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「挽き方でコーヒーの味が変わる」ことに気がついた話

先日、知り合いにコーヒー豆をもらった。僕は家にコーヒーメーカーがあるくらい、結構コーヒーを頻繁に飲む。もちろん嬉しかったのだが、もらったものは挽く前のもの、粉状ではなく豆のままのものだった。

いつもコーヒー豆を買うお店は、買う時に挽いてくれるのでそのままコーヒーメーカーで作れたのだが、今回はそうはいかない。このままでは飲めないので、Amazonでコーヒーミルを買った。

2300円。アンティーク調のちょいおしゃれなやつ。これが大当たりで、コーヒー豆を手動で挽くという作業を初めてやってみたのだが、これが意外に楽しい。挽いた瞬間のフワっとする香りも楽しんでいる。

そして、このコーヒーミル、上についてあるハンドル部は分解でき、調整をすることで挽き方を選べるのだ。ネジを回して自分のお好みの粗さに設定できる。試しにデフォルト状態から粗目の方にして挽いたものを飲んでみると、なんとびっくり、コーヒーの味が変わったのだ。

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コーヒーが好きな人、自分でコーヒー豆を挽いて飲む人にとっては、「挽き方でコーヒーの味が変わる」というのは当たり前のことだろうし、「今更そんなことで何を驚くんだ」と思うかもしれない。しかし、普段飲むコーヒーは、お店の人に挽いてもらったものばかりだった僕にとって、「挽き方でコーヒーの味が変わる」という事実は、小さな衝撃だった。

いや、ちょっと考えれば「それはそうだろうな」とは思う。正確に言えば、「挽き方でコーヒーの味が変わる」ということを頭で考えるとか、そういう発想をすることができなかったというか、考えたこともなかった。僕にとってコーヒーは、豆を挽いてもらったものから作るか、喫茶店で頼むか缶で飲むかというものであり、豆を挽くものではなかったのだ。

たまたま豆の状態のコーヒーをもらったから、僕はコーヒーミルを買い、自分で挽くという作業をしたおかげで、「挽き方でコーヒーの味が変わる」ことを実感した。なんというか、体が覚えたのだ。言葉で言われれば、まぁそうだろうと流してしまったことだが、今後僕は「挽き方でコーヒーの味が変わる」という人生を過ごすことになる。

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世の中の色々なことには、掘れば掘るほど奥が深いものばかりである。ただ、人間そんなに多くのことに興味を持つこともなかなかできないだろうし、自分の習慣・生活スタイルなどで、興味を持つ分野なんて限定されてしまう。今回のコーヒー豆のように、頭で考えればそうなるだろうと思うことでも、そもそもそういう発想にならないことの方が多いと思う。

人は生まれてから死ぬまでの間に、色々なことを経験すると思うが、他の人からしたら常識的な知識でも、自分で本当にそれを知ることができるかは分からない。今回、挽く前のコーヒー豆をもらわなかったら、僕はもうしばらく「挽き方でコーヒーの味が変わる」ということを考えなかっただろう。

このコーヒー豆のような例は、他にも沢山転がっていると思う。当たり前にここに存在している世界は、自分が思っているよりもよっぽど奥深い。その全てを知ることは当然できないだろうが、生きている限り新しい知識が手に入ったりする。そしてそれは、知っている人からしたらごく当然のことで、自分からしたらとても新鮮な刺激になるだろう。

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