渡辺今日子

犬と卓球と日本史をこよなく愛す予備校講師です。

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最近の記事

【読了 2024 No.15】山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?-経営における「アート」と「サイエンス」-』(光文社新書)読了。

【読了 2024 No.1】【読了 2024 No.14】と、山口周氏の本が続いたが、この『世界のエリートは…』こそ、山口氏の代表作中の代表作である。読んでる間、山口氏の高く洗練された表現力に痺れまくりだった。本を読んで、「痺れる」という感覚を覚えたのは初めてだった。 なぜか偏差値の高いエリートが多数在籍しているのにも関わらず、コンプライアンス違反をしてしまう組織、オウム真理教のように暴走してしまう組織があるのか? それらと旧livedoor、さらにナチスの“陳腐な悪人”

    • 【読了 2024 No.14】楠木建 山口周 『「仕事ができる」とはどういうことか?』読了。

      いやぁ~~~、期待通りの面白い本だった👏。 楠木教授は【読了 2024 No.13】で、山口氏は【読了 2024 No.1】で、既に一冊ずつその著書を読ませて貰っていた。だから、とっても期待していた。 まずは、お二人の読書量(片方が紹介する本を、もう一方も殆ど読んでいるのだ‼️)と、踏んでいる「場数」の多さ、交流関係人の豊かさに圧倒された😳。 さて、さて、テーマの「仕事ができる」っていうことだが、究極のそれは、 「お客さん」に受けて金が獲れるか? …なわけである。

      • 【2024読了No.13】楠木建著『好きなようにしてください-たった一つの仕事の原則-』(ダイヤモンド社)読了。

        珍しくKindleで読んだ。(だから犬の写真なし) この本は元々Newspicksというニュースキュレーションサービスサイト(有料)に連載した、「楠木教授のキャリア相談」という連載記事が母体で、それに加筆修正したものである。 楠木教授は一橋大学大学院の教授。専攻は経営学。 主な著書に『ストーリーとしての競争戦略』がある(まだ読んでません。次に読む予定)。 相談に対して、「好きなようにしてください」では、何の回答にもなってないような気がするが、実は相談に対する回答よりも

        • 【2024 読了 No.12】小宮輝之著『人と動物の日本史図鑑①旧石器時代から弥生時代』(少年写真新聞社会)読了。

          子供を向けの本であるが、著者は元上野動物園園長。動物学者から見た原始時代は、考古学者から見たそれとはかなり違っており、新しい知見を得ることができた。 山川出版社の最新の教科書『詳説日本史探求』には、「今からおよそ1万年前、最後の氷期が過ぎて完新世になると地球の気温も温暖になり、海面が上場してほぼ現在に近い日本列島が成立した。亜寒帯の針葉樹林にかわって、東日本にはブナやナラなどの落葉広葉樹林が、西日本にはシイなどの照葉樹林が広がった、大型獣は絶滅して、動きの速いニホンジカやイ

        【読了 2024 No.15】山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?-経営における「アート」と「サイエンス」-』(光文社新書)読了。

        • 【読了 2024 No.14】楠木建 山口周 『「仕事ができる」とはどういうことか?』読了。

        • 【2024読了No.13】楠木建著『好きなようにしてください-たった一つの仕事の原則-』(ダイヤモンド社)読了。

        • 【2024 読了 No.12】小宮輝之著『人と動物の日本史図鑑①旧石器時代から弥生時代』(少年写真新聞社会)読了。

          【2024 読了No.11】細谷功著『具体と抽象-世界が変わって見える知性のしくみ-』(株式会社ZERO)読了。

          作者の主張を一言でまとめれば、具体的な表現の方が分かり易いが、抽象的な表現の方が汎用性が高くなり、活かし易いということ。 作者によれば、世の金言と呼ばれるものは、ほぼ皆抽象的な表現だからこそ様々な状況に当てはめられ、教訓として活かせるのだと。また、「歴史に学ぶ」というが、それが可能にするには、抽象化して人間社会の法則レベルまで昇華して把握してこそなのである。 予備校の日本史講師の私的にアレンジした具体例を使って作者の主張を説明してみよう。 「急激な変革が、非効率的とはい

          【2024 読了No.11】細谷功著『具体と抽象-世界が変わって見える知性のしくみ-』(株式会社ZERO)読了。

          【2024 読了 No.10】小川仁志著『100分で名著・バートランド・ラッセル幸福論』(NHK出版)読了

          ラッセル(🇬🇧)の『幸福論』は、アラン(🇫🇷)、ヒルティ(🇨🇭)の『幸福論』と並んで“三大幸福論”と呼ばれているそうだ。 ちなみにミスチルの「PUDDLE 」の歌詞の 「いいことがあった時の笑顔じゃなくて、笑顔でいればいいことあると思えたら、それがいいことの序章です」 というフレーズだが、これはアラン(🇫🇷)の『幸福論』の「幸せだから笑っているのではない、むしろ僕は笑うから幸せなのだ、と言いたい」から来ている。作詞者の桜井和寿本人も認めている。 ラッセル(🇬🇧)に興味を持

          【2024 読了 No.10】小川仁志著『100分で名著・バートランド・ラッセル幸福論』(NHK出版)読了

          【2024 読了 No.9】上岡暘江+大嶋栄子著『その後の不自由-「嵐」のあとを生きる人たち-』(医学書院)読了。

          國分功一郎著『暇と退屈の倫理学』(※【2024読了No.8】で紹介。以降、國分氏の『暇と…』と略称)を読んで、 「何故、ハイデッカーの第三形式ではいけないんだ?國分氏の提唱する暇とのつきあい方は私にはモノ足りなくて耐えられないな」 と思った。 読後、モンモンしたときに、國分氏の『暇と…』の注釈でこの本を知った。 著者の一人上岡陽江氏は「ダルク女性ハウス」という施設を運営している。ここでは、DV等の理不尽な体験を生き延びた後にトラウマから薬物やアルコールなどの依存症を発

          【2024 読了 No.9】上岡暘江+大嶋栄子著『その後の不自由-「嵐」のあとを生きる人たち-』(医学書院)読了。

          【2024読了No.8】國分功一郎著『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫)読了。

          私は書名を見たとき、「暇と退屈なときこそ倫理学をかじろう」という「倫理学のススメ」的な内容だろうと思って手に取った。 だが、この書の内容はそんな能天気なものではなかった。真っ正面からの「暇と退屈」をテーマとした人類史と研究史についての考察であった。 まずは著者は哲学者なので、「暇と退屈」を主要テーマとした哲学史を著述した第一章「暇と退屈の原理論-ウサギ狩に行く人は本当は何が欲しいのか-」が一番面白かった。当然、ウサギ🐇そのもののハズ無いだろっ‼️…ということをパスカルが述

          【2024読了No.8】國分功一郎著『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫)読了。

          【2024読了No.7】國分功一郎著『初めてのスピノザ』(講談社現代新書)読了。

          『独学大全』(【読了No.6】)に触発されて、オンライン“読書会”というとのに参加してみることにした。 「こくちーず」という、主にオンラインの各種催し物各自を紹介するプラットホームで「読書会」を探してみた。殆どが自分が最近読んだ本を発表する形のものが多い中で、課題図書を決めた“読書会”をしている数少ない団体があった。 その団体の課題図書がスピノザの『エチカ』だった。スピノザは読了No.1の『武器になる哲学』にも取り上げられてなかった。 おまけに著者、つまりプロの哲学者自

          【2024読了No.7】國分功一郎著『初めてのスピノザ』(講談社現代新書)読了。

          【2024 読了 No. 6】読書猿著『独学大全』(ダイヤモンド社)読了。

          いやぁ~ボリューム大きかった。 厚さ4.9cm❗️読むのに時間かかった🤣🤣🤣 本をめくると、いきなり脱力するようなイラストを添えた「無知くんと親父さんの対話①」が出てくる。 「誰かが勉強ができない最大の理由は、…人生の中での勉強の優先順位を高くするのに失敗してきたからだ。これは勿論本人の心がけだけの問題ではない。勉強を軽んじる奴、憎んでる連中は数多いし、そういう奴らは自分の近くで誰かが学んでいると『自分を否定された』と思って熱心に邪魔しに来る。」 よくぞ言ってくれた🙇‍

          【2024 読了 No. 6】読書猿著『独学大全』(ダイヤモンド社)読了。

          【2024 読了 No. 5】大木毅著『日独伊三国同盟-「根拠なき確信」と「無責任」の果て-』(角川新書)読了。

          読み終えて改めて「序に代えて」を見直した。 「これは、主役のいない物語である。長期的な見通しも、確固たる戦略もない脇役が、つぎからつぎへと立ち現れ、ただ状況に翻弄されるなか、利己的に動き回り、筋を進めていく。彼らの行く先が、舞台中央にぽっかりと開いた奈落の底であるとも知らずに。」 読み始めは私もそう思った。 冒頭からは、日本史の予備校講師の私さえ、「A級戦犯になった」って以上知らなかった大島浩がクローズアップされていたから。 その後もどんどん「教科書にも載ってない人」

          【2024 読了 No. 5】大木毅著『日独伊三国同盟-「根拠なき確信」と「無責任」の果て-』(角川新書)読了。

          【2024 読了 No. 4】仲正昌樹著『悪と全体主義-ハンナ・アーレントから考える-』(NHK出版新書)読了。

           ハンナ・アーレントの『全体主義の起源』は前から読んでみたいと思っていた。でも、難読で有名らしい。自分にそれを読みこなす自信はないので、分かり易く紐解いてくれる本を探した。 仲正氏の著書では、以前『統一教会と私』を読んだことがある。あのまさに全体主義的な狂信的な統一教会に一度は御本人が身を置いた経験があったわけ。その点、単なる全体主義の渦中で熱狂する大衆の姿を、傍観してなぞるような覚めた著述ではないだろうと期待して読んだ。 期待通りだった。大衆の心の動きを具体的に多少くだ

          【2024 読了 No. 4】仲正昌樹著『悪と全体主義-ハンナ・アーレントから考える-』(NHK出版新書)読了。

          【2024読了 No.3】田坂広志著『使える弁証法』(東洋経済新報社)読了。

          ハッキリ言って下らない本だった。 行間がえらく広い。繰り返しが多く、噛んで含めるような文体にイライラさせられた。 弁証法のキモたるアウフヘーベン(止揚)について語られるのは最後の最後だけである。 「弁証法を学ぶと…ができる」って繰り返しているけど、では、その弁証法はどう学ぶんですか?って聞きたい。 著者の書いているアウフヘーベンの説明って、高校の倫理の教科書に書いてある程度なんだけど。 著者の強調したい弁証法のキモは、アウフヘーベンではなく、世の中は「螺旋的発展」を

          【2024読了 No.3】田坂広志著『使える弁証法』(東洋経済新報社)読了。

          【2024 読了 No.2】富永雄輔著『男の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)読了。

          く 著者は学習塾の経営者。長い指導経験と卓越した観察力をベースにした著述である。 特にこの本では、(これは男の子に限らないことだが、)基礎学力の重要性を再三強調している。 昨今は、昨年度最後に読了した本の著者のように、「考えることこそ重要だ」として、基礎学力の積み重ねを軽視する傾向がある。 しかし、どんな思考問題も日本史の論述問題も、基礎学力が無ければ解けない。 富永氏がこの著書で書いているように、 「一見、難しそうに見えるこうした問題も、1つひとつの要素に分解し

          【2024 読了 No.2】富永雄輔著『男の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)読了。

          【読了2024No.1】山口周著『武器になる哲学』KADOKAWA読了

          【2024 読了 NO.1】 今年こそ50冊め目指すぞー💪 (昨年は40冊で止まってしまった😮‍💨) 山口周著『武器になる哲学』KADOKAWA読了。 著者は外資系コンサルタント会社の現役コンサルタント。だけど、大学や大学院での専攻は経営学でも経済学でもない。 なんと❗大学院まで哲学が専門だった。 そんな人がコンサルタント務まるのは何故か? ってか、そんな人だからこそ務まるのだ。 著者は、クライアントとの会議で「…よくそんなこと、思いつきましたね」と言われるこ

          【読了2024No.1】山口周著『武器になる哲学』KADOKAWA読了

          工藤勇一著『考える。動く。自由になる。』(実務教育出版)読了

           著者はかつては中学は定員割れをしていた横浜創英中高を注目校に仕立てたやり手の校長先生。  前職の麹町中学校で、宿題全廃したことでも知られる。  私は私立中出身だが、最近知ったのだが、公立中の宿題って、著者も書いているように目的が「提出」になり、宿題が単なる「作業」になっている。  そんなわけだから、そんなの廃止しちゃうのが正しいと思った。  「タイムマシンクエスチョン」に当たるものを提唱者の黒沢幸子さんの著書に出逢う前に、自前の努力であみだすとは、この著者は頭がいい

          工藤勇一著『考える。動く。自由になる。』(実務教育出版)読了