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「ボーはおそれている」をミーム化するにはもったいない

※ネタバレあり

3月に取り壊される中洲大洋という古い映画館で「ボーはおそれている」を見てきた。

自分がネガポジどちらに転ぶのか恐々として見たけど、
結果は想像を遥かに超えて面白かった。

なんなら2時間足らずで映画終わった感覚。

好きなシーン

◆ボーの子供時代のクルージング旅行
富裕層らしくクルーズ旅行をしていたシーンの色彩があまりに綺麗で、ボー自身がその思い出を中年になっても大切にしていることのあらわしのように思えた。

◆ボーの妄想劇場
大洪水で流された息子と再会し、息子たちに「経験がないんだ」と涙ながらに言うボー。
「じゃあ僕たちってどうやって生まれてきたの……?」と戸惑う息子たちにボーが「えっ…?」ってなってるシーン普通に笑っちゃった。

◆ロマンチックなベッドシーン
誰も求めてないであろうボーのベッドシーンって時点で笑える。
エレインがかけたアリアナっぽいロマンチックなバラードのなか、彼女が唐突に腹上死してるシーンも面白かった。死体×ロマンチックなムードがあまりにミスマッチでシュールすぎる。

◆ 演劇団のシーン
演劇的要素を持った映画の中で展開されるもう一つの演劇っていうのに心が奪われた。
映画の中に没入しすぎて一瞬ここが映画館ってことを忘れて、ボーと一緒に演劇を見てる意識のときがあった。
あのシーンが一番ボーに共感できたかもしれない、森林の安心感とか穏やかな気持ち。

父親の正体


ボーを性交したら死ぬという幻想で怯えさせるためか、
母親に幽閉されていた父親の正体は
でかすぎる男性器……って……え……

母親に植え付けられたボーの性へのおそれと外科医に言われた睾丸の病気への不安が妄想に繋がったのか。
アリアスターは悪趣味な下ネタ本当に好きなんだなって……そこもすき!

そのあと軍人が父親をキルするところで思考が停止した。

まとめ


なんだかんだ、
スラム街でずっと踊ってるデニム男が一番好きだったかも。
なぜネット上で懲役3時間とかアリアスターの自己満足とか言われてるのか不思議、ミッドサマーの系譜かなあ。
ミーム化して「狂気」のステレオタイプに当てはめてしまうのは健全じゃないと私は思う。
最後のヨットの審判のシーンが唯一退屈だったww
それ以外良かった。

***

大学の同期で映画が好きな🌳くんを誘って見に行ったのでつまんなかったら申し訳ないなと思ってたけど、そこまで心配することなかったな。

夜は心細さを私に与えてくることが多いけど、ひとと映画の話しながら閑散とした夜道を歩いてる瞬間ほど元気になる瞬間はない。


2024.02.17 中州大洋劇場

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