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一級建築士を持っているだけの凡人が宅地建物取引士を受験した話

最初の記事や自己紹介にちょろっと書いていましたが
R4年に「宅地建物取引士試験」を受けました。

私はすでに(一応)一級建築士を持っていますが
果たして一級建築士を持っていれば宅地建物取引士試験は容易いのか…?
また、一級建築士を取得した上でさらに宅地建物取引士を取得する利点はあるのか…?
といったことについて書いていこうと思います。



1.受験した理由(超個人的な理由なので飛ばして良いです)

受験した理由は、ただの意地でして。
一級建築士を取得した年に上司(普段話もしない部長)に言われた一言。
「今度は他の資格にも挑戦してみてナンチャラ〜ぽへ〜」(私感混ざる)

……は?
一級建築士なんて建築業界最高峰の資格だぞ…?
あんた…部長なのに一級建築士持ってないよな…?
他の資格だと…?


と、一級建築士合格に対してアフォみたいな評価をしてきた会社(上司)に対する
反発心や恨みツラミ怒りが芽生え
宅建でも取って資格を人質にいつでも辞めたるで!!
…って勢いでとりあえず受験してやりました。
(単純で人間小さかったようですみません。)

まぁコロナで遊びに行けなくて暇だったのと、
仕事も落ち着いていて時間があったという理由もありますが。



2.宅地建物取引士の難易度は?

まず先に試験の難易度について感想を申し上げますと
一級建築士より全然ラクです。

当たり前やないかーい!Σ
(おっと素晴らしいノリツッコミが…)

まぁ一級建築士は先程も言ったように建築業界(最高峰)の資格ですし、
宅建はあくまで不動産業界の資格。
比べるのは間違っていますね。

とはいえ、資格試験としての難易度は決して低くありません。
簡単だと思えたのは、
①範囲が狭い(一級建築士と比較して)
②1次試験のみ(一級建築士は2次がある)
③50問しかない(一級建築士は合計125問ある)
という、一級建築士を受験していた故の感想です。

単体で見ると…やはり専門性が高い。
激高。
合格率も15%程度というのは納得できますし
私は1回落ちて、2回目で合格しました。

ちなみに宅地建物取引士試験の構成ですが
①権利関係 14問
②宅建業法 20問
③法令上の制限 8問
④税・その他関連知識 8問

合計50問各1点、50点満点。
約7割得点で合格ラインです。


受験者は、建築技術屋さん以外がとても多いです。
「宅地建物取引士」なんて「建物」って入っているし
いかにも建築向きな資格のように思いますが…どっこい 、
めちゃくちゃ文系資格です。
民法(権利関係)は本当に理解に苦しみました…


3.一級建築士ならば有利?

まず有利の定義を
「一級建築士の知識を有していれば、宅地建物取引士試験に受かりやすい」
としておきましょう。

それならばまず、一級建築士の受験範囲と重なる部分があれば
点数を取りやすいので有利と言えますね。


重なる部分は……なんとあります。
前の章でいうと③「法令上の制限」④「税・その他関連知識」の一部です。


まず③「法令上の制限」では都市計画法や建築基準法、国土利用計画法などが出題されます。
一級建築士で法規を勉強していれば、8問中6~7問はなじみのあるもので構成されています。


次に④「税・その他関連知識」では契約不適合責任(瑕疵担保責任)や、簡単な建築知識が出題されます。
建築知識は土地の形質や特徴だったり、建物の構造、種別に関することで、さらっと見返しておけば難なく取れるような問題が2〜3問程です。

以上より、一級建築士の知識で試験に貢献できる点数は…10点!!
10/50点分はほかの受験者より有利と言える!
(※合格点はここ数年では35〜38点。)

……でしょうか?
本当にそうでしょうか?

最近の試験では、びっくりするほど細かい問題が出ますので
知っていたとしてもしっかり覚えていなければ点数にはなりません。
(私は2問間違えました。)


言葉を知っているし、取っ付きやすい分野という意味では有利に働きそうです。
しかし、だからといって合格に直結はしないでしょう。


4.一級建築士が宅地建物取引士の資格を持つ利点は?

「一級建築士+宅地建物取引士」
と言われれば、建築のスペシャリスト感は出ますし
周りからもそう思われます。

しかし、一級建築士として建設業の仕事をしている私からすれば、
両資格を持つことに実務的に意味があるのか…と言われると素直に「YES!」とは言えません。

そもそも宅地建物取引士を持っていると何ができるの?いいことあるの?という話ですが
簡単に言うと、「不動産取引きにおける独占業務」ができます。

言い換えれば、宅地建物取引士がいないと不動産会社は不動産取引をすることはできません。
そのため、常に求人が絶えず人気の高い資格となっているのですね。

しかし、前章でも書いているように
宅地建物取引士は不動産業の資格ですので
「土地や建物を取引」するプロフェッショナルであって「建物を建てる」プロではありません。

何が言いたいかと言うと、
「宅地建物取引士の業務を行う者」が一級建築士を持っているのならば
お客様の信頼度が高まり説得力が増しますし、同業者にも知識で負けないことで損することも減り
業務成績アップにも繋がるといえるでしょう。

しかし、
「一級建築士の業務を行う者」が宅地建物取引士を持っていることは
同業者に凄いと思われる…くらいで、すごく業務に役立つ!といった場面にはなかなか出会えません。
一級建築士の知識だけで事足りてしまいますので…。

酷い時には、「へぇ〜資格マニア?」と言われます。
私は実際言われてアッパーかましてやりました。(過激)

正直、よっぽど不動産会社で素人のお客様相手に土地を転がしたい!(語弊)…と思わない限り
あえてとる必要は無いなと思ってしまいました。



5.まとめ

前章で散々な事を言いましたが、なんだかんだ
宅地建物取引士を取得できたことは良かったと思っています。

建築をやる上で+αの知識が手に入ることで、さらに幅広く建築の世界を知ることが出来ましたし
今まで勉強して来なかった新しい知識も得ることが出来、目の前がキラキラしました。

また、資格に受かるってやはり嬉しいことですし、「私、やれるんだ。」と自信にもなります。
一級建築士を取れたのもまぐれだったんじゃないかと疑っていたので(おい)
勉強して物を覚えてちゃんと試験に受かることが出来るんだと、再確認でき安心しました。

そういった意味では、一級建築士を取得した上で
お時間があるなら是非受けてみて欲しいなと思います。
(建築屋さんは一級建築士が先ですよ)


お読み頂きありがとうございました。

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