工藤吉生(くどうよしお)の短歌【2】2011年11-12月〈25首〉
【第二期】 2011年11-12月。226首発表。
もっとも多作だったころ。「ドラえもん短歌2011」へ投稿した。それ以外はツイッターで発表しブログにまとめるスタイルだった。
組み立てた線路に汽車を走らせる少年の背を陽が包み込む
「死ね」という言葉によって君の持つ説得力が自殺したのだ
うんこ味のカレーの方を真剣に選んだ君の頬に飯粒
トリックオアトリートか何か知らないが悪いガキには容赦はしない
教室の聞こえよがしの非難から逃げたトイレの壁は冷たい
学級会 トイレでズボンを脱がされた話にみんなで耳すます午後
朝早く自転車こげば誰にでも挨拶をする人が流れる
精神科デイルームにて四十代男四人で語るフーゾク
安全を求めるうちに狭い方暗い方へと追われる獣
おっぱいが当たる気がしてうっとりと開けた口へとドリル挿入
震災後二度目の夜にラジオから「こども音楽コンクール」 切る
閉めきったファミリーマートを覗き込む男が去らぬ3・13
「どうでもいい男ばかりが言い寄ってくる」と聞こえてズタズタになる
愛の裏の裏の裏の裏の裏 きみ守るため握ったナイフ
「それだけのことだ」と言って長ーーーーーーーーーい説教終える
電柱に青い手さげがぶら下がる中身を見たら戻れぬ予感
朝起きて「おやすみなさい」のメール読みそれに答える日本語がない
噛む強さ知ってる猫を傷つける言葉の深さ知らないで抱く
括弧内単語バラバラ殺人の[発見,容疑者,された,全裸で]
5000円 母が暮らしに困り果て質屋に入れた結婚指輪
「いまごろは工藤はどうしているのか」と思い出したの誰? いつ? どんな?
歯についたチョコフレークを爪で取りひとりぼっちを謳歌している
ドラえもん
コミックの隅
書いてある
パラパラマンガが
50ページまで
欲しい道具
きかれた時に
堂々と
スケスケ望遠
鏡と言いたい
もし君が
石ころぼうし
かぶっても
僕は見つける
君だけを見る
短歌は以上です。投げ銭を受け付けています。100円です。払っても新しくなにか読めるわけではありませんが、工藤がとてもよろこびます。
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