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お雛様を飾りましょ

長女が生まれて、私の両親がお雛様を贈ってくれた。女の子が生まれたら女親の両親からお雛様を、男の子だったら男親の両親から兜。これって決まってるんだっけ?まあとにかく、我が家には私の両親からのお雛様が届いた。当時はまだ段飾りが主流で、娘の同級生たちのお宅には立派な五段や七段飾りのお雛様が飾られていた。実家の(私の)お雛様は、ガラスのケースに入っていた。親王と、三人官女、五人囃子、それにあと右大臣と左大臣までいた。

娘が生まれて、両親からどんなお雛様が良いかを聞かれて、私は何の迷いもなく“親王飾り”が欲しいとねだった。親王飾りとは、お内裏様とお雛様の2体だけのもの。母は「段飾りじゃなくていいの?」と言ったが、私は「そんなの、そのうち絶対出すのがめんどくさくなって出さなくなるに決まってるから、親王飾りで良いの」と答えた。両親は高島屋で、とびきり上等の親王飾りを買って贈ってくれた。親王だけだから、一体が大きい。私の、ガラスケースのお雛様の何倍も大きい。お雛様と一口に言っても、そのお顔や着物はいろいろだ。うちに来た子はお顔がとても可愛らしかった。着ている着物も上品で、私はひと目で気に入った。両親に任せて良かったと思った。

初節句の折、お義母さんがそのお雛様を見て、こう言った。
アパートやマンションじゃないのに、どうして段飾りにしなかったの?」私は母に言ったのと同じ答を伝えた。私が欲しかったんだ、と。義母は「まぁ、そんな横着なこと言って。」と私を責めた。確かに我が家のお床に段飾りを置けば映えただろう。義母はもしかすると、両親がケチって親王飾りにしたのだと思ったのかもしれない。言っとくけどうちの親王飾りは、段飾りと同じくらいの値段だったんだよ、と言ったかどうか忘れたが、こんなに可愛いお雛様の良さがわからない義母のセンスの方が分からない。


それはさておき。

私の予測は間違っていなかった。私は今でも毎年きちんとお雛様を飾る。めんどくさいなんて思わずに、きちんと。両親がくれたお雛様。今でもすごく気に入っている。段飾りを買ってもらった同級生のお宅では、誰に聞いても、もうしばらくお雛様なんて飾っていないと言う。お雛様“なんて”。

ほらね。そうなると思ってた。

そろそろ新聞のチラシでお雛様を見かけるシーズンだ。ここ最近は、段飾りなんてほとんど無い。親王飾りが主流。いても三人官女くらいまで。天皇陛下の即位礼を模しての立ち雛もある。最近のは、台の部分が容器になっていて、そこに全部収納できるようだ。ナイスアイディア!我が家のはお人形は2体だが、小物やら屏風やらで収納箱は5箱もある。今さら気づいたが、お雛様って飾っとく時間よりしまっておく時間の方が断然長い。飾る場所も大事だけど、収納場所の方が肝心。私の知人は、新居に自分のための部屋を作った。そしてその部屋に年がら年中お雛様を飾っている。飾っておく場所があれば、それも良いなあと思う。
お雛様を出したり仕舞ったりする時期が、娘の婚期に関わるなんて話もある。早く出して早く仕舞えば、早くお嫁に行けて、出してもいつまでもそのまま出しっぱなしだと婚期が遅れる、なんて。バカバカしいとは思うけど、親にしてみれば悩ましい。お雛様を毎年出すためのプレッシャーと受け止めて、娘のためにもちゃんとしなきゃだ。

ま、そんなプレッシャーなど無くとも私は、今年もお雛様を飾るよ。クリスマスにツリーを飾るのお同じだもの。一年ぶりにお顔を見る我が家のお雛様、やっぱり可愛い。

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