倒的有害なPUFAを礼賛する論文しかないのは、
1.現代医学が権力者が作り上げたシステムの一つであり、
2.そのシステムにより、メジャーな雑誌に掲載される論文は全て権力者のナレーション(大衆に吹き込みたい内容)である為である。
3.これは古代中国で、秦の始皇帝が大量の書物を焚書し信者を抹殺(焚書坑儒)したことの延長である。
4.知識を独占し、下々の者にはナレーションを吹き込む行動様式をグノーシスという
5.そのシステムの恩恵を受けつつ情報弱者にマウントを取る大量のサイコパス達が生まれた原因は、セロトニンとエストロゲンが原因である。

※①~④は同意するが、⑤はThe Biology of Aggressionを参照した方がよい。特定成分を責めるより「副腎への攻撃」や「腸内細菌叢の破壊・異常増殖」など、臓器・組織単位の異常・日常に溶け込んだ生物兵器が原因と考えた方がよい。

 その情報統制の中にω3も含まれており、反証論文は悉く撤回されるようになっている。PUFAは糖のエネルギー代謝を落として不妊率を高めるのだ。


第一章

※第一章は事例紹介なので、有料部分で考察する。


第二章「オメガ3は"必須脂肪酸"ではない」

必須栄養素の定義は
・欠乏すると障害がでる
・自分の体内で産生できない
であるが、人体は必要のないものは体内で産生しない為、「必須」の定義がそもそもおかしい。 

著者は「合成」(※この場合「産生」)を定義していない
Biosynthesis(生合成)とDe novo Synthesis(新合成)の違いに触れていない。
生化学の基本である。

●Biosynthesis(生合成)
 :生体が「食事で前駆体を摂取」することで化合物が産生される現象
●De novo Synthesis(新合成)
 :体内の単純な原料から新しく化合物を産生する現象
 ※"De novo"という言葉自体に「from the beginning(初めから)」の意味がある。

これは著者自身が

「リノール酸とリノレイン酸は、野菜(ブロッコリー/ホウレン草)から摂取した不飽和脂肪酸を材料として体内合成できるのです。」

‐27% 97/448ページ 位置No.815/3155

「リノール酸からアラキドン酸、そしてリノレイン酸からフィッシュオイルの成分であるEPA/DHAが合成されます。
体内では、この逆反応も起こっていることが明らかになっています。
つまり、食事中あるいは体内のアラキドン酸を材料として、リノール酸を合成することも可能です。」

‐27% 99/448ページ 位置No.829/3155

と記述しており、これがまさに「生合成」の話である。
また

「私達は、飽和脂肪酸を体内で糖質から合成できるのですが、飽和脂肪酸の方をむしろキープしているのです。」

‐28% 108/448ページ 位置No.858/3155

とも記述しており、これが「新合成」の話である。

生合成:
①食事で 組成の類似する物質を
②酵素反応により 合成する現象
新合成:
①単純な原料(糖質など)を使って
②全く別の物質を 合成する現象
(飽和脂肪酸やコレステロールなど)

オメガ3は「生合成」はできるが「新合成」はできない!以上より、「必須」栄養素の定義は新合成の可否にあり、体内利用分を生合成に依存するオメガ3は食事で前駆体を摂取しなければ欠乏症状が生じる

また、体内で産生するものであっても欠乏すると障害がでる(例:糖/飽和脂肪酸)ものもある以上、「必須」の定義が曖昧であり、曖昧な概念のままω3が必須だと主張されている。

???体内で産生できるのに欠乏するとはこれ如何に??
それは細胞/組織傷害遺伝性疾患を疑うべきではないか?

そして著者はこの時点で、生合成と新合成の観点から必須栄養素の定義を考慮していないことが伺える。

PUFAを必須脂肪酸と定義したのは1929年のジョージ・バーであり、バーは
●ラットに脂肪食フリーの食事を与えて、皮膚炎と成長障害が起こることを発見した
●リノール酸(ω6)とリノレイン酸(ω3)の投与で皮膚炎が消失した。

ジョージ・バー
‐J Biol Chem. 2012 Oct 12; 287(42): 35439–35441.

当初はこの二つだけが必須脂肪酸と言われたが、後にそれぞれの代謝脂質のアラキドン酸(リノール酸→代謝→アラキドン酸)とDHA(リノレイン酸→代謝→DHA)も含まれることになる。しかし、ジョージ・バーの観察した皮膚炎・成長障害は、V.B6、亜鉛、V.C、他B群欠乏でも生じることが明らかとなった。
  脂肪フリー食で皮膚炎を起こした[※]ラットに、タラ肝油(EPA/DHA)を投与しても治癒せず、バー自身も実験に参入したが、皮膚炎は治癒しなかった。

脂肪食フリーで皮膚炎を再現しているのでは?だったら投与したタラ肝油側の問題を考えるべきでは?

PUFAフリーにすると糖のエネルギー代謝が上がるが、これは当のバー本人も認めた事実である。健康人を対象に6か月、脂肪抜きの食事をしたら

・体重減少
・血圧低下
・血液中の遊離脂肪酸減少
・仕事の後の疲労感消失
・片頭痛消失

の結果となり、バー自身が「脂肪食フリーにしようとヒトには悪影響なし」と結語している

ここで、個人的に意味不明な文章が出現したので、そのまま抜粋する

この段落、意味不明である。そもそもの問いは「リノール酸とリノレイン酸の投与で(皮膚炎と成長障害が)改善した理由」なのに、結語は「投与しなくても改善した理由」になっており、論理的に辻褄が合わない。

内容に突っ込むと、では脂質代謝にタンパク質/ビタミン/ミネラルは不要なのか?
脂質であろうと糖質であろうと、いずれにせよ代謝にこの3つは不可欠であって、何等PUFAが不要である理由にはならない

そしてこの現象を逆に言い換えれば、PUFAフリーにしてエネルギー代謝を糖質に偏らせることによって、タンパク質/ビタミン/ミネラルの生体の必要量が増加したとも考えられ、それは無駄に摂食量を増加させる原因ともいえる。それは同時に、PUFAを摂取していればそれらの摂取量が少量であろうと欠乏症状が生じないことを意味し、従ってPUFAは極めて腹持ちのする効率の良いエネルギー源である証左とも考えられる。

だから蜂蜜信者は「数時間置きに蜂蜜を舐めて補食をし、血糖値を維持する」などという、血糖値如きに振り回される極めて歪な食習慣を送らなければならないのだ。斯く言う私は、朝食に鯖缶(魚類中No.1のEPA/DHAの宝庫)を味噌汁にぶち込むだけで休憩なしにぶっ通しでPCと向き合える。変化が激しく多忙な現代社会に捕食を要求する健康理論など机上の空論である。

PUFAフリーによって糖のエネルギー代謝が20~30%高まるが、成長が遅れることも指摘されている。これは糖のエネルギー代謝上昇に伴って、必要となる栄養素(タンパク質/ビタミン/ミネラル)が増加し、(摂取量が同じままだと)栄養不足が生じる為である。

やはりどう見てもエネルギー効率が悪いようにしか見えない。
この部分が何を言っているか?

今 ま で 満 足 で き て い た食事量から
P U F A だ け 除 い た ら
栄  養  不  足  に  な  る
と著者は言っているのだ。筋トレをしたわけでもないのに消費量だけ増えるのだ。PUFAの腹持ちの良さをただ証明しているだけである。

「燃費」という単語が浮かんだのだが、私の感想に時宜を得て、エネルギー代謝を車に例えている部分があったので抜粋する。

恐らく対応関係としては
・エンジン
脂質代謝 = 軽自動車 ⇔ 3000CC = 糖代謝
・ガソリン
PUFA ⇔ 糖質
・潤滑油
タンパク質/飽和脂肪酸/ビタミン/ミネラル
 となるのだろう。

うまいこと言ったつもりなのだろうが、車の実用性で重視されるのは燃費のはずである。

脂質代謝と糖代謝の各々の完全酸化で得られるATP分子量を比べれば燃費の良さでどちらに軍配が上がるか(=どちらが優秀なエンジンか)は一目瞭然である。

だから糖代謝(この例の場合3000CC)に依存すると、何度も捕食・間食(給油)をしないといけないのではないか?

続く…


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