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【デンマーク建築】シドニーオペラハウスの設計も!デンマーク出身の建築家Jørn UtzonとUtzon Center

こんにちは。MIOです。今回はユラン縦断旅レポの記事に登場した"Utzon Center"についてご紹介致します。

オールボーの街の海沿いにあるUtzon Centerはデンマークの建築家Jørn Utzonが設計し、2008年に完成した建築センターです。美術館ではなく、建築の学生達がアイデアに出会い、話し合う場として作られました。センターの中には企画展を行う展示室やUtzonのギャラリーの他に、レストランや講堂、ワークショップを行うスペースがあります。

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センターの入り口。”Utzon"のサインが可愛い。

Jørn Utzonとは

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出典:wikipedia

Jørn Utzonは1918年にコペンハーゲンで生まれ、幼少期をオールボーで過ごします。その後、デンマーク王立芸術アカデミーにて建築を学びました。Utzonはフィンランドの建築家Alvar Aalto やアメリカの建築家Frank Lloyd Wrightに影響を受け、北欧で建築家として活動していました。また、世界各国の建築手法に興味があり多くの国を訪れました。日本にも来たことがあるそうです!

Utzonが世界的に有名になったのは、オーストラリアのシドニーに設計予定のオペラハウスのコンペ。世界各国の有名建築家による233件の案の中から当時全くの無名であったUtzonのデザインが選ばれたのです。しかもUtzonが提出した図面は暫定的なスケッチのようなものだったそう。応募基準を満たしていないとの理由から一度は落選になったものの、審査員であったEero Saarinenの強い指示により復活。そして最終選考を勝ち抜きました。

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"Utzon Centerに展示されていたシドニーオペラハウスの模型"

これはUtzonにとって初めての国外のプロジェクトとなりました。その複雑な形状から建築の際には様々な問題を抱え、途中でUtzonが設計担当を辞任するという出来事もありながら、1973年に開館したシドニーオペラハウス。オーストラリアを代表する世界的に有名な建築として親しまれています。

Utzon Center

入り口を入るとすぐ横にレストラン「JØRN」と売店があります。

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売店のカウンターでチケットを購入。入館料は大人は80Kr(約1,360円)、子供・学生は40Kr(約680円)です。

建物は中庭を囲んだロの字型。中庭をぐるりと回る廊下の壁には、Utzonの人生をテーマ別に紹介した映像を見れるタッチディスプレイがずらりと。

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窓際にはUtzonの作品の模型や資料が展示されています。

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中庭から光がたっぷり入って、明るい廊下が素敵です。中庭にも出ることが可能。緑がたくさんで、テーブルやベンチもあるので休憩にもぴったりです。

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廊下を進んだ奥にはボートホールが。中にはUtzonの父親で船職人であるAage Utzonが設計した船が展示されています。壁から天井までひと続きの大きな窓と、そこから見える海と空の景色がとても綺麗でした。

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階段を登って2階に上がると、講演会などに利用される講堂があります。

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天窓から光が差し込みます。

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講堂の片隅にあった素敵なスペース!!綺麗な海に囲まれた贅沢な空間。海に囲まれたデンマーク。海を近くに感じられる街が多くて好きです。

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企画展「Bo Bedre」

展示ホールで行われていた企画展。タイトルはデンマーク語でBo=Live、Bedre=betterで"より良い暮らし"という意味です。こちらの展示では1970年設立のコペンハーゲンに事務所をかまえる建築会社:Vandkunsten Architectsのこれまでの作品と活動を知ることが出来ます。2021年2月28日までの開催とのことですが、とても面白い展示だったので少し内容をご紹介します。

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展示室に入ると天井には緑が映し出され、木で作られたいくつかの小さな家が建っていました。ここでは部屋全体を小さな町に見立てています。

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"より良い生活"を送るための5ヶ条。Vandkunsten Architectsのプロジェクトに共通しているのは、"私たちがより良い生活を送りたいという願望"。5つのテーマに別れた展示を通して、私たちはそのための生き方を学びます。

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奥のコーナーでは、時代の流れより私たちの暮らし方がどう変化してきたかを表す年表が。災害、経済危機、病気、気候変動など時代ごとに起きる様々な問題が建築にどう影響してきたかがわかります。またそれに対してVandkunsten Architectsが提案した建築例を見ることが出来て、個人的には非常に興味深かったです。時代に合わせた建築の重要性を学びました。

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棒と布と紐だけを使って、自分たちの家を作ってみようという内容のワークショップスペースも。子供達がワイワイと楽しそうに挑戦してました。そしてこちら、面白いのが展示を進んだ先にこんなものが。

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考えた家を、次は実物大サイズで作れるコーナー!これ、子供は絶対わくわくしますよね。このように、大人だけでなく子供でも楽しめるような展示の工夫が素敵だなと思いました。

その他にも、小さく暮らすための家の実物だったりだとか、コミュニティハウスに関する展示だとか、みんなでくつろげるスペースだとか、実際に見て体験できる展示が多かったです。建築に詳しくない人でも、楽しみながら知ることが出来ます。そして自分たちの暮らし方を見つめ直す機会を与えてくれる、とても面白く興味深い企画展でした。おすすめです!!

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展示室の随所に掲げられていた説明文。この企画展の展示やOSB sheets(合板)は、過去のUtzon Centerで行われた展示会で使われた素材を再利用して作られているそう!環境にも配慮している点、さすがです。

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その他のUtzon建築

デンマーク国内にはこの他にもUtzonが手がけた建築が多数存在します。その中でも有名なのがBagsværdChurch(バウスベア教会)。コペンハーゲンの中心地から電車で30分ほどの場所にあるので、ぜひこちらにも足を運んでみてください。

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