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【元食材バイヤーのつぶやき】オーガニックはお好きですか?

おはようございます。悠々ファームのクニです。

有機農産物(ここではオーガニックと言わせてもらいます)とは、簡単に言うと、化学肥料や化学合成農薬など化学的なものを使用せずに生産された農産物です。

食材バイヤー時代に何度かオーガニックを生産する国内外の農家さんとお会いしてきましたが、その中で感じたオーガニックに対する思いを書きましたので、あなたの今後のよりよい食生活に参考になれば嬉しいです。


オーガニックの状況

日本で有機農業が行われている農地は耕地面積の0.5%だけ、世界全体で見ても約1.2%だそうです。

※詳しくは農林水産省の「有機農業をめぐる我が国の現状について」をご覧ください。

多くの人がオーガニックに好意的な意見をお持ちだと思うのですが、生産はほとんど広がっていないのが現状です。

オーガニックは持続可能な状態ではないとも言えると思います。

しかし、農林水産省が掲げた方針では、2050年までに有機農業の比率を耕地面積の25%にするという目標だそうです。

そこにはどんな問題・課題があるか考えていきます。


オーガニック野菜を作るのは難しい?

結論から言うと、作るだけだったら簡単です。

単に、化学肥料と化学合成農薬を使わなければいいだけですからね。あなたもできますし、私もできます。

けど、オーガニックで美味しくて必要な量の作物を作るのが難しい

病気になっても虫の被害があっても化学合成の殺菌剤や殺虫剤は使えないので、生物農薬やJAS有機認定のボルドー剤など対策できる選択肢が少なく、かつ、効果も限定的な場合が多いので大幅に生産量が減ってしまうリスクが大きい。

そして病虫害の被害にあった作物が美味しいかというと、見た目に悪いのは間違いなく、被害を受けた作物のストレスを考えるとなかなか美味しいとは思えない。

生産量が減ってしまうと、農家さんはそれでも経営ができるようにするため価格を大幅に上げなくてはいけないですが、それを買える消費者がどこまでいるでしょうか?


健康でいることの大切さ

わたしが思う、オーガニックにとって大事なことは、

1,作物が健康に育てられていること(化学肥料無しで)

2,その結果として病虫害がなく、化学合成農薬を必要としないこと

ではないかと思っています。

健康な作物は食べる人にとっても良い(=美味しい?)でしょうし、健康な作物は大きくなって量も増えるので消費者が買いやすい価格にすることができると思います。


健康に作物を育てるには?

まず、私は栽培の素人ですので、生意気なことを言ってすみませんm(_ _)m

一番大事なのは”土づくり”だと思いますが、私がイメージする土づくりは「微生物が豊富にいる土をつくること」です。

例えば、化学肥料しか使わないと微生物のエサである有機物が無くなるので微生物もいなくなり死んだ土になる。人間の体内のような多様な微生物、良い菌も悪い菌もいるけど良い菌が強い。そんなイメージです。

オーガニックではないですが、土づくりにこだわっている農家さんの玉ねぎを何年も見てきましたが、天候不良のときに近辺の畑は被害を受けているのに、その農家さんの畑は立派な玉ねぎができていることが多々ありました。

土づくり以外にも、例えば1㎡に植える苗の本数を10本から8本に減らし密を避けて病気を蔓延させないようにするようなことも大事です。

土づくりは手間や時間がかかり、苗の本数を減らすことは苗1本あたりの生産量は変わらなくても面積当りの生産量は減りますので、その分の価格転嫁を消費者が負担しなくてはオーガニックは持続可能にならないと思います。


日本で25%の有機農業の比率は可能?

正直、日本では難しいと思います。

日本は多湿な国なので病気になりやすい環境ではないか。その場合、有機で栽培できる作物が限られるのではないか、という2点が難しいと思う理由です。

例えば、コーヒー豆を産地まで買いに行っていましたが、例えば1,500mとか標高が高いところにある農場を指定していました。なぜなら、標高が高いと寒暖差も激しく虫の被害も少ないので化学合成農薬を使う必要がありませんでした。寒暖差は品質にもいい影響がありますしね。

あと、国内の農産物生産量のうち有機農産物が占める割合は、野菜や大豆だと0.3~0.5%に対して、お茶は4~5%だそうで、日本の環境の中で有機栽培しやすい作物は限られるのではと思います。


より安心できる農産物

しかし、消費者としてはより安心できる農産物は欲しいという欲求は無くならないと思います。なので、有機農業のように栽培で使用する化学物質をゼロにする以外に方法はないでしょうか?


安全というだけであれば、残留農薬検査で残留ゼロを保証することも一つですね。そもそも、昔に使用されていた残留性が高く人に対する毒性が強い農薬は販売が禁止されたり制限されたりなど法整備も進んでおり、より安全な農産物になっているのが現状ということもあります。


”安全だけでなく健康な作物を”と考えると、より少ない農薬で栽培する技術や消費者にとって分かりやすい基準がもっと普及してくれるといいな、と個人的には一番推しています。

今でも特別栽培農産物という、慣行(一般)の半分以下の化学肥料・化学合成農薬で栽培された農産物がありますが、これは各都道府県によって慣行基準が違うのでわかりづらく、なかなか普及していないのでは?という感想です。北海道と沖縄だと環境があまりにも違うので慣行基準が違うのはもちろんなのですが。。。。


畜産の世界だと抗生物質での使用が議題になりますが、特にヨーロッパでは”予防”目的の使用は無くし”治療”のみに限定して、抗生物質の使用を抑える動きをしています。

もちろん健康に育てることストレスの少ない環境を作ることが前提で、予防目的の抗生物質の使用を無くしてきたことを忘れてはいけません。

この考え方は農産物にも応用できるのでは?と思っています。


最後に

農家さんは消費者がより安心して買える生産物を作る努力を、消費者はそれを買うことで応援する努力を、持続可能な形で広がっていけば良いですね。やっぱり食べチョクの仕組みは素晴らしいね(*^-^*)

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