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面白い本・好きな本|夏至におすすめ極北へ[植村直己・星野道夫・石川直樹]篇

これから暑くなるので、気分だけでも極北へ

北緯66°33’より北の地域を北極圏という。夏至を中心に真夏は太陽が沈まない白夜となり、真冬は太陽が昇らず極夜となる。

ただ、白夜の南限は北緯66°33’で幾何学的に決まるわけではない。標高が高ければさらに南下するし、山岳地帯では地平線が見えないのでさらに南下し、光の屈折でもかわってくる。

もうすぐ夏至。

1年でもっとも昼が長い日だからこそ、日の沈まない極北を目指して読書の旅でもどうでしょう?という話。

Wikipediaより

本を読んで空想の旅へ

空想するのは、簡単そうで難しい。一人になり、静かなところに行ったとしても、雑念が邪魔をする。

そんな時は本を読む。

文章に集中し、本の世界に入り込む。すっぽり入り込んだら、ふっと本から離れて空想の旅が始まる。しばらく旅をして疲れたら、再び本に戻る。

読書と空想の心地いい往復運動


植村直己・星野道夫・石川直樹

極北の旅といえば、この御三方。

グリーンランドでイヌイットと過ごした植村さん、アラスカに移り住んだ星野さん、そしてその二人の生き方に影響を受けて極北の旅をはじめた石川さん。経験をもとに言葉を紡ぎ、極北の世界へと旅立たせてくれる方々。

植村直己さんも、星野道夫さんも、奇しくも同じ43歳でこの世を去っている。石川直樹さんは今、44歳。

少しほっとしている自分もいるような。。


極北に駆ける/植村直己

冒険家 植村直己
日本人初のエベレスト登頂に始まり、世界初の五大陸最高峰制覇北極圏1万2000㎞単独犬ゾリ行に、北極圏グリーンランド単独犬ゾリ行などなど。偉業をあげればキリがない。

そんな植村さんがグリーランドで犬ぞり習得のためにイヌイットの村で過ごした1年間の体験記。現地の人も尻込みするほど、危険な単独犬ぞり行は、読んでいるこちらも生きた心地がしないほど。。

-40℃の世界で、日々何を食べて、どうやって寝ているか。現地の言葉はどんなもので、村人とどんな会話をしているか。

-10℃が暑いと感じる世界で、リアルに過ごした日々の随筆は、読み始めたらやめられない。

本を読んで冒険の旅へ


旅をする木/星野道夫

Coyote No.72 特集 星野道夫 最後の狩猟

アラスカに移り住み、写真と言葉で極北の魅力を教えてくれる星野さんのエッセイ集。美しくも厳しい自然の中で、アラスカ先住民と動物たちの生き様を、静かで味わい深い言葉で綴る本。

オーロラと氷河に、カリブーとグリズリーに、イヌイットのくじら漁に、川に流れる朽ち果てた木。

アラスカの息遣いが、そのまま文章のリズムとなり、いっきにアラスカの静寂に包み込まれる読書体験。

最高の読書旅


極北へ/石川直樹

世界を駆け抜ける写真家、石川直樹のエッセイ集。

カナダ、アラスカ、グリーンランド、ノルウェー。極寒の地に生きる人々の暮らし、厳しくも美しい自然への畏怖を瑞々しい文章で綴る。植村直己さん、星野道夫さんの話も随所に挿入され、先人たちの苦労、そして突然の死、冒険家の過酷な歩みにも思いを馳せる。

著者は、写真家として土門拳賞、エッセイでは開高健ノンフィクション賞、そして冒険家として七大陸最高峰登頂世界最年少記録を更新。その上、早稲田を出て、東京藝大で博士号も取得しているという、とんでもない経歴のお方。

著書の最後に記された石川さんの言葉がとてもいい。

旅は終わらない。
生きている限り、そうそう簡単に終えられるものではない。
コンパスの赤い針が射す方角に見える山、川、海、そしてそこに生きる人々のことを想いながら、ぼくは今を生きようと思うのだ。

極北へ 石川直樹



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