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読書感想文〜『愛がなんだ』角田光代

5年くらい前まではハイペースで小説を読んでたのですが、最近はいろいろと忙しく、というか漫画の方に走ってしまい、小説を読むことがなくなってしまいました。
本を読みながら感情を大きく動かしていた当時の気持ちを思い出し、ちょこちょこと小説の感想を書いていきたいと思います。

角田光代さんは好きな小説家で、いろいろ読みました。この人の本は記憶に残る登場人物が多くて、ふとした時に場面やストーリーを思い出したりします。

最近、映画の方を観たので、特によみがえった『愛がなんだ』。
つれないマモちゃんのことしか考えられないテルコ。友達からも「やめとけ」と止められ、読者も魅力を感じない(と思う)マモちゃんが生活の中心になってしまっておかしなことになってるテルコ。 

テルコの心の中を想像してみます。

・自分でもマモちゃんへの気持ちがわからないまま深い関係になったので、
 行動に気持ちを合わせて「私はこんなに好きだったからそうなったのだ」
 と自分を思い込ませた→認知的不協和理論
・手に入らないものを欲しがる→スノッブ効果(マーケティング用語のよう
 です)
・マモちゃんはテルコに恋愛感情を抱いていないとテルコは思っている→テ
 ルコもマモちゃんのことはたいして好きじゃなかった→防衛機制の”投影"
・安定した愛情と安定した居場所をマモちゃんに求めてる→マズロー”所属と
 愛情の欲求”

などといろいろ考えてみましたが、
本当はテルコはマモちゃんを好きではない…?
どうなんでしょう。
イメージへの崇拝?ただの執着?だったのかもしれません。
もちろん性格が悪くても、カッコよくなくても、客観的に見たら「え?どこがいいの?」と探し回ってもどこがいいのかわからん人を好きでたまらなくなるケースはあると思います。あの人の良さは私にしかわからない、と思うことだってあります。理由なく好きになることだってあります。
それは本能と呼べるものかもしれません。
そんな相手に振り向いてもらえない、でも離れたくない。
愛がなんだ、これは愛なんかじゃなくて違うものなんだ
とテルコは言いたかったのかもしれません。

自分の深い心理に気付けば、それを解きほぐしていけば、そして行動を変えていけば、停滞している状況から抜け出せると思うんですが、わりとこういう恋愛は多いような気がします。うんうん。

恋愛は一番形が変わっていく人間関係だと思うので、小説のラスト後、テルコとマモちゃんの関係がどうなっていったのかが気になるところです。
未読の方は是非読んでみていただきたいです。




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