おいしいって素晴らしい
戻った、味がする、よかったー。
しょっぱい、あまい、にがい、すっぱい。
7日間、予期せぬ味覚の消失にへこみまくった私。家族と夕飯なに食べる?と話してても、あれが食べたいなと考えてても心底虚しかった。
美味しいって感じられること、それを共有できることは生きるうえで本当に大事なことだ。
そして何より素晴らしいと食いしん坊な私は実感したのだった。
お出かけにちょうどいい気候になった10月下旬の週末、娘が発熱した。
えっ、まさかついに流行りのアレ?
体温計は38.0℃と表示されているが本人はいたって元気。
辛くない?との私の問いに
いや、全然大丈夫〜と娘。
余裕で遊んでいて、他の症状は時折出るコホコホとした軽い咳のみだった。子供は熱があっても元気な場合が多い。その時は解熱剤を使わず様子をみたりもしていた。
就寝前は38.5℃。水分も取れてかつ出てもいるので隣で私が寝て様子を見つつではあるけれどそのまま寝かすことに。
そして翌朝は37.5℃と、下がり切らないのでかかりつけの小児科へ行くことに決める。電話してから出向くと即抗原検査をされて心の準備も出来ないまま陽性が確定…
こうして我が家の新型コロナ待機期間がスタートすることとなった。
待機3日目にはついに私自身が発熱し午後から夜にかけて一気に上がった。就寝前にカロナールを飲んだら幸い一晩で下がりその後は平熱に落ち着く。鼻水が酷くて耳がボワッとするけれどこれくらいなら大丈夫だな、そんな程度になった頃だった。
5日目の朝ごはんに食べたバナナの味がしなかった。
このバナナ味がない…んじゃなくて私、味が分からない!
混乱する頭の中とは裏腹に行動は妙に落ち着いていて、とりあえずキムチをひと口食べてみる。食感や塩味が舌に広がる感覚(?)があり後から喉に辛さを感じた。しかし味はやっぱりない。
これって後遺症?でもそう言うには早いような。でもとにかくこんなにも味が分からないってことは初めてだ。ちなみに匂いも分からず身体は回復しても味覚と嗅覚はしばらくそのままだった。
ずっと治らなかったらどうしよう。
テレビやスマホには秋の味覚や話題のスイーツなど食に関する話題が溢れ嫌でも目に入ってきて不安を煽ってくる。こんなにもグルメの情報って多かったんだなとこういう状況になり改めて思う。
よく食べ慣れた味を思い出そうと頭で想像しながら食べてみても口の物を美味しいとは思えず虚無感が広がるばかり…
正直、熱もそこまでじゃなかったし待機期間もおやつを楽しみにのんびり過ごせばあっという間だろうと思っていたのだ。
また身体が回復してからは家族の食事の準備をしないわけにもいかず、その作った料理の味が分からないという矛盾は暗くて長いトンネルのどこにいるのかわからないというような気持ちがした。
甘くみてた、こんなんじゃ生きてる意味ない。
そんな考えにまで至った次の日、バナナの味が戻った。
美味しいと感じられることは生きてるってことだと思う。そしてそれを共有できることは何より大切なことだと改めて日常に感謝した。
バナナに始まりバナナに終わった味覚障害。あれ以来バナナを味わうようになったのは言うまでもない。皮に茶色い斑点がついたそれは、特別甘くて本当に美味しいんだ。
♢
今思うとただ単に酷い鼻詰まりのために味が分かりづらいだけだったのかと言う気もします。
味が戻った今となってはもう分かりませんが食べることが大好きな私にとって生きる気力を奪われるような辛さでした。健康で日々過ごせることは本当に当たり前じゃない。改めて感染対策など気をつけて生活したいと思います。
ものすごく食いしん坊なのがバレた内容になりましたが(笑)
最後まで読んで頂きありがとうございました✨
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