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(私の中の)着物と水引の関係

私が水引と出会ったのは24歳、自分の結納の時でした。
結納の日は母の振袖を着せてもらっていたのですが、他にも私の年頃で着るような着物がいくつかあるということで、祖母の家の奥の方にある箪笥のさらに奥の方から色無地や訪問着などを広げて出し、譲り受ける算段をしていました。
一通り確認した後に、そう言えば、と近くにあった細長い木箱から取り出されたものが水引でした。その時点で少なくとも50年は経過しているはずなのですが、そうは見えない艶々とした美しさに目を奪われました。
水引が祝儀袋や結納品を作る材料であること、また祖母が若い頃に結納品を作る仕事をしていたこと、そしてこの機会に処分しようとしていたことを知り、それならばと、着物と一緒にこれらの水引も譲り受けることにしたのです。

それから本格的に水引を始めたのは、30歳を過ぎた頃でした。仕事の傍ら、数年かけて祝儀袋や結納品などの制作方法を身に付けました。
同じ頃、譲り受けた訪問着を着せてもらって友人の結婚式に参列したのをきっかけに、自分でも着れるようになりたくて着付け教室にも通うようになりました。
着物と水引を同じタイミングで譲り受けたこともあって、着物について考える時には水引のことを、水引について考える時には着物のことを自然と連想し、始めるなら両方やらなくてはならないような気がしていたのです。

そして着物を自分で着ることができるようになったある日、普段着の着物というものがあることを知ったのです。これが私の人生を変えることに。
(続く)

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