CL プレーオフ 2ndleg vsレンジャース(H)

試合の印象

PSV 5-1 レンジャース
35` Saibari (1-0), 53` Saibari(2-0), 64` Tavernier (2-1), 66` Luuk de Jong (3-1), 78` Veerman (4-1), 81` Goldson (OG, 5-1)

リーグの計らいで1週間丸々休養を得たPSV。シーズンはもちろん、収入的にもクラブの未来も変えかねない重大な一戦。懸念のCBは1stlegで交代出場のシャウテンがそのままスタメンに繰り上がり。

開始30分は両チームと散発的なチャンスはあるも、ちぐはぐさが目立ち、そこに審判の笛も加わり、CLプレーオフとは思えない低レベルの試合を披露。徐々にPSVがボールを保持する時間が増すと、左サイドでランとフィーエマンの連携からクロス、サイバリが完ぺきなタイミングで走り込み、1-0。

後半もレンジャースの 17番、マトンドが独力で何度もチャンスを作るも不発。カウンターの流れからテゼがファーに上げたクロスをルークが頭で折り返し、フリーのサイバリが合わせ、2‐0。

古巣帰還のランマースが登場。彼のクラッチぶり、多才さは良くわかっているフィリップス・スタディオンの不安が的中。

ボックス内左で1vs1になるとシュートではなくファーへパス。タヴァニエが合わせて2-1。2-0は危険なスコアという格言にあるように、スタジアムが一気にナーバスに。

それもつかの間、コーナーをルークがあわせてすんなりとリードを取り戻す。3-1。

これで心が折れたのか、レンジャーズの反転攻勢のムードがあっという間になくなると、以後はPSVの一方的な試合。バカヨコのカットイン→シュートの繰り返しで右サイドを翻弄。オーバーラップしたテゼを使ったチャンスでエリア内でフリーのフィーエマンにパスが通る。右足を振りぬいて4-1。

さらに、レンジャースの屈服ぶりを象徴するように、CBのバックパスがずれ、キーパーが追いかけるもそのままゴールへ。5-1。

残り10分の時点で、相手の降参ムードを感じ取ったスタジアムは勝利を確信。終了のホイッスルを待たずにお祝いムードがはじまり、だらだらと試合終了。

1stlegの出来を見た時にはどうなることかと思ったけれど、18/19シーズン以来、5年ぶりのCL本戦に到達。よくやった!!おめでとう!!

サイバリ、開眼。ノア・ラン、もうひとつ。シャウテン、すべてがいい意味で無難。

新監督ピーター・ボスの就任以来、成長目覚ましいイスマイル・サイバリ。今夜の活躍で彼は今季の10番、もしくは攻撃的な中盤の1番手は彼だと確信させる最高の出来。今後、彼がステップアップを果たした際に、今日の試合はキャリアを変えた試合として記憶されるくらいのすばらしさ。レーンの中央でで陣地を回復し、ゴール前まで向かうドリブルが特に効いていた。ウィングで芽を出す若手にありがちな球離れの悪さも日に日に改善され、このあとのシーズンを通じて彼がどこまで成長するかは大きな楽しみのひとつ。

ランは、足元が上手いのはわかるけれど、プレーの選択肢はそんなに多くない。左サイドで輝いたガクポやシモンスのおもかげを求める期待値と比べると、トップスピードに乗るまでが遅い。コンディションが万全でない感じもうかがえるが、一方でもう少し周囲のを使いたがる選手で、純粋なウィングではないのかもなと勝手な印象を抱く。

シャウテンはさすがセリエAでやっていた選手、このレベルでは安心して見れた。バックラインでプレスをかけられても、最後はクリアすればいいし、それまでパスコースを探す、なんならキックフェイントで逆に行く余裕には今季の目玉補強の一人として十分な出来。シーズンを経る中で中核になってくれそうな期待感。ただし、加速力には乏しく、中盤に移った際にちぎられているシーンが何度かあったので、CBで見たい。

デスト、バカヨコ

デストとランを観ていると、エールディヴィジに出戻るのってこういう粗が目立つ、一長一短な選手で壁に跳ね返されたからだよなぁと再認識させられる。

セルジーニョ・デスト。彼はアヤックス時代からまったく成長していないどころか、バルサで適応に励んだ結果、迷走して余計訳の分からないことになっているように感じる。
SBとしてやっていくなら、1vs1の場面でもっと駆け引きが上手くなってディフェンダーとしてマシになるか、それを補って余りある攻撃性能を身に着けないかしないと、トップクラブに舞い戻るにはとても高い壁があるように思う。
キックのないアレクサンダー・アーノルドのような選手で、もうSBとして矯正、大成を期待するより、早く見切りをつけて左IHになる決心、をすべきと感じてしまうくらい彼のアジリティありきのプレーは好みじゃないので、どうしても心配が先立つ。

この左の現状は、マウロが怪我しなければ間違いなくスタメンなのになと嘆くほかない、というのが本音です。

バカヨコは、今日の試合で35milの値札のほとんどは年齢にあるということが明らかになったんじゃないだろうか。
ドリブル、シュートはもちろん光るものを持っているが、プレー選択が悪すぎるし、ボールを持ってから考え出すようなテンポでのプレーは経験不足を露呈している。

トップチームデビューすら1年ちょっと前のことで、主力選手として1シーズン試合に出続けた経験もない、こんな未完成な選手に35milを払ってくれるというならPSVは絶対に売りに走るし、大きな惜しさは感じない。

強いて言うなら、未完成の選手でも売ると分かれば自分たちが育てきる前に流出を招くので、チームのサイクルがさらに早くなり、結果長期的な地盤沈下を恐れは一考に入れるべきだろうが、やはりバカヨコという選手を失うこと自体にそこまで大きな懸念は抱いていない。

彼は素晴らしい可能性を秘めた選手には違いないが、一方でこのぐらいの才能を持った選手は少し待てば必ずオランダに現れるし、バカヨコに群がるプレミアのチームは、チャンピオンシップにもっと選手をリリースして買い戻せばいいのに、と思う。

プレミアリーグの下部組織にもこのレベルの才能は必ずいるはずだが、つくづくトップチームが分厚く、日の目を見ないまま埋没しているんだなというのが、各クラブの熱心な関心へ印象である。

PSVからすれば彼が残っても売れてもハッピーという状況であり、積極的な引き留めには動いていないため、バカヨコのような若い選手が、早くも自分のキャリアを決断しないといけないのはとても気の毒な一方、チャッキーことイルビング・ロサーノがナポリからPSVに復帰したがっており、現実味が増しているなんてニュースを観たら、じゃあ資金源にバカヨコを売ろうという考えの合理性が高まるばかりな以上、仕方ないですね。

CL本戦に向けて

はっきり言って、PSVは出場チームの中で最弱のグループに分類されるチームだと自覚しています。

昨年のプレーオフは今回と同様レンジャースと対戦し、敗れたわけですが、そのレンジャースも本戦以後は大会最弱のチームの一つという評価がもっぱら。

チームが大不振の真っただ中にあったとはいえ、同等であろうアヤックスも粉砕された姿を見ると、いわゆる5大リーグのトップクラブたちとの差は観測するのも難しいくらいのものがあると実感してしまい、ビビっていないと言っていたらそれは虚勢でしょう。

ゆえに、決勝トーナメント進出を現実的な目標というのは難しく、参加することに意味があるような立場になってしまった空しさを感じています。

それでも、せっかく出るのですし、アウトサイダーとして有名クラブにフィリップスで僕らのチームが一泡吹かせる姿を楽しみにしたいと思います。

何より、選ばれし32チームになれた喜びで、今日は枕を高くして眠れそうです。

<了>

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