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超真面目に飲食店集客を考える番外編

これは、僕の経験と実績から飲食店向けの営業方法を不真面目に考える連載です。これを読んで実践してみて、万が一失敗したらごめんなさい。

数字を制する者が売上を制す……数字は絶対だという話


さて、前回はハガキによって売上効果が高いという話をした。(5万の経費で75万の売上)
ちょっとハガキから脱線するけれど、今回は番外編として数字に関して少し掘り下げた話をしたいと思う。

僕は文系ながらデータ主義である。文系だからこそ、出て来た数字だけが頼りともいえる。数字とは抗いようのない事実だけを突き付けるものだからだ。

話は飛ぶが、世の中にはまだまだ”どんぶり勘定”の店長がいることに驚かされる。いや、「どんぶり」ならまだいい。底からお金が洩れていかないからだ。穴の開いたザルでやってる店長の多いこと多いこと……である。
常連さんにサービスするのはいいけれど、いい加減に「それ飲んでもいいよ……」と通常出さない高い酒を1杯サービスしたり、2時間飲み放題のところ4時間5時間と飲ませ続けたり……。料理も適当な値段付けて提供したり、”オマケ”の限度を超えた商品を振る舞ったり……。
これ、たいがい料理一辺倒でやってきたシェフや板長が店長になるとこういうことをしがちなんだけど、数字がちゃんと管理できてないから一向に黒字化できないんだよね。しかも「なんで儲からないかわからない……」と抜かしたりする。
「あんただよ……」と心の葛藤を抱えながら指導するんだけど、人ってそう簡単に変われるものじゃない。だからこそ数字で管理することを徹底させる。自分の”勘”ほどあてにならないものはないからだ。
本来の数値管理ができているからこそオマケのサービスができるもの。オマケであっても管理を怠らない……どこかで修正するから経営が成り立つんだよね。

原価の管理はとても大事である。
大きいチェーン店であれば理論原価(レシピ上で計算されている原価率)と、実際の原価率(月末に棚卸しをして計算してるよね)の差異が3%以上なら徹底的に追及されるはずだ。
「だって食材のロスがあるじゃないか」
当然である。当たり前だがそれも日々金額を算出してロスとして計上する。処分した食材はもちろん、失敗した料理などもグラムを量ってすべて計算するのだ。その上で差異が発生していれば、それはポーションオーバーか、逆に盛り付けの量が少なすぎるのか、こっそり誰かが食べちゃってるのか?そういうことが考えられる。
「賄い(まかない)」の制度を導入しているならば、それも必ず計算に入れなくちゃいけない。ちなみに僕は賄い反対派である。それは数値管理が甘くなるからだ。
賄いではなく食事として店のメニューを半額で買うなりなんなりしないと計算が狂う。たとえ半額で買ったとしても「大盛にしてあげるよ」なんて馬鹿なことは絶対許されない。商品のポーションは絶対だ。これは商売だし、その行為は店の商品を何だと思ってるのか!でしかない。
もしそういうことを平気でやる社員やバイトがいれば、それはただの横領である。犯罪だ。これは数値以前の問題なので徹底的に改めないといけない。


さて、理論原価率と実際の原価率に差異が3%以上発生した場合、毎日棚卸を実行する。日々棚卸をして在庫の金額を算出して原価率の推移を観察するのだ。2週間もやると数字にシビアになるのでいろいろ見えてくることがある。
原価率が安定しない店舗のほとんどが在庫過多だ。

大きなチェーン店だとセンター(レトルトに加工したりする自社工場とかあるよね)から仕入れるために2日前発注だったりする。
慣れないと発注タイミングがとれなくて失敗することもあるけれど、基本は紙の在庫管理表をつけることで解決する。在庫の数字を書いて、発注した数字を書き入れる。そうすることで、2日で1本とか4日で1箱とかが一目でわかるようになる。(これPCだと案外見づらいので、アナログだけど紙が一番なのだ)
このとき「どうせいっぱい使うから……」と、まとめて発注してはいけない。必ず最低ロット数で注文すること。たとえ毎日少量の注文でも構わない。在庫=悪だと考えて欲しい。商品が足りなくなってはダメだが、在庫を抱えるのはもっとダメだ。

ちなみに棚卸し金額が10万あったとする。原価率30%のお店なら、ざっくり30万円売れるまで発注しなくても営業できるはずだ。(あくまでも理論上です)

日々極限まで在庫を減らすと、実は棚卸しが無用になる。つまり在庫が常に一定になるからだ。棚卸し額というのはつまりお店の運転資金なのである。

たとえば10万円の在庫を常に一定に管理していれば、月末に「この仕入れは来月の伝票にしてもらおう……」なんて業者に電話しなくてよいのだ。
僕が担当したお店、原価率が安定していれば棚卸しは年1回でOKにした。逆に安定しない店舗は毎日棚卸しだ。

何度も言うようだけど、これはふつうのことだからね。

そう、これは全然シビアでも何でもないふつうの作業だ。僕は電気メーターを毎日チェックして電気代を節約した凄腕店長を知っている(さすがに驚いた)

税込みと税抜き、クレジット手数料のマジック

税込み価格とクレジット手数料……これも50代以上の年配シェフや板長が勘違いする差異のひとつだ。

商品の価格を1000円と表示する。内税なら910円だ。
年配シェフは1000円の気分でレシピを作るのだが、実は90円差というのはエライ違いである。
たとえば原価率25%だとすると、シェフは1000円の気持ちでいるから250円でレシピを考える。うっかりすると265円くらいでもいいか……なんて考えたりする。
でも実際は910円だ。250円で作っていたら原価率は27.47%……265円かけてたら29.12%である。最大で差異が4.12%だ。本来原価として使える金額は227.5円である。265円との差額は37.5円だ。実際はロスもあるのでそれ以上になるはずだ。
この商品が1ヶ月で100個10万円(表示価格)売れた場合、シェフの感覚では10万の売上だが、実際の売上額は91000円である。9000円のマイナスだ。
さらに原価率は予定より4.12%も多い。差額37.5×100=3750円を別の商品に仕えたはずなのに……
こんな商品が50個あったとする。数字の管理はめちゃくちゃだ。
個人店で値付けをするなら十分に注意した方がいいところである。

さらにクレジットの手数料問題がある。
おおよそ3~4%が無条件で支払わなければならないのだが、これもある程度計算していないと大失敗する。いまや売上額の30~40%近くがクレジットなどのカード決済だからだ。

商売は”勘”ではできない。
数字数字って口うるさく言うけれど、この管理に慣れさえすればどうということはない。知っていれば逆に数字は噓をつかない最も信頼できるパートナーなのだから。

番外編はここまで。また改めてDMハガキの話をします。

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不真面目な内容と思いきや、後でもう一度読むと必ず困っている君の役に立つはずだ。いまは全部読めるけど、この記事はあとで有料マガジンにまとめるのでもう一度読みたくなったらマガジンをぜひ。

フランス料理店修業後に、ファミリーチェーンで店舗運営の基礎マネジメント、リゾートホテルでは新店舗立ち上げと商品企画、上場企業のレストランで…

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