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田舎町の書房が広げる、あたたかな繋がり

本を大切にする人は、とてもあたたかい。
そんなことを感じさせてくれる映画に出会いました。

韓国映画「天気が良ければ会いにゆきます」

この映画に出てくるグッドナイト書房は、冬は凍えるように寒い田舎町にある。
本屋よりも、書店よりも、書房という呼び方がしっくりくる。
ウンソプという本好きの青年が、元々廃虚だった一軒家を「書房をしてくれるなら好きにしていい」と、譲り受けた場所。
この書房は、もちろん本を買うこともできるけれど、自分が読んでいる本にしおりを挟んでキープしておき、次に来た時に本棚からその本を取り、続きを読むことができる。ワインボトルのように。
週に一度開かれる読書会では、子どもも大人も集まって、自分が気になっている本や詩の一説を紹介し合う。みんなで「素敵だね」って意見を交わす時間もあれば、おじいさんがもってきた蜜柑を焼いてみんなで食べたり、そのおじいさんが脚を痛めていれば薬局の子どもがホッカイロをあげたり。
本屋が、当たり前のように、また行く場所になっていて、この本屋を中心に、優しいコミュニティができているのだ。


ストーリー

ソウルの音楽塾でチェロを教えるヘウォン(パク・ミニョン)は、理不尽なことだらけの日々に疲れて仕事を辞め、高校生活を送った田舎町でひと冬を過ごそうと決める。ところが、実家のペンションで一人暮らしをする叔母ミョンヨ(ムン・ジョンヒ)は、突然帰省したヘウォンを歓迎しない。一方、古民家の小さな書店“グッドナイト書房”を営むウンソプ(ソ・ガンジュン)は、初恋の女性ヘウォンが春まで地元に滞在すると知って、ひそかに胸を躍らせる。そんな中、ウンソプに誘われて、高校の同窓会に初参加したヘウォン。ウンソプは親友のジャンウ(イ・ジェウク)から高校時代に片想いしていた相手を聞かれ、ヘウォンのことが好きだったと思わず正直に答えてしまう。やがて“グッドナイト書房”でアルバイトをすることになったヘウォンは、ウンソプの優しさに癒され、惹かれていくが…。

「天気が良ければ会いにゆきます」公式サイト
ウンソプ(ソ・ガンジュン)  ヘウォン(パク・ミニョン)

韓国ドラマらしく、悲しくて痛々しい過去をもつ2人のラブストーリーだけど、その中心になるのが、ウンソプが営む一軒の書房。

あたたかな店主がつくり出す、あたたかな空気感

ウンソプがつくり出す空間が、とても心地良い。
それは何よりウンソプの人柄からくるもので。
ウンソプは、相手の話を優しく聴き入れ、相手の話を遮ることはしない。そこには穏やかな空気が流れる。決して相手の邪魔をすることなく、歩み寄ってくれる、とてもあたたかい人。
そんなウンソプの書房、その書房に集まる人たち、そしてヘウォンが紡ぐチェロの音色、すべてがやさしくて、心が落ち着く。

言葉や文字がつくり出すもの

この映画では、一人ひとりの言葉を聞き逃さないように、その言葉の背景にはどんな想いがあるのかを考えずにはいられない。
口数の少ないウンソプが考えている本当の気持ち、ちょっと口が悪いけど家族のことが大好きなウンソプの妹、小説家の叔母が隠し続けた愛情など。

相手のことを想うからこそ、敢えて口にしないこともある。
でもそれを知った相手は、たとえ傷ついたとしても知りたかったと思う。
起きている事実はひとつだとしても、その事実に関わる人が感じることはそれぞれで。
決して誰かを傷付けようとしているのではなくて、自分も、相手も大切に想うのが人なんだなと。

やさしい気持ちを感じられる映画です。

あ、何よりウンソプがかっこいい(笑)

天気がよければ会いにゆきます(字幕版)Prime Video
https://watch.amazon.co.jp/detail?gti=amzn1.dv.gti.12851953-fe90-4efb-a4a9-a7a02394a106&ref_=atv_dp_share_seas&r=web

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