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横溝正史 迷路荘の惨劇(角川文庫)を読んで

 今回の作品は横溝正史の金田一耕助シリーズの一つ、迷路荘の惨劇です。こちらを抽象的感覚派読書感想文、推薦文を書いていきたいと思います。

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恥ずかしながら、初めて金田一耕助シリーズの作品を読みました。前々なら読もうと思っていたのですが、他の作品も読みたいため、つい後回しになっていました。だが読み進めて行くと、独特な陰鬱として雰囲気がたまらなくなり、どんどん作品世界に没頭してしまいました。

大まかな内容は、過去に名琅荘と呼ばれる豪邸にて凄惨な殺人事件が起きた。その際、片腕を失った男が未だに行方不明となっています。時を経て、金田一耕助がその名琅荘に来る日の前日、豪邸に片腕のない男が現れ、忽然と姿を消します。不可解に思っていると、この豪邸の持ち主だった男が殺されており、そこから物語がスタートします。

名琅荘は館内のあらゆるところに抜け穴やどんでん返しがあって複雑な創りになっているため、迷路荘と呼ばれています。暗くて陰気な抜け穴を冒険したり、豪邸を購入した男と若い妻との怪しい関係性があったり、片腕男が生きていたりと、様々な要素が物語を盛り上げてくれています。

それらの全ての謎を金田一耕助が種明かししていく爽快さは、探偵物の醍醐味を味わうことができます。ラストに行くにつれ、人間のエグ味などが発露していき、見るも無惨な死体が出てきたりと描写にも余念がなく、かのりの長編ですが飽くことなく読み進められました。右肩上がりで盛り上がっていく作品です。

僕個人としては、老舗のとんかつ屋で、ボリュームたっぷりのサクサクジューシーなロースカツを食べているような気分になりました。最初にさっぱりしたお新香を食べてとんかつが来るのを待っているようなドキドキ。それからピリッとしたカラシとコクのある伝統のソースをかけてカツをパリッと頬張り、口の中に広がる肉汁を堪能するような感覚でした。最初に過去の事件を示して、金田一の解決する上記の事件を味わうような構成。素晴らしいです。

以上で今回の読書感想文を終えます。拙作のリンクを↓↓

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