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大事な決勝の舞台で、具体的な指示を一切しなかった理由

みなさま、あけましておめでとうございます。半人前バスケコーチです。2023年は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いします。
とか言いながら、実は2023年は一度も投稿してませんでした。本当に申し訳ないっす。2024年はちゃんと投稿しないといけないっすね。情報発信も1つの課題なので、これからは積極的に出していこうかなと思います。

さて、今回は私が指導に携わっているU-12カテゴリ(いわゆるミニバス)に関するお話です。

私が所属する宮城県では、12月26日~28日までが全国大会の県予選となっておりました。ド平日だし仕事納めだし、それで審判たりなくてE級が最後の大会で吹いたり、6年生最後の大会なのに試合を見れない親御さんがいたり、大会運営について今後すぐにでも検討しなければならない事項は山ほどありますが、今回焦点を当てるのはそこではありません。

当チームは幸いにして、昨年度に続き今年度も決勝へと駒を進めることができました。昨年は残念ながら決勝で敗退し、全国大会には出場できなかったのですが、昨年の決勝からいくつかのことを学ぶことが出来たのは、とても大きかったです。特に大きかったのは、「決勝では、何か戦術を伝えようと思っても、物理的に難しい」ということです。

県大会の決勝を行うような会場は、会場の規模もそもそも大きい。さらに、昨年は入場者数制限があったにも関わらず、双方の応援もあって会場では非常にベンチからの声が届きづらい状況でした。そのような状況下でも、闘える準備をしておかなければならないと、強く想いました。

まずは、自分たちがどんな状況でも自信を持ってプレーができるよう、1対1のオフェンス・ディフェンス技術。特にディフェンスは、こちらの流れが悪いときにそれを断ち切る、押し切るために、選手たちが自分たちでダブルチームの仕掛けどころなどを判断できることが必要だと感じました。
2つ目は、自分たちで喋ること。チームで何かトラブルがあったときに、自分たちでコートの中で解決できるかどうか。次のオフェンスでは何をやるのか、ディフェンスはどう改善するのか。こちらからの声が届きづらい以上、自分たちで何かを動かせるトレーニングが必要だと感じました。
そして最後に、経験。経験には、単純な数の問題と質の問題があると思いますが、私が重要だと感じたのは、後者の”質の問題”の方。いかに決勝と同じ強度、決勝と同じ雰囲気、そういう試合を何度か経験出来ておくと、本番にも大きく生きてくるなと感じました。

迎えた今年の県大会では、私はその準備が出来ていると感じました。
チームとしては、夏場の県大会では2回戦で破れたり、秋は予選敗退で本線にすら出場できませんでした。ただ、少しずつ「積み重なってきている」という実感はありました。マークマンを決めたり変えたりするところは、全て子どもたちが考えて行ってきました。大事なところでの声、チームの流れが悪いところでの声がけも、6年生を中心にできるようになってきました。ボールがないプレーヤーの動きや、DFのオフボールのプレーヤーの連動も、考えてできるようになってきました。
また、先程の”質”の問題も、12月には岩手1位のチームとの練習試合で、後半15点差を逆転して勝利したり、新潟1位のチームとの試合でも前半大差でも後半で大きく詰め寄ったりと、強い相手に対しても、後半になれば勝てるという自信はついてきました。それもあって、今年も当チームはノーシードでしたが、1つも不安もなく県大会に望むことができました。

そして、迎えた県大会。2回戦で第一シードを下し、順調に駒を進めた決勝。決勝本番では、第1Qで相手の戦術がうまくハマったことも有り、開始4分で4-19とリードされたところから始まりました。しかし、そこからなんとか盛り返し、前半は10点ビハインドで折り返すことができました。上記の通り、心の準備も出来ていましたし、チームもこれなら行けるという雰囲気しかありませんでした。

その時、私が選手たちに発したのは、「お前たちが一番だよ!」という言葉でした。

これは、「決勝での舞台では、精神論が重要だ」ということではないのです。ここまでの準備の過程で、子どもたちに対して伝えるべきことは伝えきり、選手たちも自分たちで判断ができるように努力を重ね、それを実践でもトレーニングしたことにより、”細かく伝えるようなことは、もう何もない”という、全てやりきった状態で決勝を迎えることができた。ということが、非常に重要であり、その状態に到達したことで、選手たちには細かいことではなく「お前たちが一番だよ!」と、勇気づけてあげるだけで良い状態まで持ってこれたのです。

ですので、私は決勝の舞台では、「お前たちが一番だよ!」以外、具体的な指示はほぼ出していませんでした。そして結果は、3Qで逆転し、4Qで5点差をつけての勝利、新人戦以来の県大会優勝でした。(みなさん全国大会の応援待ってますよー★)

結果が出なかった夏場や秋には、いろんな方から様々なご意見を頂戴しました(戦術のことやタイムアウトのことなどなど)。それでも私達指導者陣は、当初の信念を曲げず、最後の大会に照準を合わせ、そこにむけての準備を周到に行ってきました。選手たちが年度初めに立てた目標が「全国大会出場」。それを果たすために、指導者も選手も最高の準備を重ねてきた結果、ここにたどり着いたのだと思います。

ちょうど中川直之さんがこのような記事を投稿されていました。
https://twitter.com/nabron123/status/1742574189205438562

育成カテゴリの指導は何を言うかより、何を言わないか、何を言い過ぎないかのほうが大事かもしれない。
大人の難しいロジックより「思いきっていけ!」が最も子供たちのピークパフォーマンスに繋がったりする。
選手の視点に立った、伝わる&上向く声がけを心がけたいです。

X 中川直之氏のアカウントより

子どもたちの技術ももちろんですが、思考力や人間力こそ、大きく伸ばしていきたい。引き続き今年も、それを頑張ろうと思わせてくれる書き込みでした。

今年は頑張って、少しずつ更新するようにしますねー。

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