前鋸筋のことを深く知る!基本情報から隠れた作用、身体に与える影響まで解説
今回のnoteは、前鋸筋に関するおさらいをしたいと思います。基本的な情報から、トレーニング指導などで見落とされがちなところを解説します。
基本情報
まずは、前鋸筋の基本情報です。
少しだけ筋連結について補足したいと思います。例えば、外腹斜筋の起始は第5~8番肋骨です。つまり、第1~8番に付着をしてる前鋸筋と、第5番以下で付着してる外腹斜筋は一部重なっています。実際には、前鋸筋下部に続き外腹斜筋が繋がってくるといった走行をしているわけです。
そのため、猫背で外腹斜筋が短縮位になると、前鋸筋は前方に引っ張られます。それにより、肩甲骨も同じように外転方向=外側に引っ張られます。すると、外腹斜筋と肩甲骨をサンドイッチする形で付着している菱形筋が外側に引っ張られ、伸長位でパツパツの状態になります。
この状態が、まさに猫背の人の背中の状態です。菱形筋が引っ張られると、筋が棘突起を押し込むように動作し、ストレートネックやフラットバック(背骨のカーブが少なく横から背骨を見ると背中から腰がまっすぐになっている状態)の原因にもなり得ます。
また、菱形筋が強く引っ張り合った状態では、肩甲骨は外側にありながら菱形筋の作用によって下方回旋の状態となり、上方回旋がスムーズにできなくなります。結果、肩甲骨がスムーズに上方回旋できなくなり、同時に腕を上げる動作に制限がかかりやすくなります。
肩関節を最大屈曲させるには、胸を張る必要がありますが、菱形筋がパツパツで下方回旋に誘導されていると、肩関節の可動性は130~150°あたりで制限され、一番上まで上がる頃には肘関節の屈曲といったエラーが生じやすくなります。
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Anatomy Special Magazine
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