卵膜付着でも産めた私の個人的体験(4)

「帝王切開の予約・・・いっぱいですね。キャンセル待ちしましょう」

は?

帝王切開のキャンセル待ちって何?キャンセルが出なかったらどうなるわけ?出産時にへその緒が切れるリスクが解消できると安心しかけた私に、別の不安がのしかかった。高齢出産のため、医療設備の整った大学病院を選んだのに、まさかベッドがあいてませんと他の病院にまわされるのだろうか?

うずまく不安と疑問を噛み殺して、私は帰路に着いた。白衣のドクターに、さも当たり前のように言われると、聞くのが愚行のように感じてしまう。嫌われると、出産の時に冷遇されるかもしれないという考えもある。振り返ると、疑心暗鬼にまみれていた。

しばらくすると、我が子は今度は先生の気持ちを読んだかのようにくるっと再び回転して正常な位置に戻った。逆子じゃなくなっだと喜ぶべきなのだが、帝王切開を強く望んでいた私は、うだうだと困っていた。

骨に関する持病があるため、外科で見てもらいその先生から帝王切開をすすめるコメントを引き出そうとしたが、それも失敗した。

「赤ちゃんの心臓を観測して、弱まったらちゃんと緊急帝王切開します。出産時、何か起こるかもしれないのは他の妊婦さんも同じですから、ね?」

その通りだが、1ミリの危険もおかしたくないのだ。緊急帝王切開の準備にどれくらいかかるの?間に合うの?はじめから、安全に取り出してくれればいいのに。危険性が仮に1%だとしても、先生の成功率が99%だとしても、その1%にはなりたくないのだ。とてもナーバスだ。こんな患者面倒だろうな。それとも産科医は、神経質になる妊婦に慣れているのだろうか。  

夫に言わせると私は楽天家で、だからこんなに心配してネガティブな予測を100通りも立てられる知らなかった妻の一面に、驚いたようだ。

卵膜付着は、自分でできる対策が何もない。自分の努力で打破できない問題に対しては、とことん私はネガティブなんだと自覚していたが、認識を深めた。

そしてわたしは、結局普通分娩に挑むことになった。

(5)に続きます


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