ビジネスをする上で、さまざまな勉強が欠かせないわけですが、そのなかでパーソナルトレーナーがひときわ意識しないといけないのが「マーケティング」です。

マーケティングの大切さ

マーケティングの定義は本やWebサイトによってかなりバラバラなんですが、ここでは「自社の商品・サービスがお客様に認知されて、自然に売れるようにするための仕組みづくり」だと思ってください。もっと端的に言えば、「無茶な売り込みなしで商品が売れる状態を作ること」だと思ってもらえればなと。

これも諸説ありますが、マーケティングでは「（お客様が）商品やあなたのことを知る→商品やあなたに興味・関心を持つ→あなたの商品を比較検討する→商品を購入する」という構図が生まれるような工夫を行っていきます。

例えば、商品のことを知ってもらうため、興味・関心を持ってもらうために広告やSNS運用をしたり、比較検討できるように無料パーソナルを実施したり、購入してもらうための割引キャンペーンを実施したりという感じです。よりあなたの商品に価値を感じてもらうために、SNSで自己ブランディングを図る人もいますね。

これ意外にも、あなたの商品を継続して購入してくれたり、口コミや紹介などで新しいお客様を連れて来てもらうような仕組みを考えたりもします。

こうしたマーケティングを実践する上で、思考や実践に役立つさまざまなフレームワーク（目標達成や課題解決に用いる型のこと）があります。それらを勉強して、マーケティングへの理解を深めることで、行き当たりばったりではなくより戦略的にビジネスを展開できるようになります。

座学の前にまずは実践して体験する

マーケティングの考え方は、僕たちのように個人で活動しているフリーランスにとって売上を確保するのにとても大切です。最近では独立前からしっかり本で勉強している人もいます。

ただ、そういう人には「座学に集中しすぎないで、まずは実践から体験してみよう」と伝えています。というのも、机上で緻密な数値分析を行うより、自身の経験と直感に基づく判断のほうが正しい選択をできるケースが少なくないからです。

自分の活動拠点のなかで利用者が多い駅に近いレンタルジムを借りて、まずは「お客様を集める」という活動を経験してみてください。その活動で得られる失敗をもとに、何をすればいいかを考えるようにすれば、座学だけでマーケティングを勉強する以上にさまざまな気づきが得られます。

マーケティングでは実際にアンケート調査なども実施するんですが、個人レベルでアンケートを行うのは大変です。現場に立ってお客様のリアルの声に耳を傾けることで、その場所のお客様が何を求めているかも分かるようになります。

それに、パーソナルトレーナーを目指す人は結構「顧客側の視点」をすでに持っている人が多いです。

「自身のダイエット成功体験をもとに、他の人のダイエットを支えてあげたいと思うようになった」
「筋トレがとにかく大好きで、自分の身体作りのノウハウをもとにお客様の肉体改造をサポートしたい」

こうした経験を持っている、好きなことがハッキリしている人ならば、自ずと当事者＝お客様の気持ちを理解しやすいと思います。そこで皆さんが感じていることをサービスに落とし込むことで、自然とマーケティング活動的なことができるはずです。

ダメなら修正・撤退できる身軽さを大切に

実践を起点にマーケティング活動をしていく場合、大切なことはたった一つです。それは、「ダメならすぐに修正・撤退できるという身軽さを大切にする」ということ。

フリーランスであれ起業であれ、多くの人は「失敗したらどうしよう」「売上が全然伸びなくて借金を抱えてしまうかも」という恐怖で踏みとどまってしまいます。であれば、限りなくゼロリスクに近い状態で商売をやってみればいいんです。

パーソナルトレーナーの場合、最近では安く利用できるレンタルジムがどんどん増えています。活動拠点に近いレンタルジムを借りて、平日は仕事で土日限定で副業的にパーソナルトレーナーをやってみてもいいでしょう。

とにかく被害を最小限に抑えられるミニマムな働き方ができていれば、仮にうまく結果が残せなかった場合でも「SNS発信はこうしよう」「キャンペーンを展開しよう」とすぐに軌道修正できます。

それでもうまくいかなければ、一度その拠点でのパーソナルトレーナー業を撤退して、別の場所で始めたり一から勉強をしたりしてもいいんです。ここで重要なのは、「現場の手触り感」をちゃんと体験してみることだと思います。

これまで会社でサラリーマンをしていた人や、アルバイトとして働いていた人にとって、自分でビジネスをするというのは完全に未知の領域です。一発目の挑戦でうまくいくなんてことは、なかなかないと思います。だからこそ、失敗を前提に小さく始めることが、後々の成功に大きく影響するんです。

パーソナルトレーナーを目指してこれを読んでいる人は、マーケティングについてあれこれ勉強する前に、まずは実業を始めてみてください。