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「誰と話すかによって見える景色が変わってくる」

今週は、弊社の日本顧客の東南アジアビジネス立ち上げ支援に向けた準備に時間を割いた1週間でした。
日本顧客の属性はいわゆるソフトウエアテクノロジー企業です。具体的にいうと企業のデータを盗もうとするハッキングに対して防御措置を行う革新的なセキュリティ技術を有する企業になります。

私が居住するクアラルンプールにおいても、日本と同様携帯キャリアの通信網や5Gへの移行初期を迎え、クラウド、AI、Iot、ロボティクスなどといった身の回りの全てがインターネットに接続することで生まれる情報のハッキングに対するサイバーセキュリティの強化に熱視線が集まっております。

ここで重要なのが、当地の顧客(例えば通信キャリアやISP:インターネットサービスプロバイダー)に対してはシステムインテグレーターと呼ばれる顧客のIT設備を保守・メンテナンスを含めて包括的に面倒を見てくれる現地企業とのパートナーシップが欠かせないことです。
やはり、現地ビジネスは現地の商習慣で進めるのが基本になるわけです。

そういった当地企業とのパートナーシップ締結を進めていくにあたり、重要なのは意思決定者と実行の責任者を同じテーブルに着かせて交渉をするということです。
特にこの関係は前者が上司(例えばCOO)で後者が部下(例えば部長)というケースも多いので、仮に協業の意思決定がなされ契約を締結しても実行が成されないというケースを防ぐ目的と、部下が実行責任者の場合は、上司が同席のケースで意思決定がされるので、自ずと部下も自分のチームを上手くまとめあげて、協業を形にして行く約束を取り付けやすくなる、ことに繋がるのです。
特に中華系の相手とビジネスを進める時は、面子を大事にする文化も合間って非常に効果的です。

実際に私が今担当している日本のサイバーセキュリティ企業(顧客)が協業を行いたいマレーシア企業(本社はシンガポール)に対しても、
当地のネットワークを駆使して、担当役員と部長クラスが同席をし、協業の話を進めて行くことになりました。

マレーシアはコロナの影響もあり内需経済は回復途中ではありますが、基本的に日本企業をはじめとする外資との提携話などは当地企業からみても事業拡大につながる可能性もあり、前向きに検討をしてくれるケースが多いことも事実です。

その際、不可欠なのは誰を巻き込むか、という点です。
いくら現場の実務者と話をしたところで、本人に意思決定の権限もなく、かつ上司に依頼された内容でなければよほどの理由がない限り、話が進むことがなく尻切れ状態に陥ってしまうわけです。
また実務者に上司や意思決定者を依頼しても、本人にとって絶対的な実益がなければ、めんどくさいと思われ話自体が埋もれてしまいかねません。

トップダウンが全て、ということでありませんが、相手を知って相手を理解するという基本的な前提条件をしっかりと抑えながら、新しい協業の話を進めて行くことが交渉やビジネス成就の第一歩である、と言えると思います。

次回は違った実ケースを織り交ぜて、マレーシア当地のビジネス事情をお届けできればと思います。

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