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融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論を読んで。

融けるデザイン ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論  / 渡邊 恵太

この本について

デザインにおける哲学を学ぶことができる本でした。インターネットやコンピュータを取り巻く環境がどう変わったのか?これから本当に必要とされていくデザインとは何なのか?・・・などを新たな視点から掘り下げた一冊です。

新しく知ることができた概念

自己帰属感
・自分でその道具を制御している感覚のことを「自己帰属感」という。
・自己帰属感がないと人はモノをモノとして意識してしまう。
・モノをモノとして意識すると使いにくいデザインと捉えてしまう。

道具の透明性

・道具自体を意識しなくても利用できることを「道具の透明性」という。
・例:ハンマーで釘を打つときは、ハンマー自体を意識せず釘に集中している

自己帰属性→道具の透明性

・自分の与えた動作に伴ってリアルタイムに反応があると自己帰属感が生まれる。
・自己帰属感をもたらした結果、道具としての透明性を得る。
・道具の透明性には、自分が扱っている道具が完全に自分の支配下にあり、意識されない状態を作り出す必要がある。

UXを3つの分野に分ける

体験を3つのレイヤに分類することでUXが指す対象や範囲をはっきりさせることができる。

社会レイヤ
価格設定などの経済的合理性や、社会的な位置付けの設定視点

文化レイヤ
人間のコンピュータとの向き合い方や活用方法などの視点

現象レイヤ
人間(無意識も含む)の振る舞いを捉える視点

社会レイヤと現像レイヤのギャップがあると騙されたかのような印象を持たれてしまうことがあり、現像レイヤの設計がうまくできていないと使うのをやめる理由になることがある。

融けるデザインを読んで

新しい概念や表現と出会えた一冊でした。
初めは疑問だった「融けるデザイン」というタイトルが、読み進めるうちにどんどん納得のいくものになっていく感覚が心地よかったです。
「人間の意識や体に”道具が透明になって”融けこんでいる。」という表現など、感覚的に感じてはいるものの言語化できないものが説明されていてスッキリました。ページが読み込めないことを”重い”と表現するのは何故なのか?投げたボールはどこまで身体か?など、哲学的な切り口から始まり「自己帰属感」という言葉を通して良いインターフェイスとはどのようなものかを知ることができて面白かったです。

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