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海外移住は「隣の芝生は青い」&「妥協」の塊だ

私と夫はオランダに住んだあと、ヨーロッパの別の国に住み、2年そこそこでまたオランダに帰ってきた。

私の夫はこの二つの国を合計4回も行き来している。
その国に合計12年ほど住んでいるが、何度もオランダに帰ってきて、やはりその国に戻る、というのを繰り返している。


一方で私は、日本からオランダに来たものの、オランダが嫌すぎて夫の第二の故郷に移住することがとても嬉しかった。

だってホリデーで訪れたその国は最高で、彼の友達がみんな最高で。
実際住んでみたら広くて便利な場所にある家に格安で住めたし、やっぱり彼の友達はみんな最高だし、仕事も順調だし、とにかく楽しかった。



そんな私たちに子供が産まれた。

子供が産まれると、見えなかったその国の部分が見えてきた。
がっかりすることや、将来について不安な気持ちも出てきた。
妊娠中はこの国で絶対子供を育てたいと二人とも思っていたのに、いざ産まれるとずいぶん考えが変わってしまった。
やはり想像と実際体験するのは違う。


子供が産まれて、その国とオランダを比べることが増えた。
別にオランダが特段いいわけではないが、安全面では勝っていると思った。

そのほかにも、将来家を買うとなるとやはりオランダが一番楽だし、子供を育てながら仕事をするとなるとパートタイムが超一般的なオランダは楽に働けると思った。



結局、夫の仕事が理由でオランダに出戻ったわけだが、実は子育ての面でオランダの方がいいと思ったから帰ってきたのも事実だ。


私も夫もオランダが大好きなわけではないが、子供のためと思うとオランダがいいような気がしたのだ。

オランダの教育が特別いいかというと別にそうではなく、前に住んでいた国と比べて、いくつかの点ではその国の方がよく、いくつかの点ではオランダの方がよく、総合したらオランダの方がマシかもと思ったのだ。

その国の教育を私は気に入ってたんだけど、知り合いが増えて実際の教育について話を聞いたり、自分たちでいくつかチャイルドケアを見学しに行って、そこまでいいとは思えなかった。

だから、オランダの教育は子供が世界で一番幸せだとかそんなことはまったく思っていなくて、まぁオランダの教育にも問題はあるけど、住む場所などによっては今の国よりいいかなと思ったら引っ越した、という感じだ。



私自身、二つの国を行き来して思ったのは隣の芝生は青いってこと。
私たちが住んでいた国は、コロナ中のホリデーで訪れた場所で、自分自身すごく気に入って、オランダが嫌だったし引っ越しが決まった時は心底喜んだ。

そして住んでみて、やっぱりこういうところがいい、ここが最高!あぁ引っ越してきてよかったな、と思うことがたくさんあったのだが、やはりそれは最初の一年くらいで、徐々にその国の嫌なところも見えてきて、いろんなことに嫌気がさした。


そしてホリデーでたまにオランダに帰ってきては、オランダのことがなぜそんなに嫌だったのかと思うくらい楽しく過ごせた。

今回オランダに戻ることを決めた時、嫌だという気持ちよりも、なんとなく自分たちはオランダにそのうち帰るんじゃないかと思っていたから驚きはなく、ちょっと早いけどその時が来たか、という感じであった。


オランダに住んでいだ時は別の国が青く見え、別の国に住めばオランダが青く見える。
結局完璧な場所なんてないし、引っ越しはしてみないとわからないし、引っ越してから何年も経てば感じることも状況もかわるのだ。



数年ぶりに住むことになったオランダは悪くない。
緑がたくさんで、私たちが住む家は便利な場所にあって、新しい友達ももうできた。

この場所で落ち着くことを願っている私たちと、またどこか別の場所に住みたいという私たちと、二つの気持ちが混ざり合っている。

冒険が終わってしまうのはつまらないから。だからオランダは私たちにとってつまらない場所で、妥協の末に住む場所になったのだが、すきあらば別の場所にふらふらと行ってしまいがちな夫がいる限り、将来は不明だ。



ホリデー中に訪れてよかったから移住しよう!だとかネットの情報を見ると良さそうだから移住しよう!というのは非常に危険で、そのとおりにはならない。
その地で何年も暮らしていくには現実問題ビザが必要で、そのビザが簡単に取れたとしても何年も十分な収入を得続けて、家族全員が幸せと思う生活を続けられるか、そこが重要だ。
今回自分たちがスッと帰ってこれたのは私がオランダのビザを持っているからと、夫の国だから。
事務手続きは非常に面倒なので、楽に住める国というのは割と大切な気がする。

幸せと思えなくても妥協してまぁ悪くないかな、くらいで住むのがいいのかなと個人的には思う。


夫は4回も国をまたぐ引っ越しをしているが、最近夫のように複数の国を行き来してる人や、一年ごとに引っ越している人などに立て続けに会い、夫のような人がほかにもこんなにいるのかと驚いた。

彼らも同じように、他の国に行けば故郷がよく見え、故郷に戻れば他の国がよく見え、それを繰り返しているとか、面白い仕事があればどこにでも行くだとか、夫と同じことを言っていた。

みんな、同じなんだな。


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