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【2024 読了 No.12】小宮輝之著『人と動物の日本史図鑑①旧石器時代から弥生時代』(少年写真新聞社会)読了。

子供を向けの本であるが、著者は元上野動物園園長。動物学者から見た原始時代は、考古学者から見たそれとはかなり違っており、新しい知見を得ることができた。


山川出版社の最新の教科書『詳説日本史探求』には、「今からおよそ1万年前、最後の氷期が過ぎて完新世になると地球の気温も温暖になり、海面が上場してほぼ現在に近い日本列島が成立した。亜寒帯の針葉樹林にかわって、東日本にはブナやナラなどの落葉広葉樹林が、西日本にはシイなどの照葉樹林が広がった、大型獣は絶滅して、動きの速いニホンジカやイノシシなどの中・小の動物が多くなった。」と説明されている。


なぜ、地球の気温も温暖になって、海面が上昇して大陸から切り離されて日本列島が成立すると、大型獣は絶滅するのか?

正直なところ、私も合点がいかなかった。だが、動物の生態が分かってる人間からすれば自明の理だったようである。


「群れで移動する大型草食動物は広大な草原や森林がなくては生きてはいけません。」

「シベリアの永久凍土から見つかった氷づけのマンモスの消化器には、イネ科などの草がつまっていて、草原に暮らしていたのがわかります。」


えっマンモスって草食べてた‼️😳

針葉樹林帯って草生えてたの‼️😳

大型草食動物は群れで草を食べ尽くしては、草を求めて移動していく。そういう生態の大型草食動物は、狭い日本列島では生き残れなかった。

これが真相らしい。

当然、大きく移動する動物の群れを追いかける人間も移動生活を強いられる。

なんだか、【2024読了No.8】の國分功一郎著『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫)で取り沙汰されていた「定住革命」とやらの説がぶっ飛んだ感じがした。

それから、犬好きの私にはとても嬉しい記述があった。

「イヌは、肉食性のオオカミから穀物(でんぷん質)も食べる雑食性になりました。オオカミのもっていないでんぷんを分解する消化酵素(アミラーゼ)を、イヌはぶんぴつするようになったのです。農耕を始めるようになった人の食性に近づき、よりいっそう協力関係が強固になりました。」

だよねー👏うちの犬(しぃちゃん)は、LAWSONのドラもっちが大好きだもんねー。
中身はクリームと小豆だけど、皮は小麦粉だもんね。



よく、「犬に人間の食べる物を食べさせちゃいけない」って言われる。(不思議だが、犬を飼ったことがない人が言うことが多い🤪)でも、ドッグフードを全く食べなかった故ポポたん(デカポメラニアン。8キロ以上あった)は、16歳まで生きたんだよー。


今の犬、しぃちゃんも美味しいものを食べさせ過ぎると、「ドッグフード食べたくないぞ」と、ハンガーストライキを起こすことがある。でもね、この子は根性がないんだよね。2食も抜かすともう降参してドッグフードを食べるようになる。

それに対して、故ポポたんは根性あり過ぎだったから、何日でもハンガーストライキを続けた。結局私が負けてしまった。


まぁーこの本を読んで思ったのは、犬って元々は人間の食べ残しを食べる形で人間になついていったという歴史がある。ドッグフードなんてものは、縄文時代から続く犬と人間の協力関係の長~~~い歴史に比べれば、随分歴史の浅いものではないか?

私が幼稚園に入った頃は、犬には残り物をあげるのが普通だった。この頃に親が飼い始めた秋田犬は、ご飯に魚をのせてお湯をかけたものが一番好きだった。


それと、イルカの大量死があると、マスコミが大騒ぎするが、動物学者からみれば、海洋哺乳動物、例えばイルカ等の群れが浜に打ち上げられることは、ストランディングと言って、よくあることなんだそうだ。最近では、黒海のイルカの大量死は、ロシア🇷🇺の軍艦のソナーの影響だなんて取り沙汰されているが、全くのナンセンスのようだ。

イルカのストランディングは、現代人にとっては不気味な出来事のようだが、イルカを食べる縄文人にとっては、「ありがたい海のめぐみ」になる。


子供用向けの本だが、それだけ分かり易いし、イラストも多く、ためになる本だった。


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