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保育士さん必見!子どもの「投げる力」を伸ばすには5歳までの運動経験がキーポイント

今回は「投げる運動の大切さ」についてお話しします。


最近の子どもたちは「投げる力」が低下している

「最近の子どもたちは体力が低下している」とよく言われますが、実際にそうなのでしょうか?
今の子どもたちとそのお父さん・お母さんが子どもだった頃の時代の体力の違いを比べてみたグラフがあるので一緒に見ていきましょう。

まずは身長・体重などの「体格」についてです。こちらは、今の子どもたちのほうが体格が大きいという結果になりました。

黄みどり:親世代が子どもだった頃(30年前)/ 黄色:現代の子ども

次に、運動能力についてです。「50m走」はほとんど変化がありませんが「ソフトボール投げ」については今の子どもたちは昔の子どもに比べて低い結果となりました。つまり、今の子どもたちは「投げること」が苦手になっているということです。

黄みどり:親世代が子どもだった頃(30年前)/ 黄色:現代の子ども

「熟達の障壁」を知っていますか?

皆さんは「熟達の障壁」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これは、5歳までの間に運動の基本動作を経験しておかないと、その後にその運動能力を習得・上達させていくのは難しいというものです。投げる動作についてもこのことが言えます。

実は、もともと日本人は「投げる」のが得意な民族と言われています。

また、「投げる」動作は、バレーボールのアタックやテニスのスマッシュなどの動作に応用される動きです。

そのため、子どものうちに「投げる」ことが苦手になってしまうと、将来さまざまなスポーツを楽しめなくなってしまうかもしれません。

ぜひ子どもたちには、5歳までの間に「投げる」の基本動作をしっかり経験させ、5歳以降もその能力をどんどん伸ばしていけるようサポートしていただけたらと思います!

投げる力を上達させる「ムチ動作」とは

投げる動作において重要な動きがあります。それは「ムチ動作」です。

「ムチ動作」とは、手足をムチのように使い、体幹で生み出したパワーを手足などの末端に伝える動きのことです。

野球のピッチャーがボールを投げる動きも「ムチ動作」にあたります。まず、腕が後ろに引かれ、それに遅れて肘がついていきます。そして、あるポイントから肘が肩を追い越して、手首が肘を追い越していくのです。こうすることで速い球が投げられます。 この動きは、各部位の動きがチェーンのようにつながっていることから運動連鎖(キネティックチェーン)」とも呼ばれます。

・自家製ムチで練習してみよう

これは、実際に大昔の人たちが使っていた鞭(ムチ)です。このような本物のムチに触れることはなかなかないと思いますが、実は簡単なムチを自分で作ることができます!

こちらの動画で自家製ムチの作り方も紹介していますので、ぜひ参考にムチをつくってみて「ムチ動作」の練習をしてみてください。

・ムチが「パン!」と音を鳴らす仕組み

ムチは「パン!」と音を鳴らしますが、あれは末端の細い紐の部分が何かに当たって音が鳴っているわけではありません。末端が音速を超える速さで空気を叩き、急激な空気の圧縮と膨張が起こったときの破裂音で「パン!」となるのです。非常に大きな音が鳴りますので、皆さんも自家製のムチでぜひ体感してみてください。

・「ムチ動作」を上手におこなうポイント

「ムチ動作」を上手におこなうためには腕を速く振る必要がありますが、その際に「関節の力を抜く」ということが大切なポイントとされています。肘や手首などの末端に力が入ってしまうと、ムチをしなやかに振ることができないからです。つまり、リラックスすることが大切なのです。

トップアスリートがまったく力が入っていなさそうなのに豪速球を投げるシーンを見て驚いたことはありませんか?これは「ムチ動作」をしっかりマスターしているということですね。

遊びを通して子どもたちの「投げる力」をアップ!

先ほど「熟達の障壁」の話をしました。これは、5歳までの間に運動の基本動作を経験しておかないと、その後にその運動能力を習得・上達させていくのは難しいというものです。

投げる動作にもこのことが言えますので、ぜひ子どもたちが5歳までの間に「投げる力」の基本動作を経験させ、5歳以降もその能力をどんどん伸ばしていけるようサポートしていきたいものです。

・おすすめは「紙飛行機」や「紙鉄砲」

もちろんボールを投げる練習も良いと思いますが、私は遊びを通して投げる動作を身につけることをおすすめしています。例えば「紙飛行機」です!

こちらの動画では、よく飛ぶ紙飛行機の折り方を紹介していますのでぜひご覧ください。

紙飛行機をしっかり遠くまで飛ばすためには、投げるタイミングや角度などが重要です。これらの要素は、ボールを投げる技術にも繋がってきます。紙飛行機を飛ばして楽しみながら「投げる」の基本動作を経験してもらえたらと思います!

また、紐に通した塩ビのパイプを投げるといった遊びもおすすめです。昔ながらの紙鉄砲も良い遊びですね(くれぐれも周りの人に当たらないようお気をつけください)。このように、子どもたちには遊びを通して投げる技術を身につけていってほしいなと思います。

「投げる」と「捕る」はセットで練習するのが大事!

ここまで「投げる動作」についてしかお話していませんが、実は投げる動作と同じくらい「捕る動作」も大事なのです。文科省では投げる運動ばかりが強調されており、捕る運動にはあまり触れられていません。しかし、将来さまざまなスポーツや運動を楽しむためには「捕る」という動作を習得しておくことは必要不可欠です。そのため、子どもたちには「投げる」と「捕る」を同時に練習してほしいなと思います。

・おすすめは「キャッチボール」や「ジャグリング」

キャッチボールは「投げる動作」と「捕る動作」を同時に練習できる重要な運動です。100円ショップでも手に入る「吸盤キャッチボール」はキャッチボールの基本動作を習得するために良いグッズでしょう。

また、ジャグリングもおすすめです。ジャグリングは動体視力や周辺視野を養うのにとても効果的で、将来さまざまなスポーツ・運動をおこなう際にも役立ちます。

小学生でも習得できるような簡単な技もありますので、ぜひ子どもたちにチャレンジしてみてほしいです。ちなみに、私の地元の少年野球チームでは、ジャグリングの練習を始めてから野球のエラーが減少したそうですよ!

また、ジャグリングは認知症予防にも効果がありますので、頭を活性化させる運動として取り組むのもよいでしょう。

老舗スポーツ用品メーカーと共同開発したジャグリングボール「JEボール」をお試しあれ!

「投げる」と「捕る」を同時に練習できる遊びとしてジャグリングが有効ということで、私は老舗スポーツ用品メーカー「株式会社淡野製作所」さんと一緒にジャグリング専用ボール「JEボール」を開発しました。

今回は「投げる運動」と「捕る運動」について紹介しました。おさらいになりますが、5歳までにいろいろな運動の基本動作を経験しておくことで5歳以降もその能力を発展させていくことができます。

子どもたちが楽しみながら「投げる」「捕る」の基本動作を身につけていけるよう、ぜひ保育園や幼稚園でも積極的に「紙飛行機」や「キャッチボール」「ジャグリング」などの遊びを取り入れていただけたらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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