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【映画】死刑にいたる病 感想

ずっと観たかったけど、あえて観なかった映画。

ついに観てしまいました、うん、凄いね、これ。


以下、ネタバレあるので大丈夫な方だけどうぞ。

グロいかつメンタルに来る内容なので、想像力が豊かな人にはあまりお勧めできないと言うか、観るのを躊躇ってしまうだろう。出来るだけ淡々と観る方が影響を受けず物語全体を把握しやすい。

人は、見かけ通りな時と見かけによらない時の2つに分かれるだろう。前者は、見たままの印象でその人柄を勝手に想像して結論付ける。良くも悪くも誰が見ても同じ印や感想を持つことが多い。しかし、後者の場合はとても判断が難しい。例えば、目の前に1人の男性がいるとする。見るからに穏やかで優しそうな、そして話してみればそれが確信に変わるだろう。そんな1人の男が、殺人犯だとしたら?あなたは人は見かけによらないな、と言う一言の感想で済ませることが出来るだろうか?そんな自分の期待をいい意味で、いや、悪い意味で裏切るのがこの映画の真髄ではないだろうか。


とりあえず、一言、言いたい。

中山美穂さんがただただ美しい。

このエグいグロい映画の中に一点の癒し。

それだけで最後まで頑張って観ることができる。


さて、そんな中山美穂さんが演じるのは、主人公の母親です。まさか阿部サダヲさん演じる凶悪な連続殺人犯と過去に接点があっただなんて。それだけで主人公の雅也混乱します、自分の父親なのではないかと疑います。そしてそれを望んでいたと言う犯人は、本当に頭のいい人なのでしょうか。本当に頭のいい人は、殺人犯にはなりません。まぁ、魔が刺したと言うことにして置きましょうか、とりあえず。

頭のいい連続殺人犯の榛村、そして、その血を受け継いでいるかもしれない主人公の雅也。それにしても、雅也の行動力と考察力、凄過ぎませんか?もう観ている側を を置いてきぼり。分かるけど、早足過ぎて感情移入無理。到底一般人には想像もつかない推察力、これはもう才能なんでしょうね、開花させた榛村凄い。

そんなことより、死刑にいたる病について。

死刑に至る病」というタイトル、これはデンマークの哲学者・キルケゴールが書いた本のタイトル「死に至る病」を思い出しますね。

肉体的な死ではなく、精神的な死のことを「死に至る病」と言う。しかし、この映画、英語版のタイトルは、Lesson in Murder です。

lessn in murder を翻訳すると、殺人の教訓。

死刑にいたる病 = 殺人の教訓 

この映画、死刑にいたる病な登場人物が沢山いるんだと思います。誰もが殺人を犯す可能性があり、それを増殖させ起爆させられる榛村は、まるでウィルスのような存在なのではないでしょうか。

人は完璧ではなく、絶望の入り口は常に身近なところに潜んでいます。結局雅也は、最後まで榛村の手のひらで転がされていました。あなたは驚愕のラストにゾッとしましたか??私は桜が大好きなので、しばらくは桜の花びらを見る度に、怒りが込み上げるかもしれません。恐怖よりも怒りと哀れみが勝ちました。観終わってみれば、思ってたより単純で明解、とても分かりやすい作品でした。グロい部分が先行し過ぎて内容が際立たない。ドラマだったらもっと部分的にしっかり感情移入出来たかも。

それにしても、阿部サダヲさんの演技は凄かった。これに尽きる。隣人に居なくて良かった。

あ、私もこの春は桜色のネイルにしような。




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