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おいしい生活を再考察

おいしい生活。

1982年に、糸井重里によって作られた当時の西武百貨店のコピーは、一世を風靡した。

このコピーの大ヒットの後、コピーライターを目指す若者が増えた、という。


現代を生きていると、
なぜ、このコピーがそれほど画期的だったのか、
全くわからない。


時代背景が、今とは全く違うからだ。


1982年の日本は、
戦後という言葉も使われなくなり、
日本は経済大国の仲間入りをして、
バブル経済へ向かっていくなかで、
消費活動が盛んになる気配が漂っていた。


そんな時代に「消費の快楽」という感性を、
ズバリと言い当てた言葉が
「おいしい生活」だった。


当時、消費は豊かさの証しだった。


美味しいものを食べた時の喜びをや満足感、
それは豊かさの象徴であり、
それを生活に結びつけたところに、
このコピーの凄さがある、
と当時は考えられていた。


消費をして豊かになれば、
おいしい生活が得られる。
消費を促す為に選んだこの端的な言葉は、
百貨店のコピーとして百点満点である。


そして、このコピーは大成功した。


私は、当時をリアルタイムで経験し、
おいしい生活を求めて
西武百貨店でよく買い物をした。


多くの人が同じような経験をしたと思うが、
結局「おいしい生活」は
バブル崩壊という沼に墜ち、
こんな言葉があったことも忘れ去られた。


消費に疲れた現代を生きる私達にとって
「おいしい生活」って何だろうか?


私は自宅にある食材で、
アイデアを活かして
美味しい料理を作るのが好きだ。


料理の3大要素は
①素材、②調味料、そして③ウデややる気
であると思う。

高価な素材を使わなくても
今あるもので、
調味料の配合を工夫して、
ちょっとしたアイデアと心配りで
美味しい料理は出来る、と信じている。


生活面でも、高価な物など持たなくても、
日常に感謝して、
学びや読書などからの刺激を受け、
向上心や情熱を持ってさえいれば、
自分だけが醸し出せる
特性スパイスの効いた「おいしい生活」は
簡単に手に入る。


時代は、百貨店からコンビニへ、
コンビニから、ウーバーイーツへ、
と移り変わっている。


西武百貨店は池袋から消えた。


あの、百貨店のきらびやかさと豊かさの象徴は
もう、池袋や渋谷に行かなくても
常に携帯して持ち歩ける形で
それぞれの心のなかで
光り輝いていると
私は、
信じる。

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