初めての恋人


高校で初めて彼女ができた自分は
中学の時に恋人がいた人間が羨ましくて仕方がない。

劣等感。悔しくて涙が出てくる。

握りしめた拳を開くと
手のひらに爪の痕がくっきりと残っているのだ。



『中学』と『高校』では全然違うのである!!!



『小学生の時から彼女いたよ』
なんて猛者もたまにいるが

「へぇーすげー」
などと言いながら

心の中で馬鹿にして大笑いしている。

『小学生から(苦笑)付き合ってた(失笑)』

小学生など毎日ケイドロに明け暮れ
プロフィール帳の記入に追われ
匂い付きのボールペンに心酔してればよい。



『中学』が羨ましいのだ!!!

「初めて彼女できたのいつ?」
「中2っすね」

うわ言いてぇ〜!!
なんて破壊力!!頭がクラクラする。


『1軍』すぎる!!!!

中学時代。
友達に彼女ができると

『すごいなぁ〜』
『大人だなぁ〜』
『チュウとかするのかなぁ〜』

などと妄想しながら
よだれをダラダラ流していた。

サティ(現イオン)で
彼女と手を繋いでいる友達を見かけた時は

『なんてえっちなんだ!!』

と憤慨したものである。

『サティで!!!手を繋ぐなんて!!!!』 

経験がないのによく恋愛相談をされた。
全くもってちんぷんかんぷんだったので

「ん〜…一回距離置いてみれば?」
などと適当にアドバイスしてヘラヘラしていた。


しかし中3にもなると

「男が求める幸せのカタチと
女子が求める幸せのカタチは違うんじゃない?」

「他の誰かじゃ埋められない場所を
お前はちゃんと持ってる」

「まぁ恋って証明もできなけりゃ
イコールもないからね。。。」

などと
大好きなコブクロの歌詞を引用し
さも自分の言葉かのようにアドバイスして
恋愛マスターみたいな顔をしていた。


時は経ち、先日中学の同級生と飲んだ。
酒も進み中学時代の思い出話に花が咲く。
『エモい』とはこういう時に使うのであろう。

聞きたいのはもちろん。

あの頃の恋愛話。

「中学の時○○さんと付き合ってたよね」



帰ってきた言葉は衝撃的なものだった。


「あんなの付き合ったウチに入んねーよ」



付き合ったウチに入んねー


とは一体どういうことだ!!!!????



部活帰り。周りから冷やかされながら
彼女と一緒に帰る後ろ姿。

「彼女にもらったんだ」と
大切に握りしめていた桜の花びら。

毎年一緒に行っていた花火大会。
「ごめん。今年は彼女と行くから」
と申し訳なさそうに呟く横顔。



付き合ったウチに入んねーとは
どういうことだ!!!!!!!!!

心底ショックを受けた。
なぜそんなことを言うんだ!!!!!!!

返せ!!!
お前たちに憧れていたあの日々を返せよ!!!

お願いだからそんなこと言わないで欲しい。

2人の恋愛に憧れながら、羨ましく思いながらも
陰ながら一生懸命応援していたあの日々は
自分にとっても大切な青春の1ページなのだ!!!


入る入る!!!!
入るよー!付き合ったウチに!!!!
自信持って!すごいんだから!!!!!
誇っていいんだから!!!!!!!



「高校の時宮本君と付き合ってたよね?」
「あんなの付き合ってたウチに入んないよ(笑)」

初めて付き合った女の子がそんなことを言ってたら
あまりのショックに泡を吹いて倒れるに違いない。



ゆいちゃん!!!
おれたちちゃんと付き合ってたよね!!???

3ヶ月で終わっちゃったけど!!!
付き合ったウチに入ってるよね!!!????

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