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恐れる育児-頭髪検査

自分で子を産むまで、赤子の頭髪がこれほど千差万別とは知らなかった。

生まれた直後からフサフサの子もいれば、一歳近くても薄い子もいる。
我が家の赤子は後者である。

これについては特に心配はしていない。
私も夫も薄毛だったらしく、実母にも義母にも心配ないとずっと言われているからだ。

大人になった今は毛量はむしろ多い方である。

また他のママさんに言われるのは、薄毛の方が「赤ちゃんっぽい」。
たしかに髪の毛のない赤子は、同じ月齢の子に比べて幼い印象に映る。さらに性別を感じない。

なのでいつまでこの薄毛が続くのかな〜と少し楽しんでいる。
きっと立派な髪の毛がはえてきたら、それはそれで少し寂しい気持ちになりそうだ。


赤子が生まれて1カ月、初めて外をお散歩していた時ことだ。
70過ぎと思われるおばあさん二人組に話しかけられた。

「わぁ小さい。何カ月?」
「まだ1ヶ月なの。それなら家にいないとダメよ」
「この髪の毛は剃らないとダメなのよ。剃らないと強い髪が生えてこないから」

初っ端から「余計なお世話」の連発である。
これが噂に聞いていたやつか、と面食らった。

向こうはきっと好意なんだろうが、こちらからすればそんな古い育児の常識言われても、である。
育児の常識は常にアップデートされており、新しい知識を取り込むのにこちらは苦労しているのだ。
正直黙っててほしい。

髪の毛を剃るというのについてもそうだ。
古すぎる。
というかまだ頭がペコペコするような新生児の頭にカミソリを当てろというのか。
怖すぎて無理である。

というか実際、私自身も祖母に剃られたらしく、今でも母は

金髪に近くてふわふわしたかわいい髪の毛だったのに、おばあちゃんに全部剃られてしまった

と悔やんでいるらしく、その話は何度も聞かされた。

この髪の毛剃れおばさんは赤子が薄毛なのもあって、その後も何度か遭遇した。(もちろん毎回違う御仁である)


他にもこういった余計なお世話をいうおばさんは多数生息している。

母乳確認おばさん。
(これは他のやつと合わせ技で来ることが多い。なぜ名前も知らない人に母乳が出てるかどうかを聞かれなくてはならないのか…)

靴下おばさん。
(とにかく赤子に厚着をさせたがるおばさん。真夏でも出没する)

前向き抱っこ可愛そうおばさん。
(股関節を開くことに異様なアレルギーを示すおばさん)

とにかく今に生まれたことは全てかわいそうで大変だと連発するおばさんもいた。
戦後生まれかと思うが、そっちの方が十分かわいそうだな…と個人的には思っている。

赤子と見れば近づいてきて可愛がって下さるのは有り難いのだが、かなり高圧的に言いたいことを言うだけ言って去っていく人もいる。
そんな時はこんなバアさんが親族でなくて良かったと心から思うばかりだ。


髪の毛についての心配というか気になるポイントは、私に似るか夫に似るかということだ。

夫は日本人らしく、黒髪で剛毛だ。
かと言って直毛ではなく若干クセがある。

一方私は日本人にしてはかなり茶色で、さらに天パである。
美容院に行っても必ず染髪パーマを疑われるレベルだ。

なのでもし赤子が私の髪質に似た場合、多少なり面倒ごとに巻き込まれるのではないかということを心配している。

世の中には日本人の髪の毛は黒と信じて疑わない人がいるようだがそれは違う。

私に外国の血は入っていない。(たぶん)
それに地毛が茶色の人はそれほど珍しいものでないと思うのだが、自分の髪が黒というだけで茶髪は染めてるに違いないと思い込む人がいるのは閉口する。

これも上記と同様に、小さい子の髪色が茶色だと頭ごなしに文句を言ってくる人がいるらしいのだ。正気の沙汰ではない。

髪の毛が茶色のことで、得したなと思うのは染髪をしなくていいことだ。
私は自分の髪色が好きなので染めたいと思ったこともないが、何故か日本人の女の子は茶髪にしたがる子が多い。

黒髪だと重たい印象になるかららしい。

でもいいことというとそれくらいで、あとは嫌なことの方が多い。

最たる例は学校の頭髪検査だ。
私は割と厳しめの私学に通っていたので、教育指導の先生から呼び止められることが何回かあった。

なので生徒手帳に親の一筆を入れてもらうようになった。いわゆる地毛証明書というやつである。

手帳は毎年更新されるので、その度に親に書いてもらい担任に提出しなくてはならないのは正直めんどくさかった。
もちろん知らない先生から「その頭どうした」とイキナリ言われるのもものすごく気分が悪かった。

とはいえ中高一貫だったので、中学の初期に先生たちに認識されれば、高校卒業まで特に問題はなかった。
これが普通に高校は別のところに進学していたら面倒は倍増だっただろうなと思う。

髪色のことで友達からからかわれることはなかったが、夏休み明けなどにクラスメイトが髪を明るくしてしまったのが先生にバレないよう、より髪色が明るい私と並んで歩こうとしたりするのでちょっと嫌だった。

ネットでも地毛が茶色いということで教師に黒染めを強要されたなんて話が散見されるし、実際そういう事件がニュースになった。
あり得ないことだ。
人権侵害も甚だしい。

そもそも地毛証明書を出さなくてはならないこと自体がおかしいと思う。
髪の毛が茶色いことはオカシイと言われているようなものだ。

個人的な体感としてクラスに1人かひと学年に数人はいるのだからそれほど低い割合ではない。
日本人にも多様性があるね、で済む話じゃないか。

そもそも世界的に見れば髪の色なんぞ金もあれば赤もある。黒に拘ることに何の意味があるのか。
そもそも何で髪色だけそんなこと言われなきゃならんのだ。
肌の色だって同じ日本人でも色白色黒あるだろう。
目だって真っ黒もいれば少し茶が入ってる人も珍しくない。

髪色だって真っ黒の方が珍しい。
こげ茶の人はたくさんいる。どこからの茶がダメでどこまでOKなんて誰が決めるんだ。

ちょっとプールに入るだけで髪色なんぞすぐ抜けるのだ。

第一、すでに日本にはたくさんの外国人が住んでいるし、外国にルーツのある人もたくさんいる。
学校がすべきなのは人間には多様性があり、それらは尊重されるべきであるという至極当然のことを教えることじゃないのか。

勘違いしないでいただきたいのは、私は子どもは染髪や化粧などはすべきではないと思っている。せっかく綺麗な肌や髪をわざわざ痛めるのはもったいないと思うからだ。
そして学校がそれを禁じるならばルールに従うべきである。

だが、生まれ持った髪や身体的特徴を「普通じゃない」とレッテル貼りされるのは違う。

もし赤子が私と同様に明るい髪色で、それが原因で学校から何か言われたら、
私は本気で戦うつもりである。

#子育て #育児 #地毛証明書 #茶髪

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