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プロリーグ挑戦、戦力外通告、引退。今後日本人がCFL・NFLでプレーする為には②

前回の投稿では僕の引退に至るまでの経緯について書きました。
メキシコでアメフトをプレーして合計5年間(学生3年・プロ2年)そんな僕がメキシコでの経験を基に、日本人がCFL・NFLでプレーするのがなぜ難しいのか考えてみました。

(もし前回の記事をまだお読みでないなら、以下リンクより①が読むことが出来るので、是非お読み下さい。)

*先に申し上げると今回の記事のテーマはあくまで僕の経験から見えた意見であって、きっと違う意見のある方はいると思いますが1つの考えとして読んでいただけると幸いです。

このテーマについて僕の最終的な意見(今後日本のアメフト選手がするべき事)を書くには海外の組織、コーチなどのチーム関係者の基本的な考え方を書く必要があると思いますので、今回の投稿は選手ではなくチームやコーチなどの組織に関係している人、即ちフットボールチームの”大枠”の人々の考え方にフォーカスしていきます。

まず先に結論から言うと、日本のアメフトのリーグから(大学リーグ、社会人リーグ)から海外でのプレー経験無しでCFL・NFLに入る事は不可能な事だと思います。

それはコーチ・首脳陣の、ある”フィルター”があるからです。


海外から見た日本の選手

まずメキシコでプレーしていて日本の事や日本人を悪く思う人は、今のところ出会ったことがありません。むしろ僕が実際にインタビューを受けたメキシコのアメフトメディア関係者やチームメイトは日本について良い印象を持っています。
メキシコの多くのコーチは、メキシコ代表として日本代表と戦ったこともあります。2004年にはメキシコの学生代表と関西学生代表が王子スタジアムで、2016年には関西学院大学とメキシコ国立自治大学がメキシコシティーで試合を行うなど、実は日本のアメフトとメキシコのアメフトは親交があったりします。

実際に当時の経験を聞いても日本の選手に対して好印象を持っているコーチがほとんどです。(個人的にはもっと定期的に日墨のフットボール交流があればいいなと思うのですが)

またこれは多くの外国人が思っている日本人に対する印象(ステレオタイプ)ですが、日本人は真面目で勤勉という印象がありその印象からか学生時代のコーチや学校の先生からどちらかと言えば良い評価を受けたり、信頼されることが多くありました。

しかしそれは選手としてのイメージ。
試合に出場させる為には違う見方がありました。

海外のコーチが日本人選手を評価してしているのは、チームファーストの考えがあり何事にも真面目に取り組む姿勢。技術ではなく人としての内面的なものでした。これはコーチからするとエゴなどが少なく”扱いやすい選手”なのではないかと思います。

アメフトの技術に関しては、直近の国際試合の結果など実際の結果によってその国のアメフトの印象を決められがちです。
ここ数年、学生アメフト世界大会ではメキシコが日本に勝ち続けています。
僕は代表経験もありませんが、「なぜ日本代表はメキシコ代表より弱いのか?」と言う挑発的な発言には腹が立ったことがあります。

日本人とメキシコ人が競う唯一の機会が代表戦。そこでメキシコが勝つので ”日本<メキシコ” 即ち ”日本人<メキシコ人” という考え方になってしまうのです。それが僕の考える”日本人フィルター”もしくは”アジア人フィルター”です。

いろんな事を全て無視して簡単に伝えるならば、、

要は”アジア人差別”です。


このフィルターがあるから良いプレーをしても「マグレだ」「そんなの当たり前だ」言葉では褒めていても心の内はそんなことを思って評価しているのではと感じていました。

自身がメキシコに着いた時には「日本人のQB?日本人にアメフトなんかできるのか?」というコメントもありましたが、この発言も上記の考えがあるからだと思います。

このフィルターを無くす簡単な方法は、野球やサッカーのように国際試合で強豪国に勝つ事。そうすれば世界の人々の見る目を変える事は可能だと思います。

世界のプロリーグの外国人枠

プロリーグには、競技力の均等性を図る為に外国人枠というものが設けられています。僕のプレーしていたメキシコリーグ(LFA)は12名、CFLはカナダ・アメリカ以外の国籍の2名まで、IBMビッグブルーの近江選手がプレーしていて日本のアメフト界でも話題に上がったヨーロッパリーグ(ELF)、そして日本のXリーグ。僕の理解が正しければ全てのリーグに制限数に違いはあるものの、外国人枠が存在します。

そしてその貴重な外国人枠にはいつも当然アメリカ人がいます。日本のXleagueを含むプロリーグの外国人枠はNFLに辿り着けなかった・残れなかったアメリカ人選手の為の枠と言っても過言ではないと思います。

実際日本のXリーグで各チームが連れてくる外国人選手はアメリカ人ばかりです。僕も一度メキシコ人の実績ある選手(NFL IPP経験者)をXリーグチームにコンタクトしたことが有りましたが、見向きもされませんでした。。

メキシコのプロリーグも外国人枠はアメリカ人のみで、ほとんどのチームの先発QBはアメリカ人です。

このことから、日本を含め多くのプロリーグでは外国人枠=アメリカ人用という見方が出来ると考えます。

日本という島国を出て、外国のチームに所属すれば立派な外国人。アメリカ人がたくさんいる数少ない外国人枠へ飛び込んでいかなくてはいけないのです。

メキシコでは、いくら言語に問題が無くても日本人選手というだけで”日本はアメフト強豪国ではないから”というようなフィルターを付けて見られている時があります。

ここからは僕の予想ですが、おそらくこのフィルターはメキシコに限ったことでないようにも感じます。
逆にメキシコでそのような事が起こっているなら他の国プロリーグで同じ事が起こっているのではないかと考える事ができるからです。

CFL・NFL

カナダ(CFL)とアメリカ(NFL)のプロリーグはどうでしょう。

近年両リーグとも国際化を図る為、世界で才能ある選手を発掘・獲得しようという動きが見受けられます。
CFLの場合は提携のある国のリーグの選手数名を選出。カナダでトライアウトを実施し、その後インターナショナルドラフトを行なっています。

日本からも多くの選手が参加、そして僕の住むメキシコでも毎年何人かの選手がトライアウトに参加しています。

NFLにもIPPというアメリカ以外の国籍選手にチャンスを与えるプログラムがあります。

コーチ・首脳陣が求める選手とは

ここまで世界のコーチが外国人獲得=アメリカ人であるという書き方でしたが、実際にはそうでは有りません。正確には外国人獲得=アメリカ人 or  アメリカでのプレー経験のある選手です。

実際にCFLのチームに在籍した日本人選手のほとんどは、アメリカでのプレー経験がある人、もしくはアメリカのコーチにパイプがあるかの2つだと思います。(李卓選手、丸尾選手、町野選手、佐藤選手など)

メキシコ人のアメフト選手も僕の知る限り、トライアウト参加者からのドラフトはありませんでした。ドラフトされたのは僕と同い年のキッカーのみ(NFLスティーラーズでキャンプ参加経験有)そのほかにフリーエージェントとしてNFLのセインツ、ペイトリオッツのキャンプ参加経験を持つキッカーがCFLチームと契約しました。

NFLのIPPでもNFLチームから指名された選手の多くは、アメリカの大学出身やアメリカでのプレー経験のある選手が殆どです。

メキシコでもここ数年で2名オフェンスラインからIPPからNFLチームと練習生契約として参加しています。この2人はメキシコの大学リーグプレーした正真正銘のメキシコ出身の選手ですが、高校がアメリカの高校に通っていたり、テキサスに近いメキシコの州出身ということから小さい頃からアメリカ人との対峙経験が豊富、もしくはアメリカのコーチの間で話題になる選手達です。

例に挙げたのNFL・CFLへ辿り着いた、チャンスを与えられた選手の多くは、アメリカ人でなくとも(カテゴリーを問わず)アメリカでの競技経験がある。そういう人材を世界のコーチ陣は探しているのではないかと考えます。

まとめ


ここまで長く書いてきましたが簡潔にまとめると

1、国際試合で日本人の実力がどれくらいなのか評価されてしまっている
2、プロリーグのコーチ陣はアメリカ人を集めようとしている。
3、日本人・アジア人に対するフィルターの存在
4、アメリカ人以外の国籍選手が世界のプロリーグでプレーするにはアメリカでのプレー経験(評価)が必要。

この4点から日本の大学・Xリーグから(日本でのプレーのみで)プロリーグへ入団・活躍することは極めて難しいと感じています。

これから日本人選手はどのようにして行くべきなのでしょうか

③へ続く

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